オピニオン

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[憲法]戦争に反対であるからこそ、憲法改正を(平成29年5月19日)

憲法

日本国憲法施行70年

= 自衛隊を憲法に明記するときが来た =

相談役②

「認定NPO法人日本を美しくする会」相談役

鍵山 秀三郎 かぎやま ひでさぶろう

昭和8年東京生れ。自動車用品会社「イエローハット」を創業し一代で上場企業に。平成21年退社。「凡事徹底」を信条とし、創業以来続けた「掃除」に多くの人々が共鳴し、創唱した「日本を美しくする会」の活動は国内外に広がっている。著書に『凡事徹底』『鍵山秀三郎語録』『日々これ掃除』など多数。

 

■ 「どっちが正しいか」ではなく、「何が正しいか」の議論を!

夏目漱石の小説に「空(から)の盃(さかずき)の献酬(けんしゅう)」という表現が出てきますが、いまの国会を見ていると正にこれだなあと落胆をするばかりです。

森友学園の事や一大臣の発言の揚げ足取りに多くの時間を割く余裕などいまの日本の国会にはないはずです。もし森友学園が法に触れるようなことをしているとするならば司直の手に委ねるべきであって、国会で解明するようなことではないはずです。

以前、ある国会議員にも申し上げたことがありますが、「どっちが正しいか」の議論ではなく、「何が正しいか」の議論をなすべきです。そうすれば与野党間にも何らかの一致点も見えてくるはずです。そして、大切なのは政府や国会が取り組むべき重要課題の最優先順位は何であるか、この原点に立ち返ることです。それは日本という国が未来、子々孫々に至るまで存続し、国民が平和で安全な生活を送れるようにすることではないでしょうか。

その大前提としてぜひともなくてはならないもの、それは国民一人ひとりが国を守る意思を確固として持つことです。

 

■ ライシャワー氏の警告

かつて、米国のライシャワー元駐日大使は、帰国後、日本人記者団を前にした講演で次のようなことを述べています。

「アメリカがベトナム戦争敗北で学んだことは、その国の国民が自分の国(南ベトナム)を守ろうとしなければ、いかなる精鋭部隊や最新兵器を投入してもその国を守ることはできないということだ」。

これは日本への警告です。

戦後久しく、我が国では、国防ということはタブー視されてきました。自衛隊という組織はあっても憲法でその存在を否定するかのような条文があるため、自衛隊は長く日陰者扱いされてきました。学校で自衛隊員の子供たちが日教組の教師から「お前の父親は人殺しか、戦争屋か」とひどいことを言われたりもしたのです。

 

■ 「ありがたい」という心底からの思い

しかし、時代は変わりました。

誹謗中傷にも耐えて日夜黙々と日本を守るために活動してきた自衛隊の姿が、国民の目にもはっきりと見えてきたのです。

PKOや災害派遣活動も含め、自衛隊の清々(すがすが)しいまでの秩序ある活動が国家、国民の安全を守ってきたということが、国民の間に広く認知されるようになりました。この誠意ある組織を信じるときがきたのです。

平素から体力、精神力、技術力を鍛え、警戒監視を怠らず、いざというときはスクランブル発進など日夜国を守る活動に従事している自衛隊のお陰で、私たちは日々の日常生活を安泰に送ることが出来ている。このお陰に対する感謝の気持ち、これを忘れてはいけない。「ありがとうございます」と感謝の意思表示をすることは大切だけれども、それ以前に、国民一人ひとりが心の中で「ありがたい」という心底からの思いを抱いているか。そのことを私は皆さんに問いたいと思います。

東日本大震災や熊本地震など被災地の方々は、そのことを身に沁みて感じていると思います。また、PKOなど海外で活動した自衛隊が帰国するとき、現地の人々は心の底からそう思っていてくださることがよく伝わってきます。今回のスーダンもそうですし、かつてのイラクもそうでした。現地の人々は自衛隊の活動を「ありがたい」と心底思い、「残ってほしい」と切実に願ったのです。

このように世界の人々からも信頼される自衛隊を、本国の私たちが憲法に明記せず、その存在が憲法違反の恐れがあるなどと憲法学者に言わせるような不安定な状態に置いたままでいいのでしょうか。そのことによって、いかに自衛隊の正当な行動に足枷を課せられてきたことか。

 

■ 自衛隊を憲法に明記するときが来た

そもそも戦後久しく宣伝されてきた「自衛隊=戦争」とする短絡的な考え方そのものが誤っていました。私も戦争を経験した世代です。空襲で家を焼かれ、山の中の疎開生活で悲惨な体験をしました。だから戦争には反対です。戦争に反対であるからこそ、戦争から日本を守るために憲法を改正すべきなのです。

海洋覇権を目論み、南シナ海や尖閣諸島海域で横暴を極める中国、拉致被害者を帰さず、ミサイル発射を連発し核開発を進める北朝鮮、反日教育を進める韓国、北方領土に最新鋭ミサイルを配備するロシアなど我が国周辺の国際情勢はますます厳しさを増しています。

 このようなとき、憲法にその存在が明記されていないがために、様々な足枷を課せられてきた自衛隊のままでいいはずがありません。

 そのままでいいと一番思っているのは、この日本を自分たちのものにしよう、あるいは意のままにしようと虎視眈々と狙っている国々です。

 自衛隊は隊員の質も技術も一流です。組織としての練度、団結力は他国の軍隊に引けを取りません。その自衛隊の力を中国などは内心恐れているのです。自衛隊を強くするのは日本国民の支持です。だから、歴史問題を持ち出し、靖國神社参拝を妨害することで、日本国民の国を守る意思を弱め、自衛隊への支持力を弱めようとしているのです。

私は8月15日に100万人の国民が靖國神社に参拝するようになれば、中国などはもう何も言ってこなくなると思います。国民の国防への意思をしっかりと示すことこそが抑止力となるのです。

 チベットやウイグルや内モンゴルの人々の悲痛な叫びを聞くたびに胸が痛みます。しかし、もし憲法改正をせずに、優秀な自衛隊を束縛し続けるならば、私たちの子孫がそのような悲惨な目に遭うかもしれないという覚悟をいま、私たちは持たねば国は危ういのです。

今年5月3日は日本国憲法施行70年ですが、70年もの長い間、国家の基本たる国防について国民一人ひとりが真剣に考える機会をあまり持たなかったことで、事態はそこまで切迫してしまったのです。私は、断乎として速やかなる憲法改正を主張いたします。

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入会案内

 

「国民の会」中央大会と全国代表者会議を開催~全国憲法改正運動より~(平成29年4月20日)

国民運動憲法

美しい日本の憲法をつくる国民の会中央大会と全国代表者会議を開催

5月号01 (5)

 

5月号01 (7)

3月29日、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、各県と団体の各代表を集めた全国代表者会議(写真上)と「各党は憲法改正原案の国会提出を」と題して中央大会(写真下)を開催。1000万賛同者拡大運動の成果と今後の方針、国会発議促進に向けた運動方針を決議した。中央大会には自民党、民進党、公明党、日本維新の会、日本のこころの5党から41名の衆・参国会議員が出席、全国から活動者ら700名が参加しました。

トランプ政権と日本の国防の基本姿勢(日本の息吹4月号より)

安全保障

トランプ政権と日本の国防の基本姿勢-(日本の息吹4月号より)

― 次第に全貌を現わしつつある米トランプ政権。安全保障、日米同盟についての取り組みはどうか。しかし、そもそもアメリカからいわれるまでもなく、外国の脅威から日本の国益を護るため、国防予算の倍増など我が国が生き残るための国力増強こそ急務なのである。 ―

軍事社会学者
北村 淳 きたむら じゅん

777

東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業後、警視庁公安部等に勤務。ブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学博士)取得。現在、軍事コンサルタント(米シンクタンク)としてシアトル在住。著書に『米軍が見た自衛隊の実力』『写真で見るトモダチ作戦』『海兵隊とオスプレイ』『巡航ミサイル1000億円で中国も北朝鮮も怖くない』等がある。

*   *   *

■ トランプ政権の国防の基本方針

本稿執筆段階では、国防長官と安全保障問題担当大統領補佐官は決定しているものの、未だに海軍長官をはじめ国防総省の高官人事が落ち着いていない。当然のことながら、トランプ政権の安全保障戦略が具体的な形で打ち出されてはない。もっとも、トランプ政権に限らず大統領が交代した場合、新政権の安全保障戦略が明示されるには、その重大性ゆえに、ある程度の時間を要する。(トランプ政権でも2018年1月までに新戦略を練り直して発表されることになっている。)したがって、トランプ政権の具体的安全保障戦略に立脚して議論することは、現段階では、未だ時期尚早といわざるを得ない。ただし、大統領選挙期間中から就任後これまでのトランプ政権による安全保障関連人事の動向や、トランプ大統領はじめ安全保障関係者たちの言動などから、
(1)国防予算を大幅に増額し、アメリカ軍とりわけ海洋戦力を増強する。
(2)当面目に見える形でアメリカが軍事的に関与するのはIS撃滅作戦である。
(3)ロシアとの直接対峙は避け、NATO/EU諸国を前面に据えて対ロ牽制を実施する。
(4)覇権主義的海洋侵出の勢いが止まらない中国の勢いを牽制する。
という基本方針はほぼ確実と考えられる。

■ 米海軍増強の論理

これらのうち、日本の防衛そして日米同盟に直接関係するのは、中国の海洋侵出への対処である。オバマ政権は中国の海洋侵出政策に対して強硬な反対姿勢を示さなかったため、中国は南沙諸島に7つの人工島を建設してしまい、それらのうちの3カ所には本格的航空施設まで誕生させてしまうことになった。(中略)このような状況に対して、トランプ政権は中国の南シナ海全域にわたる完全なコントロールを阻止すべく軍事的な牽制を実施する姿勢を打ち出している。しかし、中国にとり南シナ海は「前庭」のような存在で広東省や海南島の数多くの航空基地や海軍施設から直接戦闘機、攻撃機、軍艦を繰り出すことができ、沿岸域に配備された多種多様の長射程ミサイルで迫り来るアメリカ軍艦や航空機を迎え撃つことができる。それに加えて西沙諸島や南沙諸島にも少なからぬ前方展開軍事基地を確保してしまった。一方のアメリカ軍は「フィリピンに多数の本格的軍事拠点を確保して、数百機の戦闘機や爆撃機、それに多数の軍艦を常駐させ、十万以上の陸海空海兵隊兵力を駐屯させる」といった状況にならない限り、空母艦隊を南シナ海に派遣して中国海洋戦力と対峙しなければならない。いくらアメリカ空母艦隊が遠征能力を誇っているとはいっても、空母艦隊は横須賀、ハワイ、そしてアメリカ西海岸から「中国の前庭」に長駆しなければならないため、距離の不利は圧倒的である。そのうえ、戦闘が予想される状況下で空母艦隊が出動するとなれば、戦闘攻撃機をはじめする70機以上の各種航空機を積載した原子力空母の他に攻撃原潜2隻、イージス巡洋艦2隻、イージス駆逐艦2〜3隻、戦闘補給給油艦1隻からなる戦時編制の空母打撃群を出動させなければならない。このような大艦隊は海に浮いているだけでも莫大な費用がかかる。それを少なくとも3セット以上は南シナ海に派遣することなど、とても現在のアメリカ軍にはできない相談である。ようするに、「第一次世界大戦後以来最小の規模まで落ち込んでしまった」と海軍関係者が嘆いているように戦力低下をきたしてしまった米海軍力を復活させない限り、とても「中国の庭」ともいえる中国沿海域で、中国海洋戦力の自由気ままな動きを封じ込めることなど、アメリカ海洋戦力(海軍と海兵隊それに空軍の一部)を持ってしてはできかねる、というのが現状なのだ。選挙期間中からこのようなアメリカ海洋戦力の現状をトランプ大統領にすり込んできた人々が、今やトランプ政権の安全保障政策の舵取りをしようとしている。ビジネスマンであるトランプ大統領自身も「海洋戦力の構築とはすなわち軍艦の建造を盛んになすことであり、軍艦の建造とは鉄鋼業から最先端技術まで幅広い分野での用が拡大することになる」という論理で、海洋戦力増強論者たちと利害が一致したのだ。したがって、国防予算を大幅に増額し、集中的に海洋戦力構築のために投入するというシナリオは確実に推進されていくのである。

以下は「日本の息吹4月号」につづく

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月刊「日本の息吹」は、「日本会議」が発行する機関誌です。誇りある国づくりをめざすオピニオン誌として、新しい視点で明日の日本の進路と、日本再発見を提言します。

目次

グラビア
●今月の言葉/今林賢郁
●フォトグラフ
●トランプ政権と付き合うにあたって必要な日本の国防の基本姿勢とは何か/北村淳
特集「慰安婦」歴史戦を戦い抜け!(その2)日本の子供たちを誰が守るのか?~“憎しみの工場”の最大の被害者は子供たちだ/山岡鉄秀朝日・グレンデール訴訟最終準備書面(後編)
●[連載]新教育基本法下の教育改革/村主真人
日本会議は結成20年を迎えます─誇りある国づくりめざして《20年の歩み①》日本会議の設立日本会議20年史年譜《前編》
●[書評]山村明義著『日本をダメにするリベラルの正体』
●[連載]憲法おしゃべりカフェ/愛知県
●糸魚川の大火災から学んだこと/白沢賢二
●「松柏学園・大志万学院訪日使節団」交流歓迎会
●[連載]コーシンの世相談義/髙信太郎
●息吹のひろば

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トピックス : トランプ

日本会議への批判報道を糾す(日本会議会長 田久保 忠衛)

その他

内外の一部マスメディアによる、ステレオタイプ化された日本会議への批判報道や出版が後を絶たない。その虚偽、誤解、偏見について、改めて反論する。(本稿は、『月刊Hanada』平成28年8月号に新たに加筆したもので、執筆・発刊時期は参院選前です)

日本会議会長 田久保 忠衛

 

■間違いだらけの関連書籍

先日、外国人記者クラブのライブラリで調べ物をしていたら、見ず知らずのフランス人記者が話しかけてきた。
「あなたがタクボか」と訊くので「そうだ」と答えると、「今日のThe Japan Times を見たか。あなたが出ていたぞ」と言われて驚き、すぐに The Japan Times を買い求めた。
記事は、朝日新聞政治部の園田耕司さんという記者が書いたもので、内容は日本会議について。記事では私をずいぶんと高く評価してくれている。
要約すれば、日本会議は憲法改正を企んでいる連中の集まりである、田久保が日本会議を作ってアイデアを出し、組織を牛耳っているのだ……。
ずいぶんと買い被られたものだ。
むろん、事実は全く違う。私が日本会議の会長になったのは昨年で、それまでは代表委員として事実上、名前をお貸ししていたに過ぎない。
日本会議は、一九九七年に「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が統合する形で発足した。「国民会議」には私も講師として入っていたが、そこでもたいしたことはしていなかった。だから、私が影響力を持っているというのは過大評価である。
The Japan Times の記事はこう続く。
憲法改正について、安倍首相は熟慮して、これまでと違ったトーンになりつつある。ところが、日本会議はいまだに突出した考えを持って行動している。このままでは、日本会議はいずれ二つに分かれるだろう。一つは安倍首相に忠実なもの、もう一つは憲法改正すべきだとの方向に突き進むもの。二つに空中分解して次第に勢いを失っていくのではないか……。しかし、自民党が参議院選で大勝すれば話は別だが、と。
ここ一年前くらいから日本会議が注目され出し、特にこの四月に出た菅野完『日本会議の研究』(扶桑社新書)を皮切りに、関連書籍や記事が続々出ている。
ざっとあげるだけで、上杉聰『日本会議とは何か』(合同出版)、『Journalism』 「特集 存在感増す『日本会議』、組織、人脈、行動…右派運動ってなんだろう?」(二〇一六年五月号)、『週刊金曜日』 「特集 『戦後憲法』を敵視する保守運動 日本会議」(五月二十七日号)……。
どれもが日本会議を批判する内容で、今後も続々と出版されるようである。
国外でも、昨年六月にイギリスのThe Economist が日本会議について報じた。実はこの時、女性の記者が櫻井よしこさんのところに取材に行き、一時間半くらい話を聞いたという。
櫻井さんは真っ当なことをお話しになったようだが、それは紙面では全く取り上げられなかった。つまり、初めから日本会議を叩くのが目的で、櫻井さんから何か裏付け材料になるものを得ようという魂胆だったのだろう。
これらの記事が読まれて、下敷きとなり、各国で新たな記事がどんどん出ている。たとえばオーストラリア、フランス、ドイツの新聞が大同小異の記事を書いている。
日本会議としては、批判されるのは構わない。それが妥当なものであれば、反省すべき点は反省しようと思っている。ただし読んでみると、あまりにも的外れの批判が多すぎる。放っておくわけにもいかないので、会長として日本会議への誹謗・曲解に答えたい。

■新たな批判対象として

そもそもなぜ、日本会議が叩かれるのか。
我々日本会議は、「美しい日本の憲法 をつくる国民の会」の参加団体として、一千万人賛同者拡大運動を行っている。七月に実施される参議院選挙後に、憲法改正の国民投票が行われることを目指したもので、時期的に見ても参院選で憲法改正が大きなイシューになると考えていたからスタートしたのである。
ところがここにきて、The Japan Times も書いているように、安倍首相のトーンが変わってきている。おそらく安倍首相としては、安保法制の際にエネルギーを使いすぎて、いまは大きなことをしたくない。憲法改正への手続きは大変だから、まずは参議院選挙で三分の二を確保することに集中しよう──という政治的判断をされたのだろう。それは安倍首相の判断だから、こちらからとやかく言うことは控える。
しかし我々は政治家ではないので、直線的に手がけた仕事を最後までやるぞ、と参院選を前にして盛り上がっている。そうなれば憲法改正という点において、当然、我々の存在は突出したものになる。
突出するために運動しているのだから当たり前だが、しかしそれが目障りだと感じる人も出てくる。よし、ここで叩いておこう、というのが日本会議批判派の最大の狙いではないかと思う。
特にThe Economist ではそれがよくわかる。書かれていることを箇条書きで抜き出すと──。
・日本会議は歴史修正主義者を集めている。
・第二次世界大戦で東アジアを解放した、と戦前を賛美している。
・軍隊を再建しようとしている。
・愛国主義だ。
・「左翼の教師たちが子供たちを洗脳しようとしている」と騒いでいる。
・戦前の天皇絶対主義を再現しようとしている。
どこかで聞いたことがあるような批判である。
すなわち、この雑誌は時代錯誤的リベラルなのだ。実はいま、アメリカではリベラルは孤立主義と同じような蔑称になりつつあり、リベラルであることを隠すアメリカ人が圧倒的に増えていて、自分たちを「progressive」(進歩的)と自称するようになっている。そういった人たちが、この記事を書いたのだろうか。
彼らはニューヨーク・タイムズ(NYT)を中心に、ずっと安倍首相を叩いてきた。それでも首相の支持率は高いままだ。ナショナリストだと繰り返したが、そうではなかった。アメリカでも評判がいい。G7も安倍首相の独り舞台だった。オバマ大統領も広島に来た……となると、安倍首相を叩くことができなくなってきた。そこで、批判する対象として日本会議が登場するという構図だろう。

■改憲の何が悪いのか

そもそも、改憲論者で第九条の二項を変えようという者はいるが、一項を変えようという者はいない。念のため引用すると──。
一、日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
二、前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
読めばわかるように、一項は「侵略戦争をしない」との意味で、これに反対する人はいまい。しかし、二項のままでは自衛隊は軍隊ではない。国内法では憲法の制約から軍隊ではないが、「国際的には軍隊とみなされます」と国会答弁され続けてきた。二項がどれだけ現実とそぐわないかは、見てのとおりだ。仮に自衛隊員が海外で捕えられ、「軍人としての正当な待遇を求める」と主張しても、「諸君らは国内法では軍隊ではない」と言われることも考えられる。こうした不整合な状態は解消しなければならないだろう。
ところが、The Economist は「紛争解決の手段として」武力の威嚇や行使はしない──との第一項を廃止しようとしている、と書いている。
九〇~九一年にかけて、サダム・フセインがクウェートを占領したのを、ブッシュシニアが多国籍軍を使って追い出した。クウェートはワシントン・ポストの一面を使って感謝広告を出したが、そこに日本の名前はなかった。
他ならぬ The Economist が「重大事に昼寝をしていたのか」と日本を批判し、私は「そのとおり、さすがThe Economist だ」と著書に引用したことがある。しかし、今回の記事では正反対のことを言っている。
これまで日本は憲法九条があるために、経済以外での国外での活動はしてこなかった。そんな状態を改めなければならない。だから日本会議は憲法改正を目標にしているのに、なぜいま The Economist がそれを批判するのか。
かつて中国は、憲法改正することで日本は軍国主義に戻ろうとしている、と言っていたが、誰が信じるか。中国でさえこの恥ずかしさに気づいて、十年ほど前から言わなくなっている。それを、The Economist が臆面もなく使っている。
他にも愛国心を子供に強制しようとしているというが、これまで国旗・国歌が軽んじられ、愛国心があまりにもなさ過ぎた。ために、愛国心くらいは教育基本法の精神として入れることを考えて実現したことが悪いのか。イギリスは愛国心を危険視し、国旗・国歌を軽んじている国なのか?
靖國参拝もけしからんと言うが、招魂社であり、「A級戦犯」も「B級戦犯」もない。「靖國で会おう」と言って戦争で亡くなった人たちの思いを、尊重したいだけである。日本の神道とは何かが全くわかっていない。
もし中国や韓国の言うように「A級戦犯」を除外すれば、次はB、C、最後には靖國神社自体をなくしてしまおう……となるのは目に見えている。外交の道具に使われていることも見抜けないのか。
The Economist のオピニオンには呆れてしまい、以後、この雑誌を読むことはやめた。

■三つの批判への反論

日本会議批判は、大きく分けると三つになる。
一つは、様々な宗教団体が入っていること。宗教団体は教祖の一存で右向け右となる団体で、それは危険ではないか、と。
様々な宗教団体が参加しているのはたしかだが、日本会議の綱領と運動方針(日本の伝統・歴史を尊重する、皇室を尊重する、憲法を改正する)に賛同する向きは個人、団体、宗教団体などに限らず入っていただいている。基本のところではコンセンサスがとれている宗教団体だけだ。むしろ、違う考えだったら参加しないだろう。
二つ目は戦前への親和性、すなわち天皇崇拝や軍国主義など、戦前の価値観へ戻ろうとしているという。
これまで、日本の国体という問題を考えたことのない人たちなのだろう。少なくとも The Economist 、NYTなどはそうだ。たとえば、私は産経新聞の「国民の憲法」を作る起草委員会の委員長だったが、一室にこもって日本の国体とはなんぞやを長時間、侃々諤々議論してきた。
要するに日本の歴史のなかで、天皇は権威であり、権力は別にあった。幼少あるいは老齢の天皇をお助けする役目として、摂政、関白の補佐役ができ、それが権力になっていった。権力は藤原氏、平氏、源氏、北条氏、足利氏、次いで織豊時代を経て江戸時代、そして明治維新になる。その間、後白河上皇、後醍醐天皇などの一時期を例外として、天皇の権威を侵す者はいなかった。万世一系の皇室を尊重するのはいけないのか。
憲法についても、日本会議は「新憲法の大綱」を過去に発表し、百地章先生と大原康男先生に解説を書いていただき、『新憲法のすすめ─日本再生のために』という本を出し、皇室尊重ではあるが、しかし立憲君主制なので、元首としての天皇の下に、実権は内閣総理大臣が握る構造を提起している。
西欧の王は征服王であり、また中国は易姓革命の国だ。天皇が祭祀王(プリースト・キング)、世界で類を見ない国民の安寧と平和を祈る王であることを理解していない。だから、皇室尊重を危険視しているのであろう。
たしかに、戦前に行き過ぎた時期はあった。しかし、戦争が近づいて社会が異常になった瞬間だけを捉えて「戦前=悪」とするのは、デマゴーグの一種ではないかと思う。
三つ目の批判は、元号法制定や国旗国歌法制定、教育基本法改正など、日本会議がこれまでやってきたことが実現しており、日本会議は大きな力がある運動団体で政府をコントロールしている、というもの。
考えていただきたいのだが、中国やロシア、北朝鮮ならともかく、日本は民主主義国家である。特定の運動団体が、国会や政治の動きを自在にコントロールできるわけがない。いくら日本会議に力があったとしても、国民を説得し、国民が納得しなければ何事も決まるわけがない。常に過半数を動かすような力などありえない。こんな当たり前のABCがわからないのだろうか。
日本会議がやってきたことが実現したというのは、わが国民の声なき声を土台に、各人が長年かけて一所懸命、無私の心でやってきた結果でしかない。もう少し違う角度からご覧になったほうがいいのではないか、とアドバイスをしたい。

■問題個所が百五十カ所

先に挙げた多くの日本会議批判本や記事のなかで、現在、際立って売れているのが、菅野完氏の『日本会議の研究』で、すでに十万部を超えているという。
ざっと内容を見てみよう。
「日本会議の淵源は谷口雅春の生長の家」
「日本会議をつくったのは村上正邦元参院議員」
「安倍首相のブレーンとも言われる日本政策研究センター代表の伊藤哲夫は生長の家の元幹部」
「百地章(憲法学者)、高橋史朗(明星大教授)ら日本会議に近い学者たちも生長の家から出た人々」
「『日本会議国会議員懇談会』に所属する国会議員が第三次安倍内閣の全閣僚十九名に占める割合は八割を超えていた」
「もはや安倍内閣は『日本会議のお仲間内閣』」
「政治家では首相補佐官の衛藤晟一などが活発に活動」
「日本会議を支えているのは佛所護念会、念法眞教、崇教真光、神社本庁、霊友会などの各種宗教団体……彼らが運動の主力」
こういう背景のもとに安倍政権が進める憲法改正を目標に活発に運動しているのが日本会議だということを、古い資料なども引用して一見、実証的(?)にレポートしている。
事務局で『日本会議の研究』を調べた結果、虚実、装飾、誹謗中傷、事実誤認、印象操作、著作権侵害、肖像権侵害、プライバシー侵害など、数えると百五十カ所以上あった。
椛島有三氏(日本会議事務総長・日本協議会会長)は直ちに扶桑社に出版停止を求め、申し入れを行った。概要を引用すると──。
《1、『日本会議の研究』は、過去の一部学生運動・国民運動体験者等の裏付けの取れない証言や、断片的な事象を繋ぎ合わせ、日本会議の活動を貶める目的をもって編集された極めて悪質な宣伝本であり、掲載されている団体・個人の名誉を著しく傷つけるものである。
2、ことに、日本会議の運営が、宗教的背景を持つ特定の人物によって壟断されていると結論付けていることは、全く事実に反している。日本会議の意思決定は政策委員会、常任理事会、全国理事会など各種役員会を通じて機関決定されており、長年にわたり本会運営に携わった役員・関係者各位への冒瀆である》

■政策実現を目指すのは当然

申し入れ書の2について触れておくと、そんな人間はどこにも見当たらない。会長、副会長、常任理事、理事と、普通の組織と同じだ。会議にしても、地方から中央に上がってきて、積みあがってきたものを常任理事会で決定する仕組みである。だから、特定の人物が壟断できる組織ではない。
日本会議の具体的活動の例として、魚住昭『証言 村上正邦』を基にしながら、「戦後五十年決議」の文案をめぐる攻防が書かれている。
最終的な決議案文面変更に怒った椛島氏らが、村上氏のネクタイを摑んで怒鳴り散らした──とあるが、これは事実に反する。椛島氏ら終戦五十周年国民委員会の役員は村上氏に呼ばれて部屋に入ったのであって、怒鳴りこんだわけでもないし、ましてやネクタイを摑んでもいない。
さらに、「戦後七十年談話」作成時に、座長代理の北岡伸一氏が「安倍首相に『日本が侵略した』と言ってほしい」と言っていたが、「『植民地支配と侵略』や『おわび』の踏襲にこだわる必要はない」と正反対のことを言い出したのは、《彼が相当の圧力──「参院の法王」(注・村上正邦)にさえ「ネクタイを摑んで」 「怒鳴り散らす」ほどの圧力──を受けたであろうことは想像に難くない》と書いている。
断定こそしていないが、「日本会議が圧力をかけた」としたいのだろう。
しかし、そんな事実は全くない。だいたい、日本会議のメンバーは北岡氏が苦手で、率先して接触したい人ではない。
他にも、昨年十一月十日に日本会議が主導した「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が開催した「今こそ憲法改正を! 武道館一万人大会」で「九条改正は語られなかった」としているのだが、櫻井共同代表は、いまの憲法では日本を守れない、と九条改正の必要性について言及している。
批判派が一番気にしているのは、多くの政治家が名を連ねていることのようだ。
しかし、我々は運動体である。国民運動を通じて政策実現を目指しているのだから、法律法令を作る地方・中央の政治家にアプローチするのは当然で、共通の目的を持った政治家が参加するのも当たり前ではないか。それは右左関係なく、全ての民間運動に言えることである。国民運動団体が政治に密着していることを批判されても、困る。
また、椛島有三氏が昭和五十二年(一九七七)に元号法制定運動の際に、《「国会や政府をゆり動かす」ため「各地に自分たちの問題として取り上げるグループを作り」 「県議会や町村議会などに法制化を求める議決をしてもらひ」 「この力をもって政府・国会に法制化実現をせま」る》という戦略をもち、これが現在の「日本会議の運動戦略」そのものだと言う。
これはそのとおりだ。しかし、それの何が悪いのか?
同じように、最高裁の天下り機関のような言い方もされているが、そんなわけがない。石田和外元最高裁長官が日本会議の前身ともいうべき組織の議長を務め、たまたま第三代会長に元最高裁長官の三好達氏がなられていたにすぎない。

■国際情勢の変化を見ろ

日本会議を批判する人たちは、憲法改正で力を発揮されては困る、という焦りから批判しているのだろう。特に昨年十一月十日の一万人大会で人が集まったので、ますますまずいと思ったのではないか。
では、憲法改正がまずいことなのか?
一万人大会に、米国のジョン・マケイン上院議員がメッセージを送ってくれた。彼の口から憲法改正を言えば内政干渉になってしまうのでそうは言わなかったが、「しっかりした日本を作ることを心から望む」というものだった。
中国の異常な膨張主義と米国の「内向き」の姿勢のなかで、「日本の憲法改正に反対するアメリカ人はいまは少ない」との話を、米国の然るべき人から聞いたばかりだ。
いまのアメリカは、猫の手も借りたいほどいっぱいいっぱいの状態である。そのため、自分の国も守ろうとしない国のために自分の子供たちの血を流してたまるか、という気持ちが高まっている。日本会議批判をする前に、日本を取り巻く国際情勢を少しは考えてみたらどうか。
アメリカはこの三十年来、自殺率が上がり、所得格差も凄まじいことになっている、アメリカンドリームはもはや「風と共に去りぬ」、そんな状態になっている。だからこそ、トランプが出てきたのである。
そんなアメリカを前にして、日本はどうするのか。仮に、トランプではなくヒラリーが大統領になったとしても結局はオバマの踏襲だから、アメリカが内向きであることは変わらない。
かつてペリー、敗戦と、日本は二度にわたる大改革を体験したが、三度目の衝撃波も太平洋の向こうからやってくるかもしれない。自分たちで考え、行動するしかない。なぜ、国際情勢に明るいはずの外国人記者の一部の人たちが憲法改正を危険な行動だと言うのか、理解できない。
昨年六月、日本外国特派員協会での記者会見でこんなやり取りがあったという。質問者は The Economist のマクニール記者。答えたのは小林節氏(『Journalism』魚住昭記事より)。
マクニール「集団的自衛権行使を合憲としている憲法学者が三人おり、彼らは全員、日本会議に属している。それは何を意味しているのか?」
小林「私は日本会議にはたくさん知人がいる。彼らに共通する思いは第二次世界大戦での敗戦を受け入れがたい、だからその前の日本に戻したい。日本が明治憲法下で軍事五大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したいという思いの人が集まっている。よく見ると、明治憲法の下でエスタブリッシュメントだった人の子孫が多い。そう考えるとメイクセンス(理解)でしょ」
これはもう、アナクロニズムでしかない。現在の日米関係、アメリカの現状を全く見ていない。

■小さなグループの集まり

ただし、小林氏の「軍事五大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したいという思いの人が集まっている」というのは、日本は自分の国の運命を自分で決めるプレイヤーであるべきだ、という点で当たっている。
ところが、いまは全てアメリカ頼み。防衛を放棄し、経済だけで繁栄してきた。それはそれで一つの成功だとは思うが、憲法の枠内で「孤立主義」を唱えてきた「一国中心主義」ではないか。米国と一緒に、世界に「進軍」することを本気で考えている日本人はいるのか。
戦前の軍隊と違ってシビリアン・コントロールをはっきりさせ、統帥権の独立などの解釈は絶対に生まれない体制にする。単に「戦前の日本に戻したい」などと考えている会員は一人もいないと思う。第一、そのようなことは運動の目標たり得ないのである。
以上述べたように、日本会議への批判は過大評価か的外れ。我々は「安倍政権の黒幕」などではなく、一所懸命活動している一国民運動団体でしかない。いま成果があがっているのは、長年の地道な活動の結果なのだ。奇しくも、『週刊金曜日』で魚住昭氏がこう書いている。
《日本会議の実態は小さなグループの寄り集まり》
《日本会議は戦術が巧みで、実態以上に自分たちを大きく見せるやり方がうまい。その結果、彼らがあたかも現在の日本を覆い、政治を動かしているかのような誇大イメージが現在、あちらこちらに広まっている》
そのとおり。よくわかっていらっしゃるではないか。

2月23日、皇太子殿下お誕生日に際し 「過去の天皇が歩んでこられた道」

皇室

平成29年2月23日、57歳をお迎えになられた皇太子殿下には、お誕生日に際してご会見になられました。

ここでは、
「次期皇位継承者である殿下ご自身は象徴天皇とはどのような存在であるべきか」
「皇室の現状や将来の在り方について」
のお答えの部分をご紹介します。

記者からの質問に対し、皇太子殿下は御丁寧にひとつ、ひとつをお答えになっています。私たち国民は、その御言葉をひとつ、ひとつ大切に受け止め御皇室に寄り添うことが大切であると感じました。

皇太子殿下お誕生日に際し(平成29年)
皇太子殿下の記者会見 - 質問2、質問4を掲載 -
会見年月日:平成29年2月21日
会見場所:東宮御所

*  *  *
問2 政府が設置した有識者会議で象徴天皇の在り方について議論が重ねられており,国民の関心も高まっています。次期皇位継承者である殿下ご自身は象徴天皇とはどのような存在で,その活動はどうあるべきとお考えでしょうか。殿下が即位されれば皇后となられる雅子さまの将来の務めについて,お二人でどのようなお話をされておられますか。

皇太子殿下

象徴天皇については,陛下が繰り返し述べられていますように,また,私自身もこれまで何度かお話ししたように,過去の天皇が歩んでこられた道と,そしてまた,天皇は日本国,そして日本国民統合の象徴であるという憲法の規定に思いを致して,国民と苦楽を共にしながら,国民の幸せを願い,象徴とはどうあるべきか,その望ましい在り方を求め続けるということが大切であると思います。

陛下は,おことばの中で「天皇の務めとして,何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが,同時に事にあたっては,時として人々の傍らに立ち,その声に耳を傾け,思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました」と述べられました。私も,阪神淡路大震災や東日本大震災が発生した折には,雅子と共に数度にわたり被災地を訪れ,被災された方々から直接,大切な人を失った悲しみや生活面での御苦労などについて伺いました。とても心の痛むことでしたが,少しでも被災された方々の痛みに思いを寄せることができたのであればと願っています。また,ふだんの公務などでも国民の皆さんとお話をする機会が折々にありますが,そうした機会を通じ,直接国民と接することの大切さを実感しております。

このような考えは,都を離れることがかなわなかった過去の天皇も同様に強くお持ちでいらっしゃったようです。昨年の8月,私は,愛知県西尾市の岩瀬文庫を訪れた折に,戦国時代の16世紀中頃のことですが,洪水など天候不順による飢饉や疫病の流行に心を痛められた後奈良天皇が,苦しむ人々のために,諸国の神社や寺に奉納するために自ら写経された宸翰般若心経のうちの一巻を拝見する機会に恵まれました。紺色の紙に金泥で書かれた後奈良天皇の般若心経は岩瀬文庫以外にも幾つか残っていますが,そのうちの一つの奥書には「私は民の父母として,徳を行き渡らせることができず,心を痛めている」旨の天皇の思いが記されておりました。災害や疫病の流行に対して,般若心経を写経して奉納された例は,平安時代に疫病の大流行があった折の嵯峨天皇を始め,鎌倉時代の後嵯峨天皇,伏見天皇,南北朝時代の北朝の後光厳天皇,室町時代の後花園天皇,後土御門天皇,後柏原天皇,そして,今お話しした後奈良天皇などが挙げられます。私自身,こうした先人のなさりようを心にとどめ,国民を思い,国民のために祈るとともに,両陛下がまさになさっておられるように,国民に常に寄り添い,人々と共に喜び,共に悲しむ,ということを続けていきたいと思います。私が,この後奈良天皇の宸翰を拝見したのは,8月8日に天皇陛下のおことばを伺う前日でした。時代は異なりますが,図らずも,2日続けて,天皇陛下のお気持ちに触れることができたことに深い感慨を覚えます。

私がここ10年ほど関わっている「水」問題については,水は人々の生活にとって不可欠なものであると同時に洪水などの災害をもたらすものです。このように,「水」を切り口として,国民生活の安定,発展,豊かさや防災などに考えを巡らせていくこともできると思います。私としては,今後とも,国民の幸せや,世界各地の人々の生活向上を願っていく上での,一つの軸として,「水」問題への取組を大切にしていければと思っております。

また,私のこうした思いについては,日頃から雅子とも話をしてきており,将来の務めについても話し合っていきたいと考えております。

問4 皇族方の減少や高齢化が進む中,皇室の現状や将来の在り方についてどのようにお考えでしょうか。両陛下の負担軽減や皇族方による公務の引継ぎ,分担についての殿下のお考えもお聞かせください。

皇太子殿下

皇室の現状についての御質問ですが,男性皇族の割合が減り,高齢化が進んでいること,また,女性皇族は結婚により皇籍を離れなければならないということを前提とした場合に,皇族が現在行っている公務をどのように引き継ぎ,どう分担していくべきかという点は,将来の皇室の在り方とも関係し,大切な問題であると思います。そして,皇室の将来の在り方に関しては,私は,以前にも申しましたけれども,その時代時代で新しい風が吹くように,皇室の在り方もその時代時代によって変わってきていると思います。過去から様々なことを学び,古くからの伝統をしっかりと引き継いでいくとともに,それぞれの時代に応じて求められる皇室の在り方を追い求めていきたいと考えております。

公務の引継ぎや分担につきましては,お仕事の一つ一つを心から大切にしてこられた陛下のお気持ちを十分に踏まえながら,私を始め,皇族が適切に役割を担っていくことが重要であると思います。一昨年から,こどもの日と敬老の日にちなんでの施設訪問を両陛下から秋篠宮と共に受け継がせていただきましたし,昨年は,小中学校長の拝謁及び国際緊急援助隊・国際平和協力隊の接見を私が引き継がせていただくことになりました。また,昨日まで,陛下の名代として第8回アジア冬季競技大会の開会式に出席するため,北海道を訪れておりました。私としては,今後とも,引き継がせていただいた公務を大切に務めながら,少しでもお役に立つことがあれば,喜んでできる限りのお手伝いをしてまいりたいと思っています。

なお,皇室の制度面の事柄については,私が言及することは控えたいと思います。

 

全文はこちらより
(宮内庁ホームページ) http://www.kunaicho.go.jp/page/kaiken/show/9

トピックス : 皇室

日本会議の機関誌「月刊日本の息吹3月号」紹介

その他

日本の息吹

 

月刊「日本の息吹」は、「日本会議」が発行する機関誌です。誇りある国づくりをめざすオピニオン誌として、新しい視点で明日の日本の進路と、日本再発見を提言します。

 

目次

●グラビア
●今月の言葉/藤井厳喜
●フォトグラフ
● 天皇陛下のご譲位と法制度の在り方/百地章
●「国難災害」と憲法改正/河田惠昭
●熊本地震災害お見舞いのご報告
●[連載]子育て支援塾/田下昌明
特集「慰安婦」歴史戦を戦い抜け!
・釜山慰安婦像と韓国版自虐史観/西岡力
朝日・グレンデール訴訟報告会
・最終準備書面(前編)/德永信一ほか
●[連載]コーシンの世相談義/髙信太郎
●息吹のひろば

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注目記事

■ 天皇陛下のご譲位と法制度の在り方

講師 百地章 国士舘大学院客員教授

「有識者会議」の「論点整理」が出された。ここで、論点を整理し、慎重かつ賢明な結論を導き出す参考に供したい。

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■「国難災害」と憲法改正 

 講師 河田惠昭 関西大学社会安全研究センター長

憲法改正など当り前!というほどの国民意識にまで高めないと、とても「国難災害」を乗り越えることはできない―巨大災害の権威が語る「憲法に緊急事態条項を」

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特集「慰安婦」歴史戦を戦い抜け! 朝日・グレンデール訴訟報告会

■4月27日判決へ!!朝日新聞に、海外メディアへの訂正・謝罪広告の掲載を求める裁判が結審!

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29年息吹3月号表4-2

入会・購読バナ

全国の息吹~北から南から~ 2月(如月)

その他国民運動

岐阜

■ 岐阜県が18回会員大会

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昨年12月4日、稲田防衛大臣のビデオ講演で会員大会を開催。衆議院議議員の古屋圭司会長が挨拶。

 

■ 22回目の21世紀国創りフォーラム

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昨年12月18日、講師に葛城奈海氏を招き「女性が語る日本文化」と題して22回目のフォーラムを開催。

 

愛知

■ 放送法の遵守を求める講演会

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1月22日、テレビメディアの偏向報道の是正をめざし、AJCN代表の山岡鉄秀氏が講演。

 

広島

■ 第5回皇居勤労奉仕団派遣

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昨年11月14~17日、広島県本部は40名による皇居勤労奉仕団を派遣、5回目を迎えた。

 

■ 広島県本部が新年互礼会

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1月14日、広島県本部では「新たな一年の展望を切り開こう」と平成29年新年の抱負を語り合った。

 

長崎

■ ミサイル艦の入港歓迎活動

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昨年11月2日、長崎県本部は海上自衛隊のミサイル艦「おおたか」の長崎港入港を歓迎する活動を展開。

 

兵庫

■ 元司令官が語る海の守り

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11月19日、兵庫県西宮・芦屋支部は元自衛隊司令官の道家一成氏を講師に招き「日本の海の安全」をテーマに講演会を開催。

トピックス : 兵庫岐阜広島愛知長崎

■週刊文春、週刊新潮の「大阪・森友学園の国有地取得をめぐる」記事の事実誤認について

その他

大阪の学校法人・森友学園の国有地取得をめぐり、日本会議との関係について事実に基づかず、読者に誤解を与える報道が相次いでいることから、日本会議大阪より『週刊文春』『週刊新潮』に対して、抗議文を送付し訂正を求めていますので、以下に転載いたします。

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■週刊文春、週刊新潮の記事の事実誤認について

週刊文春2月23日号、週刊新潮2月23日号に掲載されている学校法人森友学園の土地取得に関する記事には著しい事実誤認があり、本会の名誉にも関わることですので、本日2月17日付けで本会議長名で、両週刊誌の編集人宛てに下記のような抗議のFAXを送ったことを報告致します。

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掲載記事の事実誤認について (週刊文春 宛て)

『週刊文春』二月二三日号の「国有地を一〇分の一で払い下げ 安倍晋三学校 校長の政界人脈」(一三七~一三八頁)と題した記事の中で、自民党関係者へのインタビューとして、〈籠池氏が「日本会議」大阪代表を長年務めている〉という記述がありますが、同氏は本会の「運営委員」として名前は連ねておりますが、「代表」ではありません。日本会議大阪の役職を持つことをもって、日本会議大阪が、森友学園の土地取得に係わっているかの印象を読者に与えるもので、事実に基づかない記述で記事を掲載することは到底、容認できるものではありません。

日本会議大阪はこのたびの土地取得に関して、全く関与していないことを表明します。
その旨、訂正されるよう強く要望致します。

平成二十九年二月十七日

大阪市中央区久太郎町渡辺六号 大阪府神社庁内(電話〇六―六二四五―五七四一)
日本会議大阪  議長 千家 敬麿   角印

「週刊文春」編集人 新谷 学 様

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掲載記事の事実誤認について (週刊新潮 宛て)

『週刊新潮』二月二三日号の「日本会議幹部の幼稚園に国有地格安払下げ」(四六~四七頁)と題した記事の中で、「籠池氏が日本会議の大阪支部で代表・運営委員を務めている」という記述がありますが、同氏は本会の「運営委員」として名前は連ねておるものの、「代表・運営委員」という役職はありません。日本会議大阪の役職を持つことをもって、日本会議大阪が、森友学園の土地取得に係わっているかの印象を読者に与えるもので、事実に基づかない記述で記事を掲載することは到底、容認できるものではありません。

日本会議大阪はこのたびの土地取得に関して、全く関与していないことを表明します。
その旨、訂正されるよう強く要望致します。

平成二十九年二月十七日
大阪市中央区久太郎町渡辺六号 大阪府神社庁内(電話〇六―六二四五―五七四一)
日本会議大阪  議長 千家 敬麿   角印

「週刊新潮」編集人 宮本太一 様

【動画】「共同体としての日本国を守るために」櫻井よしこ氏

憲法

櫻井よしこ氏(美しい日本の憲法をつくる国民の会共同代表・民間憲法臨調代表)の講演ダイジェスト映像の一部を公開します。
(提供:民間憲法臨調、美しい日本の憲法をつくる国民の会)
※平成28年5月3日に開催された、第18回公開憲法フォーラム「各党に緊急事態に対応する憲法論議を提唱する―すみやかな憲法改正発議の実現を!」での主催者代表挨拶。

「海道東征」-神武さまの御足跡を訪ねて (日本の息吹2月号より)

国民運動歴史

「海道東征」-神武さまの御足跡を訪ねて

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安本 寿久 やすもと としひさ
昭和33年、兵庫県生まれ。大阪社会部次長、編集局次長兼総合編集部長、産経新聞編集長などを経て特別記者編集委員。著書に『評伝廣瀬武夫』、共著に『親と子の日本史』『坂の上の雲をゆく』『人口減少時代の読み方』など。また、古事記編纂1300年の平成24年より産経新聞に連載された「日本人の源流神話を訪ねて」の神話取材班キャップを務め、連載の一部をまとめた『海道東征をゆく神武さまの国造り』(正・続)を産経新聞大阪本社から出版(現在、この2巻の合本として『神武天皇はたしかに存在した-神話と伝承を訪ねて』が刊行されている)

***

平成27年に産経新聞で連載された「海道東征をゆく 神武さまの国造り」は丹念な取材によって、「東征」の足跡を辿った画期的なものであった。戦後は、神武天皇の存在そのものを否定する説が横行したが、取材を通してのスタッフの確信は「神武天皇はたしかに存在した」というものだったという。取材班キャップを務めた安本氏にお話を伺った。―

「神話を忘れた民族は滅びる」-根っこを忘れるな

― やはり学校教育でしっかりと教えなければいけませんね。

安本

そうそう。それで思い出しましたが、産経新聞に連載中の読者からの反響で興味深かったのは、60代以上の方が多かったことです。第一部「日本人の源流、神話を訪ねて」の連載時には奈良支局に200人の方からコピー下さいませんかと、電話や訪問があったという。私も連載担当の経験は長いのですが、こんなことは初めてでした。なぜ60代かというと、神話は知っているつもりだった。でもこんな物語だったとは知らなかったと。大蛇退治や因幡の白兎、海幸山幸などのお話は、戦後世代も絵本や祖父母の読み聞かせなどで知っているわけです。でも例えば、大国主命がウサギを助けて八上比売(やかみひめ)と結ばれるということまでは知っている。ところが、その後はあまり知らない。嫉妬した兄神たちに何度も殺されては生き返り、ついに根の堅州国に行って、今度はスサノオノミコトの試練に耐えぬいて、ついにスサノオノミコトから国造りの使命を受けて、国づくりをする。そんな物語が続いていたことは知らなかった。

― 連載を読んで初めて気づいたこと。

安本

ですから、幼稚園などで神話の絵本に親しんでいることの意味は大きい。つまみ食いではあるけれども、ああ、あのお話ね、と了解している。すると長じた後にそれをストーリーとして教えられると、呑み込みが早い。新学習指導要領では、神話について教えることになっているわけですから、物語の概略くらいは教えてほしいですね。

― 神武天皇の絵本もどんどん出てほしいですね。

安本

ええ、きっかけになればいいですね。天皇が現行の憲法でも象徴として君臨していらっしゃるのはなぜか、皇室の由来を語るのに神話を無視することはできない。まさにそこに源はあるわけですからね。それなくしては、なぜ憲法の第一章が天皇なのか、説明できないでしょう。

― 大学で憲法学を講じている竹田恒泰氏が、憲法第一章の授業の時には、古事記から始められるそうですが、的を射ていますね。

安本
ええ、根拠はそこにあるわけですからね。

― 最後に神武天皇の物語を伝える意味について改めてお願いします。

安本

カムヤマトイハレビコノミコトが日向を立たれて東征に向かわれたのが、45歳なんですね。そして、東征期間16年説を採ると、橿原で天皇に即位されたのは61歳ということになる。よほど気持ちが強くなければ、できなかったでしょう。そして、繰り返しになりますが、東征の過程で稲作を教え、文字通り、豊かな国造りをされながら進まれた。正に神武天皇は建国の父だと改めて思いますね。「12、13歳くらいまでに民族神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」と歴史学者のトインビーが言っています。それは根っこを失ってはならないということだと思うんです。根無し草だといろんな苦難に耐える力がなくなるんですよ。昔ベトナムに旅行したとき、水上人形劇を観劇したことがあります。ハノイには国立の人形劇の劇場があって、子供たちに必ず観せることにしている。外国人用には英語のテロップが流れる。上演されていたのはベトナムの神話でした。山の神様と海の神様が結婚して卵がたくさん産まれました。半分から女の子が、半分から男の子が生まれました。山の神様は男の子を連れて山に帰りました。海の神様は女の子を海で育てました。だからベトナムは多民族国家なんですよと。

― おもしろいですね。

安本

人形劇団も国立なんです。つまり、国家が主導して子供たちに観劇させている。「どうしてですか?」と訊いてみました。すると、次のような答えが返ってきました。「ベトナムは同民族同士が南北に分かれて戦っていました。いま、それを一つにするために何が大事かと考えた時に、ベトナムという国ができた謂われから説き起こしていけばいいと。統一ベトナムができたときからこれをやっています」と。

― ああ、そういうことなんですね。

安本

国家が分裂したとき、国民の心をもう一度ひとつにする力が神話にはあるということなんです。だから国家分裂の危機に際して、どの国でも建国神話を思い出して団結しようとするわけです。日本は島国で恵まれた国だけれども、それでも歴史上国家の危機は何度かあった。その度ごとに建国の神話は甦っているんです。

― 幕末の危機が典型的ですね。

安本

そう、欧米列強の植民地化という危機を、明治維新を起こして乗り切ったわけですが、それは「諸事神武創業の始にもとづき」(王政復古の大号令)から始まっているわけですからね。話は飛びますが、平成24年(2012)の古事記編纂1300年をきっかけに始まった産経の神話シリーズの連載ですが、先述の通り、大きな反響があった背景には、平成22年(2010)9月7日の尖閣諸島中国漁船衝突事件があったと思っているんです。悪いのは向こうなのに日本政府が及び腰で逆にバッシングされるという後味の悪いものになってしまった。あの時、自信を失いかけた日本国民も多かったと思います。そこへ古事記1300年が巡ってきた。これによって自分たちは世界最古の歴史を持つ国なんだという自信を取り戻したんじゃないか。中国がごちゃごちゃ言って来たら、「たかだか建国60年そこらの国が何を言ってるんだ」と一蹴してやればいいと(笑)。60年と2670年(当時)とじゃ比較にもならない。

―なるほど、尊皇攘夷ではないけれども、対外的な危機感が自己防衛の意識となり、自分たちの国は一体どんな国なのかという自覚を求めるわけですね。

安本

アイデンティティを求める。またまた話が飛んで恐縮だけど、平成28年3月から産経で連載『戦後71年 楠木正成考』を始めたのですが、日本人がなぜ正成が好きなのか、というと、「公に尽くした」典型だからだと思います。足利尊氏は勝負に勝って幕府を立てたけれども、結局は私欲を刺激して作った政権にすぎなかった。3代将軍の義満は、大陸の明に朝貢貿易を行って、「日本国王に封ずる」と言われて喜んでいる。私欲、わたくしつまり「私」だけでできた政権は弱くてもろいものだから諸大名が跋扈して、応仁の乱に突入してしまう。一方で、敗れはしたけれども最期まで「公」たる天皇に忠義を尽くした正成は後世にまで尊敬を集めているわけですね。連載は、副題に『「公」を忘れた日本人へ』と付けましたが、昨今の世相を思うにつけ、今こそ、改めて「公」の精神を取り戻さなければいけないと思います。日本では、その公の中心に天皇、皇室がおられる。ですから日本においては、神話に由来する天皇陛下がおられる限り、どんな危機に遭っても国が一つにまとまる。本当にありがたい国柄です。だからこそ、いま、皇位継承の基盤の強化などいろいろと課題がありますが、皇室の安定こそ日本国の安定の大元ですから、しっかり守っていかなければならない。そのためにも教育で日本神話と日本建国の物語、天皇、皇室の由来をしっかりと教えなければなりません。連載の取材を通して実感したのは、神話が日本の歴史を貫いていることです。神話からの一本の糸でつながっている国に生まれ合わせた幸せを、建国記念の日を迎えるにあたり、改めてかみしめたいですね。

― 貴重なお話、まことにありがとうございました。

(日本の息吹 2月号からの一部抜粋)

 

 

12月23日、全国各地で天皇誕生日奉祝行事開催

国民運動皇室

愛知 記念講演会を開催

「天皇陛下の御誕生日をお祝いする愛知県民の集い」を開催。奉祝式典の後、鈴木由充氏による記念講演が行われた。▼

鈴木由充さん
大阪 葛城奈海氏が講演
「天皇陛下のお誕生日をお祝いする府民の集い」を開催。「国と自然を守るということ」と題し、葛城奈海氏が記念講演。▼

葛城奈美さん2
広島 記念演奏会を開催
「天皇陛下のお誕生日をお祝いする集い」を開催。皇居勤労奉仕団の発表の後、平原雅啓氏によるバイオリンの記念演奏会を開催。▼

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愛媛 「自由と愛国のマーチ」
松山市内で「天皇陛下のお誕生日をお祝いする集い」を開催。山口采希氏による奉祝コンサートが行われた。▼

山口采希ちゃん

山口采希ちゃん2

岡田幹彦氏が講演
四国中央市内で「天皇陛下のお誕生日をお祝いする集い」を開催。岡田幹彦氏による記念講演が行われた。▼

岡田幹彦先生
高知 新保祐司氏が講演
「天皇誕生日をお祝いする県民の集い」を開催。都留文科大学副学長・教授の新保祐司氏による記念講演が行われた。▼

新保祐司先生
熊本 今年は益城町で開催
「天皇誕生日奉祝式典・被災地ご訪問感謝の集い」を被災地・益城町で開催。会場は多くの参加者の祝意に溢れた。▼

熊本4

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沖縄 奉祝パレードを実施
「第五回天長節奉祝パレード」を実施。奉祝の横断幕を掲げ、牧志公園~国際通り~県庁前広場までを元気良く練り歩いた。▼

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新春対談 ”トランプ・ショック”と日本の覚悟 (田久保忠衛日本会議会長×古森義久氏)

外交

田久保 忠衛 たくぼただえ
日本会議会長・杏林大学名誉教授
   古森 義久  こもりよしひさ
×  産経新聞ワシントン駐在客員特派員
麗澤大学特別教授

田久保氏IMG99990

*   *   *

田久保

ドナルド・トランプ氏の勝利は驚きをもって受け止められていますが、私がまず思ったのは、ヒラリー・クリントン氏でなくてよかったなということでした。彼女が勝利していたらアメリカの政治は危機に瀕していたかもしれない。まず健康状態がひとつ。次に私利私欲にまみれたクリントン財団の問題。ここには中国系その他のダーティマネーが入っていたと言われている。そして、メールの公私混同問題。これは国家の安全保障に直結する。FBIの捜査対象の可能性のある人物が4年間大統領の椅子に座っていたらどうなるか。共和党が多数を取っている下院から大統領への弾劾決議が出たはずです。実際、クリントン氏が勝利したとしたらその瞬間に弾劾が発議されるという噂が流れた。もし私が中国の習近平なら弾劾と同時に尖閣諸島に武装漁民を入れたかもしれない。そのときアメリカも日本も手の打ち様がない。4年間の任期中、大統領が国内の野党勢力に脅されっぱなしになり、リーダーシップを発揮できずに、超大国アメリカがガタガタになっていた可能性がある。それにしても、米国の戦後史に大統領選で、互いの私行をこれだけ激しく暴き合う例があったかどうか。アメリカのモラルの低下をもたらしました。

古森

しかもクリントン氏の支持派のなかには、いまだに選挙結果を認めない人々がいる。まるでアナキズム(無政府主義)じゃないですか。

田久保

とはいえ、トランプ氏でよかったと手放しで喜べるものでは決してない。上下両院を与党(共和党)が占める強力な権限を持つ大統領が誕生することとなった。政策論争が少なかっただけに、トランプ氏の政策の方向性は、ほとんど未知といっていい。「米国第一主義」「孤立主義」「保護主義」などいくつかの断片的なキーワードはある。これらがそのまま実行されればアメリカの衰退は確実だが、果たしてどうなるかは誰にも分からない。なぜこうした無謀なことを言ってもトランプ氏が支持されたのか。それは米国内だけでなく、国際社会、ことに欧州の動きと無関係ではない。そこでまず、この世界的な動きについて私の見方をお話ししたい。今の国際情勢を私は三つの観点から見ています。

ひとつは、冷戦後いろいろな経過をたどった結果、どうやら価値観で分けられるような対立の構図が見えてきた。自由、法治、人権など普遍的価値観を共有する国々と、そうではない国々と。後者はロシア、中国、北朝鮮、イランなどが代表的な例でしょう。二つ目は、戦後の国際システムが帰着したところのグローバリゼーションに対するノーの動きが起こってきたことです。欧州ではイギリスがEUからの離脱を決定した。ブリュッセルにいるユーロクラートというEUの国際官僚が仕切って加盟国に指令を送ってくる。例えば移民、難民政策という、本来はイギリスの議会が決めるべき問題に対してブリュッセルが口出しをしてくる。つまりイギリスの主権とぶつかったわけです。イギリスに限らず欧州各地で移民、難民の増加に象徴されるグローバリズムへの不満が高まっている。三つ目は、国際政治学は国家と国家の関係を論じてきたけれども、まったく別のプレイヤーが現れたということです。9・11米同時多発テロ以降、続出してきた国際テロリストが、いまISを始め各地でテロを起こして各国の秩序を揺るがしている。フランス、イギリス、ドイツ、インド、パキスタン、そして南アジア、東南アジアに至るまで全世界的に波及しています。以上、三つが今日の国際情勢の特徴だと思います。そういう情勢を背景として、米国にトランプ氏が登場したと理解しています。

古森

今のお話と重なる部分もありますが、長年、現地でアメリカウオッチをしてきた立場から、アメリカの状況について述べたいと思います。グローバル化の行き過ぎに対する反発、主権国家の「主権」に対する見直し。この二つの流れがトランプ現象の背景にあります。グローバリゼーションで象徴的な問題は一つが移民、難民、ことに不法移民の増加であり、もう一つがテロの脅威です。外交面でいえば、マルチラテラリズム(多国主義)の問題がある。物事は二国間ではなく多国間で進めて行きましょうと。オバマ政権はこれが好きだった。一方で、主権国家の主権ということがあまり好きでなかった。世界に対して普遍的価値観を投射してその普及拡大に努めて行こうというアメリカの伝統的なやり方が嫌いだった。ファウンディング・ファーザーズという建国の父たちがいて、キリスト教にいた自由、競争、メリトクラシー(実績主義)によるアメリカンドリームを追い求めていくアメリカが嫌いだった。逆にオバマ大統領はこういうアメリカらしい価値観を否定し、競争して勝ち負けを競うのではなく、平等な社会に重きを置く社会主義的な政策を採った。このままでは、アメリカがアメリカでなくなるという、オバマ政権の超リベラル政策への反発がアメリカ国民の間に高まって行った。国家という人間だけが営むことの出来る存在なくしては人間は生きていけないという現実に国民が回帰し始めた。実は、2001年の9・11のときも同じような流れがありました。ブッシュ(ジュニア)政権でしたが、3千人が殺されて、テロの頻発、ことに細菌兵器への危機感が高まった時に、やはり国民そして社会を助けるのは主権国家なんだと。

例えば、世界貿易センタービルが破壊されたときまず出動したのは消防署であり、仮にバイオ兵器が使われたならば、まず動くのは保健所であり、軍の特殊部隊である。医療機関などの民間はその後にくる。つまり公という意味での主権国家こそが国民を守ってくれるのだという意識が高まった。ところが、そのブッシュ政権がイラクなどでやりすぎて、バラク・オバマの時代となった。それから8年間経てトランプの時代となる。ですからトランプ現象とは何かを一言でいえば、「オバマ否定」なのです。8年間オバマ大統領が体現してきたものを少なくとも選挙中のトランプ氏はすべて否定してきました。超大国アメリカの振り子が左に触れていたのが、真ん中に戻ってきて、これから右に触れるだろうという局面にきているのだと思います。オバマ氏が体現してきた少数民族や貧困層、移民などへの優遇策はクリントン氏が当選していたら引き継がれていた。彼女は不法移民も含めて1100万人はそのままでいいと言ってきた。そこでそのような移民流入の流れという方向の振り子はそのまま振れたままでいるのかもしれないと私は観察していました。ところが、やはりそうじゃなかった。貧困層、移民への援助の原資は、自分達が払っている税金だと中間層の不満は頂点に達していた。それが振り子を元に戻そうとしたのです。この超大国アメリカで起きた変化がこれから国際情勢にどういう影響を及ぼすのか。私は、百年に一度のパラダイムシフトが起きるかもしれない、そういう歴史的転換点のような気がしています。

 

(日本の息吹平成29年1月号より 平成28年11月15日対談)

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トピックス : トランプ会長国際情勢

日本会議の「新憲法の大綱」について

憲法

日本会議の「新憲法の大綱」について

日本会議は、前身の「日本を守る会」「日本を守る国民会議」以来、一貫して「憲法改正」「新憲法制定」を提唱してきました。

平成3年6月、日本を守る国民会議は冷戦終結後の内外情勢の変化を受けて「新憲法制定宣言」を発表しました。その後、2年間の研究活動を経て平成5年に「新憲法の大綱」を発表し、徳間書店から『新憲法制定宣言』を刊行しました。

平成7年から「新憲法研究会」を設置し引き続き研究活動を行い、平成13年には、改訂した新憲法大綱を明成社から『新憲法のすすめ』として発刊しています。

平成19年、国会で「国民投票法」が成立し、憲法改正は関連する条文ごとに発議されると定められたことから、日本会議は現在、テーマごとに改正の必要性を提言しています。

ここに、本会の憲法改正案の骨格を示すため、改めて「新憲法の大綱」全文を掲載いたします。

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●新憲法制定宣言

現行憲法は、その不幸な制定経過のため、我が国の伝統に基礎を置かず、自虐史観の論理で占められ、日本を自主独立国家として規定していない。その結果日本国民は、内には祖国への誇りを失い、外には国際社会から軽侮と不信を受け続けてきた。しかし、冷戦は終結し、世界は新たな時代を迎えた。我が国はもはや、国家意思を曖昧にしたまま、世界の傍観者であり続けることは許されない。

今こそ日本は、固有の国柄を明らかにし、かつ国際責任を果たすべく、国家の基本法たる憲法を根源的に問い直すときに来ている。それは、我が国の悠久の歴史をつらぬく伝統に基づき、新しい国際時代を切り開く新憲法を制定することである。

我らは、近代日本の礎を築いた先人の偉業を継承する中で、国際社会の平和と協調互恵の実現、自然と人類の共存共栄を希求し、国家の自主独立の精神と祖国愛にあふれた崇高な理念を基調とする新憲法の制定を決意する。

かくして、日本国民が自らの意志によって新憲法を制定するとき、現行憲法体制は終焉し、祖国日本は、国際社会から尊敬と信頼を得る国家に新生するであろう。ここに我らは新憲法制定を内外に表明し、その実現に向けて力強く国民運動を展開することを宣言する。

平成3年6月16日

日本を守る国民会議
(この宣言は、平成3年6月に開催された本会の第10回総会において、我々がめざすべき憲法構想を研究・作成し、新憲法制定運動を開始する旨を宣言したものです。)

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●新憲法の大綱
日本会議新憲法研究会

一、前  文
我々日本国人は古来、人と人との和を尊び、多様な価値の共存を認め、自然との共生のうちに、伝統を尊重しながら海外文明を摂取・同化することにより独自の文化を築き、天皇と国民が一体となって国家を発展させてきた。
我々は、このような我が国固有の国体に基づき、民意を国政の基礎におく明治以来の立憲主義の精神と歴史を継承発展させ、国民の自由と権利を尊重するとともに国家の一員としての責任を自覚して新たな国づくりへ進むことを期し、併せて世界の平和と諸国民の共存互恵の実現に資する国際責任を果たすために、この憲法を制定する。

二、天 皇
我が国の歴史をふまえ、天皇の地位と権能を明確にする

(1)日本国は立憲君主国である。
天皇は日本国の元首であり、日本国の永続性及び日本国民統合の象徴である。

(2)天皇は元首として、内閣の補佐に基き左の行為を行う。
1、内閣総理大臣の任命
2、衆議院及び参議院議長の任命
3、最高裁判所長官の任命
4、憲法及び皇室典範の改正、並びに法律及び政令の公布
5、条約の批准並びに公布
6、国会の召集及び衆議院の解散
7、衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行の公示
8、国務大臣及び法律の定めるその他の公務員の任免
9、全権委任状及び外交使節の信任状の授与
10、外交使節の接受
11、栄典の授与
12、元号の制定
13、恩赦
14、儀式

(3)天皇は伝統に基く祭祀、儀礼その他象徴にふさわしい行為を行う。

(4)天皇の行為については内閣が全て責任を負う。

(5)元首及び象徴の尊厳は守られるべきことを明記する。

[今後の検討事項]
1、皇室典範の整備(践祚(ぜんそ)及び大嘗祭、皇族の監督権等について明記し、皇統についても触れる。なお皇室典範は法律ではあるけれども、その改正のためには皇室会議の審議を要するものとし、皇室が実質的に関与することによって一般の法律とは異なる扱いをする)。
2、皇室経済法の整備(相続税の適用除外等の明記)。
3、宮内庁の位置づけの再検討。
4、その他皇室関連法規の整備。

三、防 衛
正義と秩序ある平和の追求を宣言するとともに、国軍の保持並びに国軍に対する政治優位の原則を明記する

(1)我が国は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国際条約を遵守して、国際紛争を平和的手段によって解決するよう努める。

(2)我が国の安全と独立を守り、併せて国際平和に寄与するため、国軍を保持する。

(3)国軍の最高指揮権は、内閣総理大臣が行使する。

(4)国軍の指揮及び編制は、法律で定める。

四、国際協力
我が国の国際社会に対する積極的な寄与を目指し、新たに、「国際協力」の章を設ける

(1)我が国は、各民族及び各国家の共存共栄の精神に基づき、次に掲げる  目的の実現のための積極的な国際協力を行う。
1、自由で公正な国際経済社会の実現。
2、自然保護と産業開発の調和、各国の自助及び応分の負担を原則とする地球環境の保全。
3、世界的規模での文化財保護その他固有の民族文化の復興。

五、国民の権利及び義務
現代国家にふさわしい新しい権利を採用するとともに、現行の権利及び自由について補正する。加えて具体的人権と公共の福祉との調和をはかる。

(1)憲法で定める自由及び権利は、国政上、最大限尊重されなければならない。同時にそれは、権利の濫用の禁止、他人の権利の尊重及び公共の福祉の実現のため制限され得る。

(2)自由を享受し、権利を行使するに当たっては、自助努力と自己責任の原則に従うとともに、公共の福祉の実現のために努力する責任を負う。

(3)現代国家にふさわしい新しい権利や義務規定を採用する。

(4)情報に関する新しい権利と義務の規定を新に設ける。
1、国民は法律の定めるところにより、政府及びその機関の有する情報の開示を求める権利を有する。但し、国防・外交・公安上の機密情報及び企業、個人の秘密に関わる情報及びその公開が公共の福祉を害するおそれがあるとして法律で定める情報については、国はこれを保護する義務を負う。
2、個人の秘密に関わる情報は、保護されなければならない。但し、国の安全を害する場合、犯罪捜査、税務調査その他法律で定める場合を除く。

(5)環境に関する権利と義務を新たに規定する。
1、国民は、健康で文化的な生活を維持するため、公共の福祉に反しない限度において良好な自然環境を享受する権利を有する。
2、国民は自然環境を保護し、将来の国民にこれを伝えるよう努めなければならない。

(6)国民の義務として、教育を受ける義務、納税の義務に加えて、新たに遵法義務及び国を守る義務を明記する。

(7)信教の自由を保障するとともに、国及びその機関が、特定宗教を布教・宣伝し、並びにそのための財政的援助をしてはならないこと、また宗教団体による政治支配を禁止する旨を明記する。

(8)表現の自由は、最大限尊重されなければならない。但し、個人の名誉の保護、青少年の保護その他公益上の必要のため、法律の定めるところにより国はこれに制限を加えることができる。

(9)婚姻における個人の尊重及び両性の平等とともに、国は国家・社会の存立の基盤である家族を尊重、保護、育成すべきことを明記する。

(10)教育は、この憲法の前文に掲げられた理念を基本として行われるべきこととともに、学校教育に関する国家の責任を明記する。

(11)財産権については、国土の公共性を明らかにするとともに、国民の財産権と、国土の利用及び自然環境の保護との調和をはかることを明記する。

(12)本大綱に掲げる権利、義務のうち、国家構成員たる国民に固有のもの以外は、原則として外国人にも適用する。

六、国会及び内閣
国会と内閣については、抜本的な見直しを行い、国政の刷新をはかる

(1)現代国家の要請に応えるべく、国会と内閣について新たな役割分担を考え、統治機構の再構築をはかる。
1、国会の「最高機関性」を見通す。
2、内閣および内閣総理大臣の権限を強化する。

(2)「権威の府」としての参議院の独自性を発揮させるべく、左の点において現行の二院制を抜本的に見直す。
1、議員の選出方法
2、憲法上の権限
3、運用上の配慮

(3)憲法に政党条項を設け、政党は国民の政治的意思の形成に協力し、その結成及び活動は自由であること、並びに政党の組織及び運営は民主的でなければならないことを明記する。

[補足事項]首相公選制について
首相公選制については、検討の結果、これを採用しないこととした。

七、司 法
憲法訴訟を専門に扱う部門を、最高裁の中に設置する

(1)憲法訴訟の続出と裁判の遅滞に対処し、憲法解釈の統一をはかるべく、最高裁の中に憲法訴訟を専門に扱う部門を設置する。

(2)最高裁の裁判官の国民審査制度については、新憲法ではこれを採用しないこととする。

八、地方自治
中央集権を是正し、地方自治の活性化をはかる。

(1)地方自治の本旨を明らかにし、行政の広域化に対処するために、地方自治体の再編と権限の再配分をはかる。

九、 非常事態
非常事態については、新たに以下のような規定を設ける

(1)我が国が外国から武力攻撃を受け、またはその危険が切迫している場合、及び内乱・騒擾(そうじょう)、大規模自然災害等の非常事態が生じた場合、内閣は国会の事前又は事後の承認のもとに、政令により、非常事態宣言を発することができる。非常事態においては、国軍の出動を命じ、及び法律に定めるところにより、非常事態が解消されるまで一定の権利の制限を行うことができる。事後の承認が得られなかった時、また非常事態が終了したと認められた時は、政府は解除宣言を発しなければならない。

(2)右の非常事態及び経済恐慌その他の緊急やむを得ざる事態において、国会が閉会中のときには、内閣は緊急命令と緊急財政処分の命令を制定することができる。緊急命令と緊急財政処分の命令は、すみやかに国会の事後承認を得るものとする。事後承認が得られなかった時、また緊急やむを得ざる事態が終了したと認められた時は、政府は失効宣言を発しなければならない。

十、憲法改正

(1)憲法改正は、国会または内閣が発議し、衆参両院の総議員の五分の三以上の賛成を必要とする。

平成5年5月3日   公表
平成13年2月11日 改訂

天皇陛下の「象徴としてのご公務のあり方について」のお言葉を受けて(平成28年10月18日)

皇室

天皇陛下が8月8日にお示しになった、象徴としてのご公務のありかたについては、本会としては、お言葉に示された主旨を重く受け止めております。

既に政府の方向性については、さまざまな報道がなされているところですが、現在は有識者会議の議論が開始されたばかりであり、本会として、具体的な結論を出しているわけではありません。

本会としては、どのような方向性で陛下の御心に適う方策があるかについて、今後、有識者会議及び政府の検討の推移を冷静に見守ってまいります。

尚、7月の報道以降、日本会議に参画する学者・文化人の方々が、皇室制度のあり方について発言されていますが、いずれも個人としての発言であり、本会の見解をあらわしたものではありません。

日本会議報道における虚偽・誤解・偏見に関する反論

その他

日本会議に関する最近の一連の報道について
―日本会議報道における虚偽・誤解・偏見に関する反論―
日本会議広報部

最近、日本会議に関する新聞・週刊誌の報道や、書籍等の出版がにわかに活気づいている。
しかし、残念ながらこれらの報道や出版物には、日本会議の運動の歴史的な経緯や一次資料を踏まえることなく安易な陰謀論に陥ったり、一面的な批評に止まっていたりするものが少なくない。
私達の運動は、戦後見失われようとしてきた伝統文化を守り、日本を取り巻く厳しい国際環境の変化の中で、自立した対等な独立国家としての矜持を持った国づくりを目指した国民運動を推進してきた。
特に、近年の北朝鮮による拉致事件や工作船の活動、核・ミサイル開発、中国による南シナ海や尖閣諸島周辺での勢力拡張や威嚇、米国の内向きの姿勢は、国民の間の危機意識を高めていると考えられる。日本会議への共感や支持の拡大は、このような国民意識の変化に後押しされている点と無関係ではないだろう。
ここでは、私たちの活動を子細にご紹介する機会はないが、昨今の報道・出版の虚偽、誤解、偏見などにつき簡単に反論を加えておきたい。

 

■なぜこの時期に、これほど多くの報道や出版がなされたのか
今回の参院選は、当初から憲法改正の国会発議を可能とする3分の2の勢力が確保できるか否かが大きな注目を集めていた。7月の参院選に向けて報道が過熱した背景には、改憲勢力3分の2の確保を何としても阻止したいという勢力の意図が見て取れる。
特に安倍政権は、第二次政権の発足以降、高い支持率を維持している。
これらの出版物に通奏低音のように流れているのは、安倍政権を支えているのは日本会議であり、日本会議は「戦前回帰」「歴史修正主義」の「宗教右派(カルト)」とのレッテルである。このようなレッテルを貼ることにより、有権者への不安感を煽り、野党勢力の挽回拡大を狙ったものと考えられる。

 

■安倍首相と日本会議の関係
日本会議には、友好団体として日本会議国会議員懇談会(超党派の国会議員連盟)があり、活動している。
この超党派議連は、平沼赳夫衆議院議員を会長とし、自民党、民進党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党などの所属議員約290名が加盟されている。国会議員懇談会は独自の活動を行うとともに、日本会議から民間の請願を受け取り、国政について広く意見交換を行う存在となっている。
第二次安倍政権発足以降、安倍総理始め閣僚の多くが懇談会に所属し影響力を及ぼしているといった報道があるが、果してそうであろうか。
民間団体の日本会議は、政府や政党に対して政策提言や要望書、国会請願署名を提出することがある。これは、憲法に保障された請願権の行使である。
私達は、確かに広報活動や各種行事開催などの国民運動を全国で繰り広げ、世論を盛り上げ、そして政府や国会を後押しし、法律や政策実現をめざしている。しかし一部報道に散見される、日本会議の方針に基づいて党や政府の政策が立案されているという指摘は、日本会議の影響力をあまりにも高く評価し過ぎており、現実にはそのようなことはありえない。

 

■日本会議は、「帝国憲法復元」を目指していない
昨今の報道・出版物の多くに共通しているのが、日本会議が「帝国憲法復活」を目指しているという言説である。これは日本会議が戦前回帰を目指しているとする悪質なプロパガンダに他ならない。
日本会議は、その前身の「日本を守る会」「日本を守る国民会議」結成以来、40年間一貫して「憲法改正、新憲法制定」を訴えてきた。「日本を守る国民会議」は平成3年(1991年)に「新憲法制定宣言」を公表し、新憲法制定運動を提唱、平成5年(1993年)に大枠をまとめた『日本国新憲法制定宣言』(徳間書店)を公刊した。以後、日本会議内部に「新憲法研究会」を設置して「新憲法の大綱」の研究活動を重ね、平成13年(2001年)には『新憲法のすすめ』(明成社)として公刊している。
これらの略史はホームページにすでに公開済みであるが、過去・現在において、帝国憲法復元を運動方針に掲げたことは一切ない。

 

■日本会議と宗教団体の関係
こうした「帝国憲法復活」といった分析が出てくる背景の一つが、「日本会議」の前身、「日本を守る会」の構成団体の一つ「宗教法人生長の家」との関係だ。
その前に、日本会議と宗教団体の関係について明らかにしなければならないだろう。
日本会議には、神道系、仏教系、キリスト教系などの沢山の宗教団体や社会教育団体、各種団体等が運動に参画している。
「日本を守る会」が昭和49年に設立に際して、次のような逸話が残されている。「日本を守る会」結成の発起人の一人である臨済宗円覚寺派の朝比奈宗源管長が伊勢神宮を訪れた折、「お前たちは世界だ人類だと、上ばかり見て騒いでいるが、足許を見よ、いま日本は、ざらざらと音を立てて崩れているではないか」との思いが脳裏をかすめ、「目が覚める思いだった。わしゃぁお伊勢さまから叱られたよ」と、同管長は述懐されている。
この思いが、神社界、仏教界、キリスト教界など、同憂の複数の宗教団体、有識者、文化人に広がり、当時、影響力を増していた唯物思想や共産主義思想から日本の伝統文化を守ろうと、信仰や思想信条の垣根を越えた大同団結が実現した。
このように、それぞれの団体の教えや国家観、歴史観と、「日本を守る会」の理念が一致し、それぞれの団体が活動に協力され今日に至っているのである。以上の経緯からしても、日本会議やそこに参画している教団がカルト集団だという指摘は、全く的外れな批判であることはいうまでもない。

■生長の家は30年以上前に脱会

「生長の家」との関係についても一言しておきたい。
「日本を守る会」の結成以後、生長の家の創始者谷口雅春氏は、会の代表委員を務め、昭和天皇御在位50年祝賀行事や元号法制化などの国民運動に尽力し、その後、昭和56年の「日本を守る国民会議」結成以後、国民運動に協力されてきた。
しかし、同教団は昭和58(1983)年に政治活動や国民運動を停止し、日本会議の前身である「日本を守る会」「日本を守る国民会議」から脱会した。以後30年以上、本会とは交流が全くない。同教団からの指導、影響が及ぶことはありえない。
一部報道では、元信者が日本会議の運営を壟断しているという指摘がある。
しかし、日本会議の活動において、特定宗教の教義に影響され運動が展開されるということは全くあり得ない。日本会議は極めて民主的に運営されており、さまざまな運動方針や人事は、規約に則り政策委員会、常任理事会、全国理事会など役員会の審議を経て、決定・推進されているのである。

 

■日本会議は何を目指した団体なのか

それでは日本会議は、何を目指して活動しているのか。私たちは、「誇りある国づくり」を合言葉に、以下6点の基本運動方針を掲げている。
1、国民統合の象徴である皇室を尊び、国民同胞感を涵養する。
2、我が国本来の国柄に基づく「新憲法」の制定を推進する。
3、独立国家の主権と名誉を守り、国民の安寧をはかる責任ある政治の実現を期す。
4、教育に日本の伝統的感性を取り戻し、祖国への誇りと愛情を持った青少年を育成する。
5、国を守る気概を養い、国家の安全を保障するに足る防衛力を整備するとともに、世界の平和に貢献する。
6、広く国際理解を深め、共生共栄の実現をめざし、我が国の国際的地位の向上と友好親善に寄与する。
この方針に基づき、私たちは過去さまざまな国民運動に取り組んできた。
天皇陛下御即位20年など皇室のご慶事奉祝行事、元号法・国旗国歌法の制定運動、教育基本法の改正運動、戦歿者英霊への追悼感謝活動、自衛隊海外派遣支援活動、尖閣諸島等の領土領海警備強化の活動、そして、憲法改正運動である。
現在の日本社会には、サイレントマジョリティーという顕在しない良識派の多数意志が伏在している。実は日本の文化・伝統は、こうした良識派意志によって支えられ守られてきたのではないだろうか。しかし、これは顕在化しないかぎり力にならない。私たちの国民運動は、こうした世に現れていないサイレントマジョリティーを形に表し、民主的な手続に基づいて法律や行政などの政策を実現することを目標としている。
いよいよ、憲法改正の国民運動が本格化してきた。まさにサイレントマジョリティーの真価が問われる秋といえる。

 

■憲法審査会の論議の活性化を
今回の参議院選挙において、日本国憲法施行後初めて憲法改正に前向きな政党により3分の2が確保され、衆・参両院で憲法改正発議が可能となった。
各党はこの民意を厳粛に受け止め、速やかに国会の憲法審査会の審議を再開し、改正を前提とした具体的な論議を加速させるべきである。
与野党各党におかれては、国会の憲法審査会において、日本の将来を見据えた活発かつ真摯な憲法論議を繰り広げられることを期待する。
制定以来70年、現行憲法は国民の意志で選択する機会を失われてきた。国民投票の機会を得て、今こそ憲法を国民の手に取り戻す好機を迎えているといえよう。

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