特集~奉祝・建国記念の日~ 中国・九州地方
特集~奉祝・2月11日建国記念の日~ 中国地方
鳥取県
【米子市】鳥取県西部建國記念日を祝う会主催の記念祭典と講演会を開催。講師の中曽根語良氏(昭和聖徳記念財団元参事)が昭和天皇の御事績を語った。
広島県
【広島市】建国記念の日奉祝委員会主催の「第37回建国を祝う集い」が開催。天皇陛下の執刀医の天野篤氏(順天堂医院院長)が「日本を元気にする」と題し講演。
【福山市】日本会議福山支部主催の「平成29年建国を祝う会」が開催。奉祝式典と記念講演があり講師の小川榮太郎氏(文藝評論家)が記念講演。
岡山県
【岡山市】日本会議岡山主催による奉祝の神事と記念講演会が県護国神社で開催。評論家の江崎道朗氏が日本の皇室について講演。
【倉敷市】美しい日本の憲法をつくる国民の会岡山県児島支部・倉敷支部主催の「建国記念の日講演会」が開催。日本女性の会の植原弘子運営委員長が記念講演。
【津山市】日本会議津山支部主催の「建国記念の日を祝う会講演会」が開催。拓殖大学の李久惟客員教授が世界の中の日本文化を語った。
山口県
【下関市】下関市奉祝会主催の奉祝市民大会が開催。「みんなで歌おう日本の歌」と題し日本童謡の会が公演。その後市街において奉祝パレードを実施。
九州地方
福岡県
【福岡市】日本会議福岡主催の「日本の建国をお祝いする集い」が開催。高島宗一郎福岡市長が祝辞を述べ、また古代史研究家の長浜浩明氏が「日本建国史」と題し記念講演。
【北九州市】奉祝北九州市民大会実行委員会主催の「第51回建国記念の日奉祝北九州市民大会」が開催。講師の大葉勢清英氏(日本青年協議会代表)が平成の御巡幸を講演。
【久留米市】日本会議福岡県南支部主催の「建国記念の日・市民の集い」が開催。元NHKアナウンサーの宮田修氏が「神話に見る日本人の心」と題し講演。
【飯塚市】飯塚市郷友会主催の「飯塚市建国記念の日記念講演会」が開催。施光恒氏(九州大学大学院准教授)が「国語こそ祖國の要」と題し記念講演。
佐賀県
【佐賀市】奉祝会・日本会議佐賀主催の「皇紀2677年・建国まつり」が開催。奉祝式典とジャーナリストの三荻祥氏による記念講演が行われた。
長崎県
【長崎市】長崎日の丸会主催の「第58回建国記念の日奉祝式典・日の丸大行進」が実施。式典の後、自衛隊音楽隊を先頭に市内繁華街を奉祝パレード。
【対馬市】日本会議対馬支部主催の奉祝日の丸行進を実施。建国を祝い、国旗掲揚と憲法改正を訴えた。対馬市での日の丸行進は戦後初。
熊本県
【大都町】山都町奉祝会主催の「建国記念の日奉祝式典」が開催。奉祝行事として小中学生書道大会・青少年柔道大会・高校生弓道大会・グランドゴルフ大会も実施。
大分県
【大分市】奉祝実行委員会主催の「第12回日本の建国をお祝いする集い」が開催。奉祝式典と高橋史朗氏(明星大学特別教授)による記念講演会が行われた。
宮崎県
【宮崎市】日本会議宮﨑主催の「建国記念の日奉祝宮崎式典」が開催。紀元節祭、奉祝式典の後、皇学館大学の松浦光修教授による記念講演が行われた。
【延岡市】日本会議延岡支部主催の「延岡市建国記念の日記念講演会」が開催。宮崎大学の吉田好克准教授が憲法改正について記念講演。
鹿児島県
【鹿児島市】日本会議鹿児島・鹿児島県神社庁共催の「建国記念の日をお祝いする鹿児島県民の集い」が開催。産経新聞の安本寿久特別編集委員が神武天皇について記念講演。
沖縄県
【那覇市】日本会議沖縄県本部主催の「日本の建国を奉祝する沖縄県民の集い」が開催。石垣市元教育長の玉津博克氏が神話について記念講演。
特集~奉祝・建国記念の日~ 近畿・四国地方
特集~2月11日奉祝・建国記念の日~ 近畿地方
京都府
【綾部市】
日本会議京都北部支部主催の「建国記念の日を祝う京都北部府民の集い」が開催。元海上自衛官の伊藤祐靖氏が記念講演。
大阪府
【大阪市】
日本会議大阪主催の「皇紀2677年建国記念の日をお祝いする府民の集い」が開催。三重中京大学名誉教授の浜谷英博氏が記念講演。
三重県
【伊勢市】
日本会議伊勢支部主催の「第51回建国記念の日伊勢奉祝の集い」が開催。軍事ジャーナリストの井上和彦氏が記念講演。
兵庫県
【神戸市】
日本会議兵庫県本部主催の「建国記念の日を祝う会」が開催。中村学園大学の占部賢志教授が記念講演。
【姫路市】
姫路実行委員会主催による「姫路建国記念の日を祝う会」が開催。奉祝式典ののち三木英一日本会議兵庫会長や兵庫地方協力本部の中村清勝氏が記念講演。
奈良県
【橿原市】
日本会議奈良の有志により橿原神宮境内で憲法改正1000万賛同者拡大の署名運動を実施した。
四国地方
徳島県
【徳島市】
日本会議徳島県本部主催の奉祝式典が県護国神社で開催。羽ノ浦小学校の5、6年生が国の平和を願う雅楽「浦安の舞」を奉納した。
愛媛県
【松山市】
奉祝愛媛県実行委員会が主催し松山会場は県下7会場の県中央大会として開催。式典の後、講師の吉木誉絵氏が神話・古事記の魅力を語った。
【八幡浜市】
実行委員会主催の奉祝式典と記念講演会が開催。評論家の石平氏が「素晴らしい国日本」と題し記念講演。
【宇和島市】
実行委員会主催の奉祝式典と記念講演会が開催。産経新聞元ソウル支局長の加藤達也氏が「ソウルで感じた祖国日本の有難さ」を講演。
【西条市】
実行委員会主催の奉祝式典と記念講演会が開催。キャスターの葛城奈海氏が「日本を取り戻すとは」と題し講演。
高知県
【高知市】
日本の郷土を愛する高知県民の会主催の「建国記念の日奉祝県民大会」が開催。ジャーナリストの有本香氏が日本をめぐる国際情勢について講演。
特集~奉祝・建国記念の日~ 関東・中部地方
特集 ~奉祝・2月11日建国記念の日~ 関東地方
茨城県
【水戸市】
日本会議茨城主催の「建国記念の日奉祝茨城県民大会」が開催。美しい日本の憲法をつくる国民の会事務局の外村聖典氏が記念講演。
群馬県
【高崎市】
奉祝実行委員会主催の「建国記念の日奉祝式典」が開催、皇学館大学の新田均教授が記念講演。
栃木県
【宇都宮市】
奉祝会主催の奉祝式典とパレードが実施された。パレードは会場の二荒山会館からJR宇都宮駅まで市街を行進した。
埼玉県
【大宮市】
県建国奉祝会主催による「第60回建国奉祝式典」が開催。次世代政策研究会会長の中村匤志氏が記念講演。
千葉県
【鎌ヶ谷市】
日本会議鎌ケ谷支部主催の「奉祝式典」と地元高校生も参加したお神輿の「奉祝パレード」を実施した。
神奈川県
【鎌倉市】
日本会議神奈川主催の「建国記念の日奉祝神奈川県民大会」が開催、AJCN代表の山岡鉄秀氏がマスコミの偏向報道につき講演を行った。
中部地方
新潟県
【新潟市】
日本会議新潟支部主催の「日本の建国を祝う新潟の会」が開催。ソプラノ歌手の森敬恵氏が歌と講演を行った。
長野県
【松本市】
日本会議長野中信支部主催の「建国記念の日講演会」が開催。アジア支援機構代表理事の池間哲郎氏がアジアに愛される日本について講演。
岐阜県
【岐阜市】
日本会議岐阜県本部主催の「建国記念の日奉祝大会」が開催。ジャーナリストの山村明義氏が日本の皇室について記念講演。
静岡県
【浜松市】
奉祝運営委員会主催の「浜松市 建国記念の日奉祝式典」が開催。ノンフィクション作家の門田隆将氏が「リーダーの本質」と題して講演。
愛知県
【名古屋市】
日本会議愛知県本部主催の「日本の建国を祝う愛知県民の集い」が開催。憲法・皇室研究家の田尾憲男氏が記念講演。
特集~奉祝・建国記念の日~北海道・東北地方
~奉祝・2月11日建国記念の日~ 北海道地方
北海道
【札幌市】
日本会議北海道本部主催の奉祝道民の集いが開催。政治評論家の細川珠生氏が憲法問題で記念講演。式典後は札幌雪祭りで賑わう市街で奉祝パレードを実施。
【釧路市】
市民有志世話人で運営される奉祝式典には市内の各世代が参加。蝦名大也釧路市長も参加し日本の建国を祝った。
東北地方
青森県
【弘前市】
弘前市建国実行委員会主催による「第60回弘前建国祭」が開催。式典の後、三村三千代氏(八戸短期大学客員教授)が記念講演。
岩手県
【盛岡市】
県奉祝会主催の「第51回建国記念の日奉祝県民大会」に500名が参加。式典後、ジャーナリストの小森義久氏が記念講演を行った。
宮城県
【仙台市】
宮城県民大会実行委員会主催の「第51回建国記念の日を祝う県民大会」には、村井嘉浩知事、奥山恵美子仙台市長、県選出国会議員や県議、県民が多数参加。
秋田県
【秋田市】
奉祝会主催の「建国記念の日奉祝秋田県大会」が開催。ジャーナリストの佐波優子氏が記念講演。大会に先立ち街頭での奉祝アピールも実施。
山形県
【鶴岡市】
荘内神社で毎年開催されている「建国記念の日奉祝式典」。酒井忠久氏が記念講演を行った。
福島県
【郡山市】
郡山市奉祝会主催の「第52回建国記念の日奉祝郡山式典」が開催。産経新聞の阿比留瑠比論説委員が記念講演、式典後は日の丸大行進も。
特集~奉祝・建国記念の日~ 東京編
特集 ~奉祝・2月11日建国記念の日~ 東京編
「建国記念の日奉祝中央式典」
全国各地で開催される奉祝行事の中央行事として日本の建国を祝う会(大原康男会長)主催の「建国記念の日奉祝中央式典」が明治神宮会館で開催された。網谷道弘・日本会議理事長の開会の辞に始まり、大原会長が主催者挨拶し、日本建国の意義を披露し政府による式典開催を要請した。来賓挨拶は、各党代表より高村正彦・自民党副総裁、中山恭子・日本のこころ代表、石井苗子・日本維新の会国対副委員長より、在日外交団を代表してガーナ共和国特命全権大使のパーカー・アロテ氏より、それぞれ祝辞が述べられた。聖寿万歳が田久保忠衛・日本会議会長の先導で行われ、今林賢郁祝う会理事の閉会の辞で第一部式典が締めくくられた。第二部は小野雅楽会による奉祝演奏が披露。この日は式典に先立ち、会場の明治神宮会館に近い表参道では、神輿や大学生のブラスバンドによる奉祝パレードが行われ沿道を賑わせた。この日、全国各地では北は北海道から南は沖縄まで、奉祝式典や記念講演会、奉祝パレードなどの各種奉祝行事が約400を超える会場で実施された。多くの会場で記念講演や大会決議において憲法改正の必要性が提唱された。
●平成二十九年度 「建国記念の日奉祝中央式典」 決 議
本日、ここに平成二十九年、皇紀二千六百七十七年の建国記念日を迎えるにあたり、我々は、神武天皇が大和の国は橿原の宮で国の基(もとい)を定められたご偉業と「八紘(あめのした)を掩(おほ)ひて宇(いへ)と為(せ)ん」との詔(みことのり)を発せられた大御心を偲び、その建国の精神を守り伝えてきた我が父祖たちの献身尽力に対して、心からの敬意と感謝の意を捧げる。
天皇皇后両陛下は、神武天皇二千六百年祭の日にあたる昨年四月三日、神武天皇陵にて斎行された「山陵の儀」に臨まれ、続いて橿原神宮をご参拝になった。これは百年前の大正五年の神武天皇二千五百年祭に行幸啓された大正天皇と貞明皇后の先例に倣(なら)われたと承るが、両陛下の皇祖に対するご孝敬の念の厚さにあらためて深い感銘を覚える。
さて、昨年夏の参議院選挙の結果、衆参両院で憲法改正に賛同する勢力が三分の二を超え、活発な憲法論議を要望する声が全国各地にさらに広がりつつある。本年五月三日には日本国憲法施行七十年という節目の日が到来するが、我々は、神武建国以来の悠久の国柄を次代に正しく伝え、国の独立と繁栄を守るための新しい憲法の制定を目指して、この機にさらなる努力を積み重ねて行く決意を固めねばなるまい。
一方、世界に目を転じると、保護主義を強く主張する米国トランプ大統領の登場、英国のEU離脱、中国の覇権主義的な海洋戦略など、これまで支配的であったグローバリズムの潮流に抗(あらが)い、各国が国際的な取り決めよりも自国の利益を優先する傾向がさらに露(あらわ)になった。かような動乱の時代に否応なく直面している我が国は、自国の防衛を他国に大きく依存し、とかく内向きの議論に終始してきたこれまでの惰弱(だじゃく)な姿勢に断固として訣別し、真の自立を確かなものとするとともに、世界に調和と共栄をもたらす強い国へと飛翔すべき時期を迎えていると言えよう。
時あたかも、明年は明治維新百五十年にあたる。新しい国家建設の理念を「神武創業ノ始(はじめ)二原(もと)ヅキ」と宣明し、旧来の諸制度を抜本的に改め、世界に伍する近代的国民国家への躍進をもたらした明治の先人の気概にあらためて思いを致したい。
我々は、神武建国の精神が正しく受け継がれて行くよう、政府主催による奉祝行事の挙行を強く求め、誇りある国づくりに向けて一層邁進することをここに誓う。
本日、「建国記念の日奉祝式典」に際し、右、決議する。
平成二十九年二月十一日
日本の建国を祝う会・建国記念の日奉祝中央式典
全国の息吹~北から南から~ 2月(如月)
岐阜
■ 岐阜県が18回会員大会
昨年12月4日、稲田防衛大臣のビデオ講演で会員大会を開催。衆議院議議員の古屋圭司会長が挨拶。
■ 22回目の21世紀国創りフォーラム
昨年12月18日、講師に葛城奈海氏を招き「女性が語る日本文化」と題して22回目のフォーラムを開催。
愛知
■ 放送法の遵守を求める講演会
1月22日、テレビメディアの偏向報道の是正をめざし、AJCN代表の山岡鉄秀氏が講演。
広島
■ 第5回皇居勤労奉仕団派遣
昨年11月14~17日、広島県本部は40名による皇居勤労奉仕団を派遣、5回目を迎えた。
■ 広島県本部が新年互礼会
1月14日、広島県本部では「新たな一年の展望を切り開こう」と平成29年新年の抱負を語り合った。
長崎
■ ミサイル艦の入港歓迎活動
昨年11月2日、長崎県本部は海上自衛隊のミサイル艦「おおたか」の長崎港入港を歓迎する活動を展開。
兵庫
■ 元司令官が語る海の守り
11月19日、兵庫県西宮・芦屋支部は元自衛隊司令官の道家一成氏を講師に招き「日本の海の安全」をテーマに講演会を開催。
「海道東征」-神武さまの御足跡を訪ねて (日本の息吹2月号より)
「海道東征」-神武さまの御足跡を訪ねて
安本 寿久 やすもと としひさ
昭和33年、兵庫県生まれ。大阪社会部次長、編集局次長兼総合編集部長、産経新聞編集長などを経て特別記者編集委員。著書に『評伝廣瀬武夫』、共著に『親と子の日本史』『坂の上の雲をゆく』『人口減少時代の読み方』など。また、古事記編纂1300年の平成24年より産経新聞に連載された「日本人の源流神話を訪ねて」の神話取材班キャップを務め、連載の一部をまとめた『海道東征をゆく神武さまの国造り』(正・続)を産経新聞大阪本社から出版(現在、この2巻の合本として『神武天皇はたしかに存在した-神話と伝承を訪ねて』が刊行されている)
***
平成27年に産経新聞で連載された「海道東征をゆく 神武さまの国造り」は丹念な取材によって、「東征」の足跡を辿った画期的なものであった。戦後は、神武天皇の存在そのものを否定する説が横行したが、取材を通してのスタッフの確信は「神武天皇はたしかに存在した」というものだったという。取材班キャップを務めた安本氏にお話を伺った。―
■「神話を忘れた民族は滅びる」-根っこを忘れるな
― やはり学校教育でしっかりと教えなければいけませんね。
安本
そうそう。それで思い出しましたが、産経新聞に連載中の読者からの反響で興味深かったのは、60代以上の方が多かったことです。第一部「日本人の源流、神話を訪ねて」の連載時には奈良支局に200人の方からコピー下さいませんかと、電話や訪問があったという。私も連載担当の経験は長いのですが、こんなことは初めてでした。なぜ60代かというと、神話は知っているつもりだった。でもこんな物語だったとは知らなかったと。大蛇退治や因幡の白兎、海幸山幸などのお話は、戦後世代も絵本や祖父母の読み聞かせなどで知っているわけです。でも例えば、大国主命がウサギを助けて八上比売(やかみひめ)と結ばれるということまでは知っている。ところが、その後はあまり知らない。嫉妬した兄神たちに何度も殺されては生き返り、ついに根の堅州国に行って、今度はスサノオノミコトの試練に耐えぬいて、ついにスサノオノミコトから国造りの使命を受けて、国づくりをする。そんな物語が続いていたことは知らなかった。
― 連載を読んで初めて気づいたこと。
安本
ですから、幼稚園などで神話の絵本に親しんでいることの意味は大きい。つまみ食いではあるけれども、ああ、あのお話ね、と了解している。すると長じた後にそれをストーリーとして教えられると、呑み込みが早い。新学習指導要領では、神話について教えることになっているわけですから、物語の概略くらいは教えてほしいですね。
― 神武天皇の絵本もどんどん出てほしいですね。
安本
ええ、きっかけになればいいですね。天皇が現行の憲法でも象徴として君臨していらっしゃるのはなぜか、皇室の由来を語るのに神話を無視することはできない。まさにそこに源はあるわけですからね。それなくしては、なぜ憲法の第一章が天皇なのか、説明できないでしょう。
― 大学で憲法学を講じている竹田恒泰氏が、憲法第一章の授業の時には、古事記から始められるそうですが、的を射ていますね。
安本
ええ、根拠はそこにあるわけですからね。
― 最後に神武天皇の物語を伝える意味について改めてお願いします。
安本
カムヤマトイハレビコノミコトが日向を立たれて東征に向かわれたのが、45歳なんですね。そして、東征期間16年説を採ると、橿原で天皇に即位されたのは61歳ということになる。よほど気持ちが強くなければ、できなかったでしょう。そして、繰り返しになりますが、東征の過程で稲作を教え、文字通り、豊かな国造りをされながら進まれた。正に神武天皇は建国の父だと改めて思いますね。「12、13歳くらいまでに民族神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」と歴史学者のトインビーが言っています。それは根っこを失ってはならないということだと思うんです。根無し草だといろんな苦難に耐える力がなくなるんですよ。昔ベトナムに旅行したとき、水上人形劇を観劇したことがあります。ハノイには国立の人形劇の劇場があって、子供たちに必ず観せることにしている。外国人用には英語のテロップが流れる。上演されていたのはベトナムの神話でした。山の神様と海の神様が結婚して卵がたくさん産まれました。半分から女の子が、半分から男の子が生まれました。山の神様は男の子を連れて山に帰りました。海の神様は女の子を海で育てました。だからベトナムは多民族国家なんですよと。
― おもしろいですね。
安本
人形劇団も国立なんです。つまり、国家が主導して子供たちに観劇させている。「どうしてですか?」と訊いてみました。すると、次のような答えが返ってきました。「ベトナムは同民族同士が南北に分かれて戦っていました。いま、それを一つにするために何が大事かと考えた時に、ベトナムという国ができた謂われから説き起こしていけばいいと。統一ベトナムができたときからこれをやっています」と。
― ああ、そういうことなんですね。
安本
国家が分裂したとき、国民の心をもう一度ひとつにする力が神話にはあるということなんです。だから国家分裂の危機に際して、どの国でも建国神話を思い出して団結しようとするわけです。日本は島国で恵まれた国だけれども、それでも歴史上国家の危機は何度かあった。その度ごとに建国の神話は甦っているんです。
― 幕末の危機が典型的ですね。
安本
そう、欧米列強の植民地化という危機を、明治維新を起こして乗り切ったわけですが、それは「諸事神武創業の始にもとづき」(王政復古の大号令)から始まっているわけですからね。話は飛びますが、平成24年(2012)の古事記編纂1300年をきっかけに始まった産経の神話シリーズの連載ですが、先述の通り、大きな反響があった背景には、平成22年(2010)9月7日の尖閣諸島中国漁船衝突事件があったと思っているんです。悪いのは向こうなのに日本政府が及び腰で逆にバッシングされるという後味の悪いものになってしまった。あの時、自信を失いかけた日本国民も多かったと思います。そこへ古事記1300年が巡ってきた。これによって自分たちは世界最古の歴史を持つ国なんだという自信を取り戻したんじゃないか。中国がごちゃごちゃ言って来たら、「たかだか建国60年そこらの国が何を言ってるんだ」と一蹴してやればいいと(笑)。60年と2670年(当時)とじゃ比較にもならない。
―なるほど、尊皇攘夷ではないけれども、対外的な危機感が自己防衛の意識となり、自分たちの国は一体どんな国なのかという自覚を求めるわけですね。
安本
アイデンティティを求める。またまた話が飛んで恐縮だけど、平成28年3月から産経で連載『戦後71年 楠木正成考』を始めたのですが、日本人がなぜ正成が好きなのか、というと、「公に尽くした」典型だからだと思います。足利尊氏は勝負に勝って幕府を立てたけれども、結局は私欲を刺激して作った政権にすぎなかった。3代将軍の義満は、大陸の明に朝貢貿易を行って、「日本国王に封ずる」と言われて喜んでいる。私欲、わたくしつまり「私」だけでできた政権は弱くてもろいものだから諸大名が跋扈して、応仁の乱に突入してしまう。一方で、敗れはしたけれども最期まで「公」たる天皇に忠義を尽くした正成は後世にまで尊敬を集めているわけですね。連載は、副題に『「公」を忘れた日本人へ』と付けましたが、昨今の世相を思うにつけ、今こそ、改めて「公」の精神を取り戻さなければいけないと思います。日本では、その公の中心に天皇、皇室がおられる。ですから日本においては、神話に由来する天皇陛下がおられる限り、どんな危機に遭っても国が一つにまとまる。本当にありがたい国柄です。だからこそ、いま、皇位継承の基盤の強化などいろいろと課題がありますが、皇室の安定こそ日本国の安定の大元ですから、しっかり守っていかなければならない。そのためにも教育で日本神話と日本建国の物語、天皇、皇室の由来をしっかりと教えなければなりません。連載の取材を通して実感したのは、神話が日本の歴史を貫いていることです。神話からの一本の糸でつながっている国に生まれ合わせた幸せを、建国記念の日を迎えるにあたり、改めてかみしめたいですね。
― 貴重なお話、まことにありがとうございました。
(日本の息吹 2月号からの一部抜粋)