[防衛]安倍総理、オーストラリア議会で演説。日豪の友情、関係強化を強調。

[防衛]安倍総理、オーストラリア議会で演説。日豪の友情、関係強化を強調。

[防衛]安倍総理、オーストラリア議会で演説。日豪の友情、関係強化を強調。

外交

平成26年7月8日、安倍総理大臣は、オーストラリア連邦のキャンベラを訪問し、はじめに戦争記念館を視察し、無名戦士の墓に献花を捧げられました。そして、オーストラリア連邦議会・両院総会(豪州キャンベラ国会議事堂)で演説を行いました。

演説の中で、安倍総理大臣は、先の大戦におけるシドニー湾攻撃に参加した松尾敬宇中佐について、豪州海軍が海軍葬をもって松尾中佐を弔ったことを次のように触れました。
「1968年のことでした。一人の日本女性を皆さんが招いてくれたことに、私はいまも、心打たれるものを感じます。83歳になる松尾まつ枝さんは、招きを受けてお国を訪れ、亡き息子を偲んで、シドニー湾に日本の酒を注ぎました。第二次大戦中お国の攻撃を図り、湾に沈んだ小さな潜水艦に乗り組んだのが、松尾さんの子息でした。その勇猛を長く記憶に留めた皆様は、勇士の母を日本から呼び寄せてくれたのです。なんたる、寛容でしょうか。
Hostility to Japan must go. It is better to hope than always to remember.(日本に対する敵意は、去るべきだ。常に記憶を呼び覚ますより、未来を期待するほうがよい)。
戦後、日本との関係を始める際、R.G.メンジーズ首相が語った言葉です。再び日本国と日本国民を代表し、申し上げます。皆さんが日本に対して差し伸べた寛容の精神と、友情に、心からなる、感謝の意を表します。私たちは、皆さんの寛容と、過去の歴史を、決して忘れることはありません。」

松尾中佐は特殊潜航艇でシドニー湾に突入しましたが、魚雷発射管が故障、米重巡に体当たりで魚雷を爆発させようとしましたがかなわず拳銃で自決。オーストラリア海軍は、この潜航艇を引き揚げ、遺体を海軍葬をもって遇しましたが、反対も多く、海軍司令官ジェラード・ミュアヘッド=グールド少将は部下を説得したと言います。そして、戦後オーストラリアは松尾中佐の母堂まつ枝さんを豪州に招きました。安倍総理は、こうしたオーストラリアの寛容の精神に触れ、戦時中の恩讐を超え、日本とオーストラリアが信頼関係の下で新たな同盟を構築していくことを示唆したものと思われます。

また演説の中で、日本とオーストラリアは今回、防衛装備品の共同開発に向けた協定にも署名し、「特別な戦略的パートナーシップ」の段階へと入ったことを確認しました。
「こと安全保障に関し、日本は長らく内向きでした。しかし日本には、いまや一つの意思があります。世界の恒久平和を願う国、また世界有数の経済力をもつ国としてふさわしい貢献を、地域と、世界の平和を増すため行おうとする意思です。皆さん、まさしくその意思を実行に移す具体的行為として、日本は、豪州との関係強化を選択したのでした。そうです。本日はあたかも、平和を愛し、自由と、民主主義を重んじて、人権と、法の支配を大切に思う両国が、新しい特別な関係に命を吹き込む日。いわばその誕生日です。」
「なるべくたくさんのことを諸外国と共同してできるように、日本は、安全保障の法的基盤を一新しようとしています。法の支配を守る秩序や、地域と世界の平和を、進んで作る一助となる国にしたい。そう思えばこそ、『積極的平和主義』のバナーを掲げています。何をするにせよ、日本はこれからも、まずは東経135 度上の隣人とやろうとするでしょう。『特別な関係』をこしらえたゆえんです。太平洋からインド洋に及ぶ広大な海と、その空を、徹底的にオープンで、自由な場として育てるため、いっそう力を合わせましょう。なにか主張をする際は法を遵守し、力や、威嚇を用いない。紛争の解決は、すべからく平和な手段をもってする。奉じる価値観において重なり合う日豪両国が手を取り合ってこそ、この当たり前のルールが、太平洋から、インド洋へと広がる、繁栄の海を覆う常識になるのだと信じて疑いません。」

そして、東日本大震災の際、救援活動のため南三陸に駆けつけられた消防庁の、ロバート・マクニールさんについて触れ、日豪の絆を確認されました。
「敬愛する、議員の皆様、御覧ください、ニューサウスウェールズ消防庁の、ロバート・マクニールさんが、いまギャラリーにおいでです。お礼を申し上げます。どうも有難うございました。南三陸は、2011年3月11日、日本の東北地方を襲った津波によって、最もひどい痛手を受けた街のひとつでした。その南三陸に、マクニールさんは76人と2頭の犬からなるチームを率い、すぐ入ってくれました。そして日本人の消防士と協力されました。
『日本人の消防士たちが悲しんでいるとき、その悲しさを共有することができた。言葉の壁は、そこにはなかった』というマクニールさんが残した感想は、私たちの胸を、いつまでも温かい感情で包みます。
南三陸の惨状を前に、じっと立ち尽くして、唇を固く結んでくれたのが、当時の首相、ジュリア・ギラードさんでした。ギラード首相が発揮されたリーダーシップに、改めて、感謝申し上げます。
しかもこのことくらい、豪州と日本との関係とは、党派の垣根を越えたものだということを教えてくれる事実もないわけであります。」

安倍内閣総理大臣演説映像と全文(平成26年7月8日、豪州キャンベラ国会議事堂)
首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0708australia_enzetsu.html

このページの先頭へ

Copyright © Japan Conference. All rights Reserved.