平成23年4月の記事一覧
歴史誤認の「日独友好決議」が強行採決!-日本会議国会議連、退席を呼びかけ
日本とプロイセン(ドイツの前身)が修好通商条約を調印してから150年に当たる今年、日独両国を「侵略国」と断罪するような「日独友好」の国会決議について、
(※決議文内容などについてはこちら→http://www.nipponkaigi.org/opinion/archives/2294)
4月22日午後、衆議院で開催された本会議で残念ながら採択が強行されてしまいました。しかし、当初の「侵略」の表現は削除され、また反対・退席者が続出する決議となりました。
日本会議国会議員懇談会では、本日(22日)、採択されることがわかると下記の見解を出し、賛同する衆院議員に、採決時に退席するよう呼びかけました。
採択の前に開催された自民党代議士会では、日本会議所属議員より党執行部に対して、批判が相次ぎました。その結果、自民党執行部は党議拘束を外して本会議にのぞむむねを発表したと言います。
「日独決議」を行うことは既に了解事項となっていたので、採択されてしましましたが、平沼赳夫日本会議国会議員懇談会会長をはじめ、多数の自民党・衆院議員や、たちあがれ日本の園田博之幹事長らが相次いで退席。麻生元総理、安倍元総理も退席し、森元総理、福田元総理が反対しました。
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「日独決議」への反対理由
1、日独両国の友好増進に「各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけるに至った」というような過去の歴史認識は必要ない。それより、この度の災害支援に際して、ドイツへの謝意の文案が一言も入ってないことこそ異常で、その表明こそ友好増進になる。
2、文案は戦争開始時期の歴史事実を誤認しており、両国が、同盟を結んだ後、世界に戦争を行ったという誤解を与えるもので、国会の見識が疑われる看過できない重大な誤謬である。
※ドイツの戦争は、1939年、ポーランド侵攻に始まるが、日独伊三国同盟が締結されたのは、1940年である。決議案にある「一九四〇年に日独伊三国同盟を結び、同盟国となった。その後、各国と戦争状態に入り」という文脈では、同盟関係の後、戦争になったという事実関係となり、歴史事実に反している。
3、このようにドイツとは、開戦に至る時期も経緯も異なる。それを一方的に両国が「各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけるに至った」と同一に論じれば、特にユダヤ人殲滅を企図して計画的に虐殺を実施したナチスドイツのホロコーストを含むドイツの歴史と我が国の歴史を同一視することになり、断じて容認できない。
平成23年4月22日
日本会議国会議員懇談会
会 長 平沼赳夫
幹事長 下村博文
日独両国を「侵略国」と断罪する国会決議断固反対します
●大災害の対応に全力を尽くすべきこの時期に、日独両国の歴史を断罪する国会決議の強行に断固反対します。
日本とプロイセン(ドイツの前身)が修好通商条約を調印してから150年に当たる今年、日独両国を「侵略国」と断罪するような「日独友好」の国会決議が浮上しています。
この「国会決議」を準備したのは、超党派議員連盟の「日独友好議員連盟」。同議連は民主党政権誕生後、民主党系、自民党系の二つの議連に分裂し「150周年」を迎えるに当たり民主党議連が決議を主導し、自民党に働きかけているといわれます。
3月29日、決議文(案)に「侵略行為」の文言が入っていることが明らかになったため、日本会議国会議員連盟所属の議員が国会内で奔走し、その結果、反対の声が高まり、3月31日に予定されていた国会決議採択は見送りとなりました。
しかし、一旦は見送りとなったはずの、「決議」が、再浮上しています。最初の原案にあった「両国は、その侵略行為により、近隣諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え」といった文言は、自民党、たちあがれ日本などの反対により、削除・棚上げとなりましたが、文案は「各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけ」と両国の歴史を一方的に断罪する内容となっています。今週末以降、多彩な日独交流行事が日本各地で行われることなどを理由に、「日独決議」推進派はこの国会決議の採択を目指しています。
関係者によると、4月16日、横浜のドイツ学園で開催される日独友好行事に伴野豊外務副大臣が出席するため、ドイツ側への手土産としてこの決議を持参したいと各党に根回しをしているといいます。
この決議は、「友好増進」に名を借りて日独両国を「侵略国」として再定義することが隠されたねらいとして存在しています。(※「決議文(案)」は、下記をご参考ください。)
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●以下、日本会議事務総局の見解
大災害の対応に全力を尽くすべきこの時期に、問題を含む「日独友好決議(各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけ)」を強引に推し進めることに断固反対します。
福島原発事故は未だ終息の目処が立たず、現場では命がけの作業が続けられています。被災地の支援も十分ではありません。復興計画も端緒についたばかりです。全省庁はもとより、官民あげて全力をつくすべき時、国会が早急にやらなければならない課題は山積しています。
こうした現状を無視するかのような問題のある決議に取り組むこと事態、国会の見識を疑わざるを得ません。しかも決議文案は、意見のわかれるところが多い歴史観を含みながら一部の関係議員しか知らされておらず、十分に検討された質の高い内容の文章とはなっていません。これで、いきなり本会議に提出されて議決されたところで、本当に友好の心のこもった、国会の総意になるでしょうか。
仄聞するところによれば、16日に横浜のドイツ学園で開催される記念行事に国会決議を間に合わせたいとの関係者の意向があるとのことですが、拙劣な決議より、政府や国会関係者が、この度の被災に対するドイツ国家及び国民の支援に対し、心からの感謝を述べたほうが、友好の実をあげるというものです。
以上、被災国民を無視するような大震災の渦中における拙速な日独友好決議に私共は断固反対するものです。
平成23年4月14日
日本会議事務総局
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●以下、「日独決議」の文(案)
日独交流百五十周年に当たり日独友好関係の増進に関する決議(案)
今から百五十年前の一八六一年、我が国は日・プロイセン修好通商条約に調印し、日本とドイツの前身であるプロイセンとの間に公式な関係が樹立された。
一八七一年にプロイセンを中心に統一を達成したドイツは、我が国が近代化に当たり、模範とした国の一つであり、日独両国はお互いに影響を及ぼし合いながら、友好関係を築いてきた。
両国は、第一次世界大戦で敵対したものの、先の大戦においては、一九四〇年に日独伊三国同盟を結び、同盟国となった。その後、各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけ るに至り、両国も多くの犠牲を払った。
しかし、両国は奇跡の経済復興を遂げ、同時に戦争への反省に立ち、今日、自由、民主主義、人権の尊重という基本的な価値観を分かち合いつつ、世界の平和と繁栄のために緊密に協力している。さらに、両国の国民は、相互の文化と価値観に対する尊敬の念を基礎に、広範多岐にわたる交流を着実に進めている。
本院は、日独交流百五十周年に当たるこの機会に、今後とも我が国は、信頼関係に基づくパートナーであるドイツと共に、国際平和の実現に向けて最大限の努力を継続する所存であることを、ここに銘記する。
右決議する。