日本会議報道における虚偽・誤解・偏見に関する反論

日本会議報道における虚偽・誤解・偏見に関する反論

日本会議報道における虚偽・誤解・偏見に関する反論

その他

日本会議に関する最近の一連の報道について
―日本会議報道における虚偽・誤解・偏見に関する反論―
日本会議広報部

最近、日本会議に関する新聞・週刊誌の報道や、書籍等の出版がにわかに活気づいている。
しかし、残念ながらこれらの報道や出版物には、日本会議の運動の歴史的な経緯や一次資料を踏まえることなく安易な陰謀論に陥ったり、一面的な批評に止まっていたりするものが少なくない。
私達の運動は、戦後見失われようとしてきた伝統文化を守り、日本を取り巻く厳しい国際環境の変化の中で、自立した対等な独立国家としての矜持を持った国づくりを目指した国民運動を推進してきた。
特に、近年の北朝鮮による拉致事件や工作船の活動、核・ミサイル開発、中国による南シナ海や尖閣諸島周辺での勢力拡張や威嚇、米国の内向きの姿勢は、国民の間の危機意識を高めていると考えられる。日本会議への共感や支持の拡大は、このような国民意識の変化に後押しされている点と無関係ではないだろう。
ここでは、私たちの活動を子細にご紹介する機会はないが、昨今の報道・出版の虚偽、誤解、偏見などにつき簡単に反論を加えておきたい。

 

■なぜこの時期に、これほど多くの報道や出版がなされたのか
今回の参院選は、当初から憲法改正の国会発議を可能とする3分の2の勢力が確保できるか否かが大きな注目を集めていた。7月の参院選に向けて報道が過熱した背景には、改憲勢力3分の2の確保を何としても阻止したいという勢力の意図が見て取れる。
特に安倍政権は、第二次政権の発足以降、高い支持率を維持している。
これらの出版物に通奏低音のように流れているのは、安倍政権を支えているのは日本会議であり、日本会議は「戦前回帰」「歴史修正主義」の「宗教右派(カルト)」とのレッテルである。このようなレッテルを貼ることにより、有権者への不安感を煽り、野党勢力の挽回拡大を狙ったものと考えられる。

 

■安倍首相と日本会議の関係
日本会議には、友好団体として日本会議国会議員懇談会(超党派の国会議員連盟)があり、活動している。
この超党派議連は、平沼赳夫衆議院議員を会長とし、自民党、民進党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党などの所属議員約290名が加盟されている。国会議員懇談会は独自の活動を行うとともに、日本会議から民間の請願を受け取り、国政について広く意見交換を行う存在となっている。
第二次安倍政権発足以降、安倍総理始め閣僚の多くが懇談会に所属し影響力を及ぼしているといった報道があるが、果してそうであろうか。
民間団体の日本会議は、政府や政党に対して政策提言や要望書、国会請願署名を提出することがある。これは、憲法に保障された請願権の行使である。
私達は、確かに広報活動や各種行事開催などの国民運動を全国で繰り広げ、世論を盛り上げ、そして政府や国会を後押しし、法律や政策実現をめざしている。しかし一部報道に散見される、日本会議の方針に基づいて党や政府の政策が立案されているという指摘は、日本会議の影響力をあまりにも高く評価し過ぎており、現実にはそのようなことはありえない。

 

■日本会議は、「帝国憲法復元」を目指していない
昨今の報道・出版物の多くに共通しているのが、日本会議が「帝国憲法復活」を目指しているという言説である。これは日本会議が戦前回帰を目指しているとする悪質なプロパガンダに他ならない。
日本会議は、その前身の「日本を守る会」「日本を守る国民会議」結成以来、40年間一貫して「憲法改正、新憲法制定」を訴えてきた。「日本を守る国民会議」は平成3年(1991年)に「新憲法制定宣言」を公表し、新憲法制定運動を提唱、平成5年(1993年)に大枠をまとめた『日本国新憲法制定宣言』(徳間書店)を公刊した。以後、日本会議内部に「新憲法研究会」を設置して「新憲法の大綱」の研究活動を重ね、平成13年(2001年)には『新憲法のすすめ』(明成社)として公刊している。
これらの略史はホームページにすでに公開済みであるが、過去・現在において、帝国憲法復元を運動方針に掲げたことは一切ない。

 

■日本会議と宗教団体の関係
こうした「帝国憲法復活」といった分析が出てくる背景の一つが、「日本会議」の前身、「日本を守る会」の構成団体の一つ「宗教法人生長の家」との関係だ。
その前に、日本会議と宗教団体の関係について明らかにしなければならないだろう。
日本会議には、神道系、仏教系、キリスト教系などの沢山の宗教団体や社会教育団体、各種団体等が運動に参画している。
「日本を守る会」が昭和49年に設立に際して、次のような逸話が残されている。「日本を守る会」結成の発起人の一人である臨済宗円覚寺派の朝比奈宗源管長が伊勢神宮を訪れた折、「お前たちは世界だ人類だと、上ばかり見て騒いでいるが、足許を見よ、いま日本は、ざらざらと音を立てて崩れているではないか」との思いが脳裏をかすめ、「目が覚める思いだった。わしゃぁお伊勢さまから叱られたよ」と、同管長は述懐されている。
この思いが、神社界、仏教界、キリスト教界など、同憂の複数の宗教団体、有識者、文化人に広がり、当時、影響力を増していた唯物思想や共産主義思想から日本の伝統文化を守ろうと、信仰や思想信条の垣根を越えた大同団結が実現した。
このように、それぞれの団体の教えや国家観、歴史観と、「日本を守る会」の理念が一致し、それぞれの団体が活動に協力され今日に至っているのである。以上の経緯からしても、日本会議やそこに参画している教団がカルト集団だという指摘は、全く的外れな批判であることはいうまでもない。

■生長の家は30年以上前に脱会

「生長の家」との関係についても一言しておきたい。
「日本を守る会」の結成以後、生長の家の創始者谷口雅春氏は、会の代表委員を務め、昭和天皇御在位50年祝賀行事や元号法制化などの国民運動に尽力し、その後、昭和56年の「日本を守る国民会議」結成以後、国民運動に協力されてきた。
しかし、同教団は昭和58(1983)年に政治活動や国民運動を停止し、日本会議の前身である「日本を守る会」「日本を守る国民会議」から脱会した。以後30年以上、本会とは交流が全くない。同教団からの指導、影響が及ぶことはありえない。
一部報道では、元信者が日本会議の運営を壟断しているという指摘がある。
しかし、日本会議の活動において、特定宗教の教義に影響され運動が展開されるということは全くあり得ない。日本会議は極めて民主的に運営されており、さまざまな運動方針や人事は、規約に則り政策委員会、常任理事会、全国理事会など役員会の審議を経て、決定・推進されているのである。

 

■日本会議は何を目指した団体なのか

それでは日本会議は、何を目指して活動しているのか。私たちは、「誇りある国づくり」を合言葉に、以下6点の基本運動方針を掲げている。
1、国民統合の象徴である皇室を尊び、国民同胞感を涵養する。
2、我が国本来の国柄に基づく「新憲法」の制定を推進する。
3、独立国家の主権と名誉を守り、国民の安寧をはかる責任ある政治の実現を期す。
4、教育に日本の伝統的感性を取り戻し、祖国への誇りと愛情を持った青少年を育成する。
5、国を守る気概を養い、国家の安全を保障するに足る防衛力を整備するとともに、世界の平和に貢献する。
6、広く国際理解を深め、共生共栄の実現をめざし、我が国の国際的地位の向上と友好親善に寄与する。
この方針に基づき、私たちは過去さまざまな国民運動に取り組んできた。
天皇陛下御即位20年など皇室のご慶事奉祝行事、元号法・国旗国歌法の制定運動、教育基本法の改正運動、戦歿者英霊への追悼感謝活動、自衛隊海外派遣支援活動、尖閣諸島等の領土領海警備強化の活動、そして、憲法改正運動である。
現在の日本社会には、サイレントマジョリティーという顕在しない良識派の多数意志が伏在している。実は日本の文化・伝統は、こうした良識派意志によって支えられ守られてきたのではないだろうか。しかし、これは顕在化しないかぎり力にならない。私たちの国民運動は、こうした世に現れていないサイレントマジョリティーを形に表し、民主的な手続に基づいて法律や行政などの政策を実現することを目標としている。
いよいよ、憲法改正の国民運動が本格化してきた。まさにサイレントマジョリティーの真価が問われる秋といえる。

 

■憲法審査会の論議の活性化を
今回の参議院選挙において、日本国憲法施行後初めて憲法改正に前向きな政党により3分の2が確保され、衆・参両院で憲法改正発議が可能となった。
各党はこの民意を厳粛に受け止め、速やかに国会の憲法審査会の審議を再開し、改正を前提とした具体的な論議を加速させるべきである。
与野党各党におかれては、国会の憲法審査会において、日本の将来を見据えた活発かつ真摯な憲法論議を繰り広げられることを期待する。
制定以来70年、現行憲法は国民の意志で選択する機会を失われてきた。国民投票の機会を得て、今こそ憲法を国民の手に取り戻す好機を迎えているといえよう。

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