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第23回戦歿者追悼中央国民集会

靖国

国立追悼施設建設を許すな!

平成21年8月15日

今年の八月十五日、靖国神社は、十五万六千人の参拝者でにぎわった。参道特設テントでは、戦歿者追悼中央国民集会が開催され、約二千名が集った。

平成22年8月15日 戦没者追悼国民集会

平成22年8月15日 戦没者追悼国民集会

●民主党幹部の発言を危惧

昭和六十一年、当時の中曽根首相が中国からの批判に屈して参拝を取りやめた翌年、首相の靖国神社参拝を求めて始まった本集会も今年二十三回目を迎えた。小泉首相以来の参拝の期待がかかった麻生首相だったが、この日、首相の姿はなかった。(ちなみに、小泉・安倍両元首相は午前中に昇殿参拝した)
総選挙を直前に控えた八月十二日、民主党の鳩山代表は、同党が政権をとれば「どなたもわだかまりなく戦没者の追悼ができる国立追悼施設の取り組みを進める」と発言。翌十三日には、岡田幹事長も記者会見で、建設の意向を強調した。
それより前、岡田氏は八月三日、中国メディアの取材にこたえ、「民主党は結党以来、一貫して日中関係を重視してきた。…A級戦犯は先の大戦の罪人だ。首相が公式参拝すべきではない」と述べている。(ちなみに、チベット問題やウイグル問題については「中国国内の事情だ」「中国への内政干渉は行うべきではない」と述べている)
民主党政権になれば、靖国神社に代わる新たな国立追悼施設建設問題が急浮上することが必至のなか、集会は例年以上に緊張を孕んだものとなった。集会では、国歌斉唱、靖国神社拝礼の後、昭和二十年八月十五日の「終戦の詔書」の玉音放送を拝聴。主催者挨拶が、英霊にこたえる会の中條高会長、日本会議の三好達会長からなされ、続いて田母神俊雄、山本卓眞、金美齢の各氏より提言が行なわれた。正午より、日本武道館からのラジオ中継で、政府式典における天皇陛下のお言葉を拝聴。声明文の朗読、日本会議全国縦断キャラバン隊からの報告、最後に全員で、「海ゆかば」を斉唱した。以下、登壇者の挨拶、提言の要旨(抄録)を掲載する。

■声 明

日本国の首相が八月十五日という意義深い日に、国民を代表して靖国神社に参拝し、英霊に対して深甚なる追悼と感謝の意を表すのは、諸外国の例を見るまでもなく、至極当然のことである。
にもかかわらず、わが国においては、首相の靖国神社参拝は久しく見送られてきた。小泉純一郎首相が十六年ぶりに参拝を復活したものの、以後参拝を行なっていない。
それは中国から、いわゆる「A級戦犯」合祀を理由として、靖国神社参拝の中止を要求する執拗な圧力がかけられ、一方、国内でも、先の大戦を戦勝国の立場から一方的に裁いた東京裁判の後遺症による、戦前の歴史の一切を否定する風潮が根強く存するからである。しかも、八月三十日に予定されている衆議院議員総選挙では、民主党が優勢であると予測されている。同党は、公然と「A級戦犯」合祀を理由として首相の靖国神社参拝を拒否し、さらには靖国神社に代わる新たな国立追悼施設をも建設するように窺われる。誠に由々しい事態と言わねばならない。
申すまでもなく、我々が享受している平和と繁栄は、明治維新以来の幾多の祖国存亡の危機に際会して、尊い一命を捧げられた英霊の尊い犠牲によって築かれたものである。靖国神社は、戦没者追悼の中心施設であり、首相参拝の否定は戦没者の思いを踏みにじることになることは明々白々である。
麻生太郎首相は、本年一月の施政方針演説において、「真の保守政権を目指す」と明言した。「真の保守」であるならば、いかなる圧力が加えられようとも、毅然として靖国神社に参拝することによって、その真価を明らかにしなければならない。そのことによって首相の靖国神社参拝を定着させ、さらにはできるだけ近い将来の天皇陛下の靖国神社御親拝への道を開かねばならない。
我々は、今後の政局がいかなる事態に立ち至ろうとも、首相の靖国神社参拝を強く要望するとともに、憲法改正の実現という戦後体制の根本課題の解決のための国民運動を力強く展開することをここにあらためて誓う。
右、声明する。
平成二十一年八月十五日
第二十三回戦歿者追悼中央国民集会
英霊にこたえる会
日本会議


●主催者挨拶
我が国には、「戦犯」は存在しない
中條 高徳
英霊にこたえる会会長

私はこの四月に堀江正夫先生の後を引き継いで英霊にこたえる会の会長に就任いたしました。この会の初代会長は最高裁長官の石田和外さん、二代目が検事総長の井本臺吉さんでした。この顔ぶれを見ても、当時、敗れたりといえども、英霊にお応えする気持ちがいかに強かったかということが分かります。そして三代目が、陸軍士官学校で私の十期先輩で参議院議員をなさっていた堀江正夫先生。一年ほど前から堀江先生より「私も九十三歳になった。お前が引き継げ」と言われていたのですが、あまりにも重い座ですので、草莽に生きてきた私としましては、お断りしておりました。ところが、今年一月七日、靖国神社の南部宮司さんが、昭和天皇さまのみあとを慕うが如くに突然お亡くなりになりました。お葬式のとき棺の中の南部さんは、神様のようなお顔でした。そして私が怯んでいることを叱っているようにも見えまして、その日に私は覚悟を決めてお引き受けしたわけです。一心不乱にお勤めしようと思いますので、どうぞご協力よろしくお願いします。
今、終戦の御詔勅を拝聴いたしました。私は国土決戦対応で内地で御詔勅をお聞きしました。それから六十四年。今、この国家はどうなっているんでしょうか。総理大臣がお参りにさえ来ない。マスコミは公的か私的かとつまらない追及はするけれども、天皇さまが春秋の大祭には必ず勅使を派遣なさっていらっしゃることについては一切報道しない。まことに嘆かわしいことです。
果たしてこの国は法治国家かと問いたい。立法府、つまり法律を作る人達が「A級戦犯」などと軽々しく言う。
昭和二十八年の国会決議で衆参共に「法務死」として決している。つまり、我が国が苟も法治国家であるならば、「A級戦犯」も「B級戦犯」もいないのです。それなのに、政権を担うかもしれない者達が、国立追悼施設などと言挙げしている。これが法的な無知なのか、作戦であえてしているのか、私には判断出来ません。しかし、これは到底許すわけには参りません。


●主催者挨拶
国立追悼施設建設は明治天皇の大御心に背く
三好 達
日本会議会長

靖国神社の春秋の例大祭において、英霊に捧げられる鎮魂頌という歌(折口信夫作詞、信時潔作曲)の一節に「現し世の数の苦しみ。たゝかひにますものあらめや」とありますが、そのようにして凄惨な死を迎えられた英霊の無念さはいかばかりであったでありましょうか。
靖国神社の社憲―神社の根幹の定めであります―の第二条には「目的」として、「本神社は御創立の精神に基き…万世にゆるぎなき太平の基を開き、以て安国の実現に寄与するを以て根幹の目的とする」と定めてあります。これは明治天皇の御創立の大御心であると同時に、合祀されている英霊のお気持ちをも表しているものと私は理解しております。国民は誰しも平和を願っております。靖国神社も平和を願い、祈ることをその目的としているのです。
しかし平和は、「平和、平和」と唱えたり、憲法九条護持をかたくなに主張することによって得られるものでは決してありません。我が国の近隣はとてもお題目を捉えて安閑としておられる国際情勢でないことはあきらかです。国民と国土の保全、国民と国土を外敵の侵攻から守る任務、これが国家の究極の任務であり、これをなおざりにする国家は、国家の名に値しません。
我が国の平和を維持するために防衛に遺漏無きを期し、防衛の為の施策を的確にとることの出来る為政者、それを選ぶのが国民の責務であります。さて衆議院選挙が間近に迫ってきておりますが、争点が歪められています。最大の争点としてなければならないのは国家百年に関わる問題。すなわち教育改革の問題であり、防衛、外交の問題である。これらがほとんど争点として浮き上がってこないのは、何故でありましょうか。しかも民主党は政権を獲得したならば靖国神社に代わる国立追悼施設を建設する方針を固めました。これは靖国神社を御創立になられた明治天皇の大御心に背くものであります。また靖国神社で会おうと誓い合った英霊の心を踏みにじるものです。言語道断。もってのほかであります。私共は断固としてこれに反対していかなければなりません。総選挙後いかなる政局を迎えようとも、私共はあるべき日本を目指し地道に真摯に力強く国民運動を展開していかなければなりません。それが我が国に平和がもたらされることを願い、信じながら散っていた英霊をお慰めする一番の道と考えるからであります。


●各界代表提言
自虐史観では国を守れない
田母神俊雄
前航空幕僚長

日本は今も、占領軍なき占領軍支配、また社会党なき社会党支配が続いているのではないでしょうか。歴史は戦勝国によって作られる。正義の民主主義国家アメリカ、極悪非道の独裁国家日本という、このアメリカから見た一方的な歴史観から解放されないと、国を守る体制ができません。
自衛隊が法的に動ける体制になかなかならない。また普通の国の軍隊の様に攻撃力を持てない。攻撃力を持たない軍というのはよそから見て怖くないわけです。殴ったら殴り返されるかもしれないということが戦争を抑止するわけですが、いまはそれをアメリカ軍に期待するということになっている。従って最終的にはアメリカの要求を呑まざるを得ない。しかし、日本とアメリカの国益が完全に一致するわけがない。
国を守るということが、この総選挙でもほとんど話題にならないのはおかしなことです。いま日本は軍事力を強化しないと危ないです。二十年前は中国が何かやると言っても「やってみろ」と言い返してもよかった。しかし、今日のごとき中国の大軍拡を前にしては、それに匹敵する軍事力がこちらになければ譲歩せざるを得なくなります。日本が侵略国家だった為に戦争になったわけではないんです。白人国家が日本を締め上げて、これ以上締め上げられたら死んでしまうという時に真珠湾攻撃になったわけです。中国を侵略したと言うのも、まったくの嘘です。これは蒋介石・国民党と日本を戦わせて、毛沢東・共産党に中国全土を支配させるというコミンテルンの謀略が背景にあったわけです。しかも当時のシナ大陸は、馬賊や匪賊などが群雄割拠し、民衆は生命の保障もなく、生活水準も極めて低かった。しかるに日本が出て行ったところは投資がなされ、治安も安定し生活水準も良くなったという側面があったのです。世界史の流れで見たら、日本がもし戦わなかったら白人国家の全世界植民地化計画が完成し、今なお我々は白人国家の植民地の中で奴隷みたいな生活をしていたかもしれないのです。今日の豊かで平和な生活は、人種平等の世界を導くべくあの戦争を戦い、国のために命を投げ出してくれた英霊の皆さんのおかげだと思います。英霊の方々に感謝し、周辺諸国の圧力には屈しないという断固たる姿勢を示すことが総理大臣の靖国神社参拝であると思います。外国に譲歩すると国際的にはどういう結果になるか。「日本っていい国だね」と思われるわけがない。バカにされるだけです。ですから断固意志を貫く必要があるのです。


●各界代表提言
国家安全保障の精神的な基礎
山本 卓眞
偕行社会長

平成十一年、財団法人偕行社が調べたところ、軍人墓地の管理はばらばらでした。管理の行き届いているところも数カ所ありましたが、逆に荒れ果てた軍人墓地も十箇所ほどありました。それ以外のところは、戦友会、遺族会、郷友連盟など民間が中心となって慰霊祭を行い、清掃などボランティアで行なっていますが、戦友、遺族も高齢化して時間との戦いになっています。
平成十七年の福岡県西方沖地震で福岡市の谷陸軍墓地が被害を受けました。五つの墓碑がずれてご遺骨が散乱する事態になり、日本会議福岡の菅原道之さんたちが懸命の陳情をしましたが、県も市も対応しませんでした。結局、日本会議福岡、福岡偕行会、郷友連盟など民間の有志が募金し、東京の偕行社も協力して修復は行われました。将来を心配した菅原さんたちの訴えに心を動かされた衛藤晟一参議院議員は、詳細な検討と周到な準備の上に、四月二十日の参議院決算委員会において、舛添厚生労働大臣に軍人墓地の管理を将来どうすべきか質問されました。大臣は「大きな意味での戦後処理の一環ですから、これは関係省庁と連携を取りながら、国の責任としてきちんと管理していきたいと思っております」と答えられました。英霊に対する国家の責任が明らかにされた大きな前進と言えます。しかし全国の軍人墓地の管理をきちんとするのはこれからです。ことの発端は、昭和二十年、GHQが旧陸海軍を解体し、軍が管理していた軍人墓地を大蔵省に移管させ、自治体主催の戦没者慰霊祭をも禁止したことにあります。ことは軍人墓地だけではありません。まだ海外の広い地域に残されている五十九万柱のご遺骨の収集を如何に早めるかという問題に加えて、戦友会などが建立して、今やその維持管理が困難となって朽ち果てつつある海外の慰霊碑をどうするかも課題です。世界では国の安全保障に直結する問題であるだけに、遺骨収集、軍人墓地の管理、或いは慰霊碑といったものはその国の防衛に当たる軍隊、日本でいえば自衛隊が担当するのが普通となっております。いま日本はそうなっていません。
如何に英霊に対するかは国家安全保障の精神的な基礎です。平成十二年(二〇〇〇)に行なわれた電通総研・日本リサーチセンターの調査によれば、戦争になった時「国のために戦うか」との質問に、「はい、戦う」と答えたのは日本は一五%で世界最低でした。ドイツ三三%。米国六三%、韓国七五%。中国九〇%でした。日本の英霊に対する姿勢が国民の防衛意識に鮮明に投影され、戦争に対する抑止力は精神面で最低であることを示しています。
しかしこの戦後処理の最大の問題は首相の靖国神社参拝の定着です。戦後、自虐史観に洗脳されたままの人々、および偏向したマスコミとの戦い、つまり内なる思想戦、情報戦が日本の明日を決する、そういう時期に来ております。今日は若い人も大勢来ておりますが、インターネットという新たな情報手段を新兵器として活用して、知恵と力を合わせて日本の正常化に渾身の努力を注いで行きたいと思います。

第11回憲法フォーラム

憲法

対馬・ソマリア問題から9条を問う

平成21年5月3日

一昨年国会で憲法改正国民投票法が成立したが、衆参両院では未だに憲法改正案の発議を行う「憲法審査会」が設置されていない。「国民投票法」施行を一年後に控えた五月三日、各地で憲法改正を求める集会が開催された。

東京では、本会も支援している民間憲法臨調(三浦朱門代表世話人)の主催で「国の安全・独立と憲法9条―対馬・ソマリアを問う」をテーマに「第十一回公開憲法フォーラム」が開催され、八百名が集った。

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速やかな憲法審査会の設置と九条改正のための憲法論議を

はじめに主催者を代表して同会代表委員の大原康男國學院大學教授が、「北朝鮮の弾道ミサイル発射に対して、ミサイル迎撃を内閣総理大臣が下令したことを国民は圧倒的に支持している。集団的自衛権問題の議論も麻生総理は行おうとしている。与党に憲法審査会設置の動きも起こりつつある中、全面的な憲法改正を志向しつつ具体的に九条問題を論じたい」と挨拶を述べた。続いて、同日、四十七都道府県で憲法タウンミーティングを開催している(社)日本青年会議所の安里繁信会頭が来賓挨拶。その後、同会世話人でジャーナリストの櫻井よしこ氏が基調講演を行い、続いてシンポジウムが行われた。同会運営委員・西修駒澤大学教授の進行で、パネリストに自民党の山谷えり子参議院議員、民主党の長島昭久衆議院議員、秋山昌廣海洋政策研究財団会長を迎え、対馬・ソマリア問題から憲法九条の問題まで論じられた。また同会事務局長の百地章日本大学教授より「速やかな憲法審査会の設置と憲法九条改正を求める」緊急提言が発表された。以下、櫻井、山谷、長島、秋山各氏の提言要旨を掲載する。


●基調提言
政治力の基本は外交と軍事
―米国で存在感強まる中国、薄まる日本

櫻井よしこ ジャーナリスト

北朝鮮のテポドン発射に対する国連決議問題で各国が振り回されていた頃、アメリカのワシントンに行く機会がありました。そこで、私は、大国アメリカがいまどのように揺らいでいるか、またその一方で軍事力、経済力を兼ね備えた中国がどのような形で政治力を行使し、存在感を強めているか、そしてまた日本の影がどれほど薄くなっているか、といったことを実感してきました。

興味深かったことは、いまアメリカの外交は、基本方針さえもまったく定まっていないということを、外交当事者たちが認めていたことです。政権の過渡期にあるアメリカの最大の関心事は国内経済を回復させることであり、そのためにどんな外交を取ればよいのか、という順序で物事を考えている。つまり、アメリカの外交はいま形成されつつあるのであり、それに振り回されているのが日本、逆にそれを利用して己の立場を強くしつつあるのが中国なのです。

現政権に強い影響力を持ち、米中経済安保調査委員会のメンバーでもある民主党系のキャロライン・バーソロミュー氏は、意外にも中国の脅威を口にしました。「中国の軍事力の増強ぶりを我々は理解出来ない。コンピュータのサイバー攻撃も脅威だ。中国は、力の源泉を軍事力に定めて、そこから汲み出した力を外交に及ぼし、政治に及ぼそうとしている」と。

国家の宿命として、外交と軍事は車の両輪です。軍事力のバックアップのない外交は説得力が弱く、外交における論理だった主張無しの軍事力は、単なる暴力に過ぎない。外交と軍事の両方のバランスの取れた土台というものを持って初めて政治の力というものは生まれてくる。中国は、力の源泉をまず軍事力に求めている、というのがアメリカの民主党中枢の人たちから聞いた中国観でした。さて、ワシントンには中国問題の専門家が雨後の筍のように増えています。

「中国政府は多額の資金を与えて、多くの中国専門家を育て、アメリカとの関係を深めようとしている。我が国にはそういう発想がない」と日本大使館関係者が嘆いていました。いまでは数少なくなった日本問題の専門家の一人で、保守系シンクタンクの新進気鋭の研究者マイケル・オースリン氏は、次のように言いました。

「日本はいつになったら政治力を回復するのでしょうか。日本が政治的に迷走している間に中国がぐんぐん力をつけてきている。日本人は自分たちの視野に入ってくるものしか見ないし、考えない。例えば、アメリカとのことでは、基地問題しか考えない。世界戦略のなかで、日本を位置付け、アメリカを位置付けるということができない。その間にも、中国は日本を削り取って行くでしょう」と。

我が国は国家の基本について、改めていま考えなければならないと痛感いたしました。

先述しましたように、国家の基本は、外交と軍事が対になっていなければなりません。我が国にも自衛隊という軍事組織が存在しますが、普通の国の軍隊に適用される交戦規定がない。軍隊と警察とはまったく違う目的を持った、まったく違う組織なのに、まるで木に竹を接ぐかのように、我が国の軍隊を警察官職務執行法に従わせている。極めておかしいことです。

自国の安全、独立を担保する自前の力が、我が国にはないといわざるを得ない。その原因は憲法にあります。この異常な国の在り方を正常にするには、憲法を改正するしかないのです。ところが、国会の憲法審査会さえ、まだ設置されていない。これは政治の怠慢です。我が国が、自前の健全な防衛力を持ち、国際社会に対して責任ある、尊敬される国家になるために、憲法改正への動きを具体化していかなければなりません。


●対馬問題から国境を守る新法制定へ

山谷えり子 参議院議員(自民党)

戦後間もないころの国会は、今よりまともでした。共産党の野坂参三氏が、昭和二十一年に党を代表して「憲法九条は空文に過ぎない。日本の民族の独立を守れないから反対だ」と演説しました。自民党も新憲法制定が立党の精神でした。憲法制定から六十二年が経ち、時代に憲法が合わなくなっているにも拘わらず、国会が立法府として誠実に議論を進めようとしないことに、私は焦りと怒りを感じています。数年前、私は拉致議連の副会長として、横田早紀江さんらと渡米いたしました。アメリカで聞かれたことは、「海上封鎖しましたか」「特殊部隊を出しましたか」という質問でした。残念ながら日本ではそのようなことは議論もされず、国民の生命・財産を守る主権国家として、不誠実極まりなかったのです。特定失踪者問題調査会に四百人以上の家族から問い合わせが寄せられ、未だ何人拉致されたのかさえ分かっていないのが現状です。

私は「日本の領土を守るために行動する議員連盟」の会長をしていますが、北方領土や竹島が教科書にきちんと明記されることや尖閣諸島周辺が平穏に保たれるように行動して参りました。また、「対馬が危ない」という声を受けて、領土議連として昨年末、対馬を訪れ実態調査を行いました。高齢化が進み人口が減少する島で、自衛隊施設周辺の安全保障上重要な地域が次々と外国の資本によって買われている。私たちが日本海海戦といい、欧米人が「battle of Tushima―対馬の戦い」と言っている、その海戦時に使われた港も韓国資本に買われていました。中川昭一先生が会長を務める真保守政策研究会と領土議連との合同で「国境の離島を守るための新法」を作るため、プロジェクトチームを作動させました。大正十四年に作られた「外国人土地法」が実はまだ有効だとわかったので省令を出すように防衛省に言いました。すると、「安全上別に問題は無いと思うので、省令を出す必要はない」というのが防衛省の見解でした。最近の高校生の意識調査では六割が憲法を改正すべきでないと答えています。国民の生命、財産、国家の主権を守る大切さを私達は伝えなければなりません。

安倍内閣で国民投票法が成立しましたが、いまだに憲法審査会は設置されずにいます。五年間審議した憲法調査会は、憲法改正の方向性を出しています。私は次期総選挙の自民党政策プロジェクトのメンバーとして、この問題を提起していきたいと思います。


●海洋国家日本の矜持を取り戻せ

長島昭久 衆議院議員(民主党)

イラク・アフガンの後始末と自国経済の建て直しに忙殺されるアメリカはしばらくは頼りになりません。しかし、見方を変えるとこれは我が国が自立するチャンスです。近年、海洋と宇宙に関する基本法ができました。これらも含め、我が国が安全保障に責任を持っていく、いま、そういう国家に生まれ変わる時期に来ていると思います。わが国の自立を阻んできた最大の阻害要因が憲法九条です。それが、最も先鋭的に現れたのが、対馬、そしてソマリアの海賊対処の問題です。前者について昨年十一月に衆議院安全保障委員会で、私は「海上自衛隊の対馬防備隊本部の真っ只中に外国資本が入り込んで来ることは、基地の運用上、また安全保障という観点から問題がないか」と質問しました。これに対して、政府・防衛省は「隣接する民間業者から海上自衛隊対馬防備隊本部に対し、工場跡地の売却について何度か話があったが、その必要性はないと判断して、海上自衛隊としては当該土地を購入することはなかった。外国人等による自衛隊基地に隣接する土地の買収が部隊の運営に直接影響があるとは認識していない」と答えました。こんな答弁がまかり通っているのです。軍港・横須賀港の周囲には米海軍基地を見下ろせる高台がいくつもあります。三年前、ある経営者がその高台の一つを購入して登記しました。その三日後に中国人二人が土地を譲ってもらえないかと訪ねて来て、一週間後にはロシア人が二人来たそうです。

その方はいぶかしく思って、当時の額賀防衛庁長官と後任の久間長官、そしてアメリカのシーファー駐日大使に手紙を送りました。防衛庁からは何の返事もなかったが、シーファー大使からは、直筆のサイン入りの返信が来ました。その後、米海軍犯罪捜査局の捜査官から色々と事情聴取されたそうです。これほど日米には安全保障に関する感覚に大きな違いがある。山谷先生も話されましたが、実は、我が国には「外国人土地法」があります。これは大正十四年に作られ今でも有効な法律です。「国防上必要な地区においては、政令によって外国人等による土地の権利の取得につき禁止をし、また条件もしくは制限を付することができる」と書いてある。現在韓国にも同じような法律があり、政令によって土地の売買について制限しています。

私達も外国人土地法に基づいた政令を制定すれば、対馬や横須賀のような問題は起こらないということです。さて、ソマリアの海賊問題に取り組む中で、実は愕然としたことがあります。それは、「日本は海洋国家ではなくなってしまった」ということです。なんと現在日本国籍の船舶は九十二隻、日本人船員は二千六百五十人しかないのです。昭和四十九年のピーク時には、それぞれ千五百八十隻、五万六千八百三十余人でした。いまや海洋国家とは名ばかりで衰退の極みなのです。海洋国家日本としての矜持を取り戻す第一歩が、この海賊退治だと思っています。そのためにも憲法九条は改正されなければなりませんが、もうひとつのポイントは、自衛隊の権限の根拠規定を、「ポジティブリスト」から、「ネガティブリスト」へ変えることです。今回のアデン湾への派遣もその他イラクやPKOでの活動も自衛隊は、警察官の職務執行法の準用でしか武器使用など認められなかった。警察という組織は「ポジティブリスト」、つまり、やっていいことだけ法律に書かれている。一方、軍隊は、「ネガティブリスト」、つまり、やっていけないことだけ法律に書いてあって、それ以外は状況に応じて何をやってもいい。これが国際常識です。根本の問題は憲法九条に起因します。日本の自衛隊は警察並みで良いという設立当時の政府決定をそのまま引きずっている。憲法九条改正と共に、自衛隊を軍隊として「ネガティブリスト」に基づく組織に変えなければならないと思います。


●国民の生命・財産を守る国家観を

秋山昌廣海洋政策研究財団会長

平成十九年に制定された海洋基本法には、「海洋の安全確保」と「離島の保全」ということが謳われているということをまずは確認しておきたい。さて、昨年、全世界で発生した二百九十三件の海賊事案のうち、アデン湾・ソマリア沖の海賊事案は百十一件と多くを占めています。海洋政策研究財団の調査では四十二件が乗っ取られ、そのうち日本の関係船舶が六件でした。

今年に入ってからは四月二十七日までに二十九件が乗っ取られていますが、実数はこの倍に上ると思われます。三月十四日に出航した海上自衛隊の艦船は、海賊が頻発するシーズンにギリギリ間に合ったという状況です。この海域では年間二万隻の民間船舶が航行し、そのうち日本の関係船舶は約二千隻前後、日本を資材基地とするものも含めますと約四十五%に当たる九千隻に上ります。日本の輸出入の貨物の九十九・五%は海上輸送ですので、海洋立国日本にとってこの海域は生命線なのです。にもかかわらず、我が国の具体的な行動は非常に遅かった。海洋政策研究財団と日本財団は昨年秋、海上自衛隊をソマリア沖に派遣すべきだという緊急提言を麻生総理に提出しました。法的整備をして他国の軍隊並みに活動できなければ意味がないという意見も一方にはありましたが、自衛隊法に海上警備行動の規定があるのであれば、とにかく艦艇を出すべきだと主張しました。そのとき頭に去来したのは拉致問題のことでした。

北朝鮮の拉致問題は、当時の日本の社会も政治も同胞の拉致を防げなかった痛恨事です。今回の海賊問題でも、昨年、日本の関係船舶が六隻も拉致されたのに、政府が即座に動かなかったことに、私は非常に危機感を持ちました。日本人の生命・財産を守るのは国家しかない。それが出来ないなら、拉致と同じ悲劇が起こると思いました。私は、海賊問題を巡って、日本人の安全保障の意識がかなり変わってきたのではないかと思っています。実は今回、画期的なことがありました。それは、三月十四日、呉港での派遣自衛艦の出発式に日本船主協会の代表が参加したことです。これは戦後初めてのことでした。実は、日本船主協会は海上自衛隊とは全く関係をもってきませんでした。それは、先の大戦の戦時という状況下、日本海軍が民間船を守ってくれなかったというトラウマによるものでした。その意味で、今回の海賊対策において、自分たちを守ってくれる存在として、国家、あるいは海上自衛隊に船舶の護衛を要請し、その出発を敬意をもって見送ったという事実は、歴史的な出来事だったと思います。海上警備行動で派遣すること自体も憲法違反だ、海外派兵の先駆けだといった議論が起こる根本原因は、憲法に、国民の生命・財産を守り、自由と独立を守るのは国家だと書いていないところから来ていると痛切に感じます。現在、ソマリアの海域では多くの国が国際協力で対応しています。EUもNATOも独自の組織体を形成しています。アメリカも第151合同任務部隊の中心として対応しています。日本は日米同盟と言いながらそうした組織体には参加できません。集団的自衛権の行使にあたり憲法違反だというのです。まずはこの集団的自衛権の解釈変更を速やかに行うべきです。


●わが国の安全と独立を確保するため、速やかに国会に憲法審査会を設置し、

憲法九条改正のための憲法論議を開始せよ!

一昨年五月、憲法改正国民投票法が成立し、衆参両院に憲法審査会が設置されることになった。しかし、すでに二年近くが経過しようとしているにもかかわらず、いまだに憲法審査会は設置されず、本格的な憲法論議もままならない状態にある。

この間、わが国を取り巻く国際情勢はますます厳しさを増し、北朝鮮はさる四月五日、国際社会からの度重なる中止要請を無視して弾道ミサイルの発射を強行した。また、中国政府はこの暴挙を厳しく批判すべく「安保理決議」を求めたわが国の要求を拒否し、北朝鮮に対する宥和的態度に終始してきた。その中国は二十一年連続して二けた台の国防費増額を続け、空母建造や海軍増強の方針を表明するなど、東アジア地域全体の平和と安全をますます脅かす存在となっている。

顧みるに、戦後六十年あまりの間、わが国では外交や防衛・安全保障問題について、与野党間に共通の土俵が形成されないままできた。このため、国家主権や国益にかかわる重要問題でようすら、挙国一致してこれに当たることができないでいる。昨年、わが国にとって安全保障上要がい害の地である対馬において、自衛隊基地周辺の土地が外国資本によって買収されていた事実が発覚したが、何ら有効な対抗策もとられないままである。また、本年三月、ソマリア沖での海賊に対処するため海上自衛隊の護衛艦を急遽派遣したものの、海賊対処法が制定されていないため、外国船は保護できず、海賊に対する武器使用も制限されたままである。このように、わが国が直面している緊急課題にも迅速に対応できず、防衛・安全保障問題の基本的解決にはほど遠いのが、残念ながらわが国の現実である。

もはやこのような事態を放置し続けるわけにはいかない。これらの諸問題に早急に対処するとともに、今こそ集団的自衛権の行使を否定した政府解釈を変更し、とりわけ最大のネックとなっている憲法九条二項を改正しなければならない。

本会は、国権の最高機関たる国会が、国益と国民生活を守るべく国民の負託に真摯に応え、速やかに憲法審査会を設置し、憲法九条改正の発議に向けて実質的な作業を開始することを強く求めるものである。

右、声明する。

平成二十一年五月三日

第十一回公開憲法フォーラム・民間憲法臨調

新しい教育基本法が成立! 戦後教育の改革へ大きな橋頭堡築く

教育

愛国心、伝統文化の尊重、道徳心、公共の精神、家庭教育の重視、教育行政など、大切な教育理念が新たに盛り込まれる

昨年12月15日、新しい教育基本法が国会で成立、12月22日に公布・施行されました。約60年ぶりの大改革です。占領遺制のシンボルとして戦後60年 間、一度も変わらなかった教育基本法が、多くの国民の賛同の中で全面改正されたことは、我が国が戦後体制から脱却する意味で高く評価されます。
新しい教育基本法には、これまでの戦後教育で軽視されてきた、「愛国心」「伝統文化の尊重」「道徳心や公共心の尊重」「家庭教育の重視」など、我が国本来 が必要とされる教育理念が堂々と明文化されました。その結果、これまで無国籍な基本法と批判され、児童中心主義や行過ぎた個人主義を招いていた戦後教育の 弊害は、今後大きく改善される道筋が確立したといえるでしょう。
⇒改正教育基本法全文 (※文科省ホームページへリンク)

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臨時国会審議中、教育基本法の早期改正と与野党共同修正を求め開催した緊急集会(18年11月7日)

三点修正は実現できませんでしたが、国会答弁や質問主意書の回答で有意義な政府解釈が打ち出される

今回、私達が求めた政府案に対する三点修正、すなわち「愛国心」と「宗教的情操の涵養」の明記と「不当な支配」の文言修正については、公明党に配慮する自民党と与党との対決姿勢を崩さなかった民主党執行部が、共に歩み寄る姿勢を見せず、文案修正は実現しませんでした。しかし、三点修正に賛同する国会議員は与野党合わせて192名にのぼり、これが強い後ろ盾となって、私共が修正要求した法案の趣旨が政府答弁の中で明確に示される成果を挙げました。
例えば、臨時国会での衆議院特別委員会や参議院特別委員会での安倍首相と伊吹文科大臣など政府首脳答弁などでは、

①国を愛する「態度」と「心」は一体として養われること
②自然や人智を超えたものに対する畏敬の念など「宗教的態度の涵養」は必要であること
③法令に基づく教育行政は不当な支配に当たらないこと
等の解釈が打ち出されました。

国政を動かした国民運動の力

森内閣の教育改革国民会議に対して、私共が「教育基本法改正を求める要望書」を提出(平成12年暮)した時期から数えて丸6年-。この間、私達は360数万の国民署名を集め、37都府県・420市町村で地方議会決議を上げ、8回に及ぶ国民集会を開催するなど、休むことなく国民運動を推進して来ました。

平成15年1月、各界有識者を結集して結成された「民間教育臨調」(西澤潤一会長)

平成15年1月、各界有識者を結集して結成された「民間教育臨調」(西澤潤一会長)

超党派国会議員約380名が加盟して設立された「教育基本法改正促進委員会」、ともに新教育基本法法案作成を行うなど、改正運動に大きな成果を挙げました

超党派国会議員約380名が加盟して設立された「教育基本法改正促進委員会」、ともに新教育基本法法案作成を行うなど、運動に大きな成果を挙げました

国会議員有志が実施したイギリス教育改革の視察活動(平成16年10月)

国会議員有志が実施したイギリス教育改革の視察活動(平成16年10月)

350万名を超える国民署名を積み上げ、早期改正を求めた中央国民集会(平成16年11月17日・日比谷公会堂)

350万名を超える国民署名を積み上げ、早期改正を求めた中央国民集会(平成16年11月17日・日比谷公会堂)

また、民間有識者による「民間教育臨調」が設立され、国会にも国民世論の盛り上がりを受けて超党派国会議員約380名が加盟する「教育基本法改正促進委員会」が設立され、早期改正に向けた布陣が形成されました。国会議員有志とのイギリス教育視察活動によって総合的な教育改革プランを提示するなど政策提言活動も展開。超党派議連の「教育基本法改正促進委員会」との共同作業では、独自の「新教育基本法案」を作成し、政府改正案に強いインパクトを与えました。
一方、反対運動の中心となった日教組などは、数億円の資金を注ぎ、1万数千名の教職員を全国動員して連日国会前で反対集会を行い、それに同調する左派マスコミは、改正反対、改正時期尚早のムードを煽りました。同じ時期には、国旗国歌指導を違憲とする東京地裁判決も出されました。しかし、多くの改正を求める国民世論を背景に盛り上がりを見せた国民運動が、政府への後押しとなり、今回の臨時国会におけるスムーズな可決を実現しました。
国政を動かしたのは、まさしく中央、地方、国会議員、識者、そして国民の皆さんの長年に亙るご努力の賜物といえます。本当にありがとうございました。

大切な今後の教育関連法案の改正、引き続き教育改革の国民運動を!

今後政府は、学校教育基本法や地方教育行政法など33の教育基本法関連法の修正に取り組むことになります。私達は改正教育基本法の正しい運用を求めるとともに、今後は、これら下位法の修正についても働きかけを行い、日本の心を呼び戻す真の教育改革を実質化させる活動が必要とされてまいります。
もうすぐ迎える春の卒業式や入学式で国旗掲揚・国歌斉唱が適正に行われているか、また4月に予定されている全国学力テストが「不当な支配」によって妨害されないか、我々はこれから不断の活動を続けていかなければなりません。
理念法としての教育基本法を生かすのは、今後改正される教育関連法の内容如何にかかってきます。私共は、誇りある国づくりのため、引き続き教育改革に向け強力な国民運動を推進して参ります。

皇室の伝統を守ろう!日本武道館・一万名大会

皇室

日本武道館へ一万名が結集! 皇室の伝統を守る国民の会設立!

国会議員署名225名に。

平 成十八年三月七日、東京の日本武道館で「皇室の伝統を守る一万人大会」が開催され、一万三百人が集った。昨秋提出された「皇室典範を考える有識者会議」の 報告書に基づき、女系天皇を認め、第一子優先を柱とした法案提出の準備が政府部内で着々と進められる中、万世一系の皇位継承の伝統を守ろうと、心ある国民 の間から反対の声が沸き起こり、二月七日、秋篠宮妃紀子殿下ご懐妊が発表されるとさすがの小泉首相もトーンダウン、今国会での法案提出は見送られる可能性 が高くなった。しかし、危機は去ったわけではなく、皇室の伝統に則った皇室典範の改正もまだ具体化したわけではない。

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20060307_3・7一万人大会_万歳

「拙速な皇室典範の改定に反対する国会議員署名」は本大会までに二百二十五名に達し、大会にも八十六名の国会議員が来賓として参加。本大会をもって「皇室の伝統を守る国民の会」が設立され、以下の三点に取り組む大会決議が採択された。男系による万世一系の皇統維持のための具体案の提唱皇室敬愛の教育の充実と天皇陛下御即位二十年奉祝事業の推進皇室制度の諸問題を抜本的に解決するため皇室制度を検討する国会議員の会の設立を要望するなお、大会翌日の八日、内閣官房皇室典範改正準備室の柴田雅人室長は、「有識者会議」の「報告書」は次の内閣を縛るものではないことを明言した。真の皇室制度の充実を図る国民運動が幕を開けた大会となった。

●皇室の伝統を守る一万人大会

三月七日、東京の日本武道館で「皇室の伝統を守る一万人大会」が開催され、北は北海道から南は沖縄まで全国各地より各界各層一万三百人が集った。

大会では、三好達氏、中西輝政氏、櫻井よしこ氏、平沼赳夫氏、島村宜伸氏、中井洽氏、アフターブ・セット氏、金美齢氏、加瀬英明氏、関岡英之氏ら各界代表が挨拶を行い、ベン・アミ・シロニー氏からメッセージが届けられた。

この大会で、「皇室の伝統を守る国民の会」(事務局=日本会議)を設立、万世一系の皇室の伝統を守るため、男系の皇位継承維持と磐石な皇室制度の確立、そのための国会議員連盟の設立、天皇陛下御即位二十年奉祝事業の推進などを提唱した大会決議が採択された。

大会には各種団体からの代表が参加。自民、民主の衆参国会議員八十六名も参加し、国民運動と国会とが連携して、皇室の伝統を守り抜く決意を固め合った。以下、登壇者の発言要旨を掲載する。(文責・編集部)

●皇室の伝統を守る一万人大会プログラム

[皇室の伝統を守る国民の会設立大会](敬称略)

司会村松英子(女優)

一、開会宣言

一、国歌斉唱

一、主催者代表挨拶三好達(元最高裁長官)

一、各界からのご提言

中西輝政(京都大学教授)

櫻井よしこ(ジャーナリスト)

一、来賓ご挨拶

島村宜伸(自由民主党代表)

中井洽(民主党代表)

平沼赳夫(日本会議国会議員懇談会会長)

一、来賓(国会議員)のご紹介

一、各界からの意見表明

アフターブ・セット(慶応大学教授)

金美齢(台湾総統府国策顧問)

ベン・アミ・シロニー(ヘブライ大学教授)

加瀬英明(外交評論家)

関岡英之(ノンフィクション作家)

一、大会決議百地章(日本大学教授)

決議文の受領下村博文(自民党)

松原仁(民主党)

一、聖寿万歳小田村四郎(前拓殖大学総長)

一、閉会宣言

●主催者代表挨拶

陛下の信頼にお応えするために

三好 達(日本会議会長)

女系天皇の導入、男女を問わず長子優先による皇位承継を柱とした「皇室典範に関する有識者会議」の報告書は、我が国の有史以来、百二十五代にわたり連綿として守られてきた男系による皇位継承の在り方を永遠に断ち切ろうとするものでした。これに対し、心ある国民の間からの反対の声は燎原の火のごとく広がり、秋篠宮紀子妃殿下のご懐妊の慶事も伝えられ、いっそう慎重論が広まりました。このような情勢の下、政府も今国会は見送りましたが、しかし、有識者会議の報告書に則った改定を行うという基本姿勢は全く崩していません。

そこで私どもはここに「皇室の伝統を守る国民の会」を設立することにいたしました。男系による皇位承継に向けて思慮深く健全な世論を形成し、国民が心を一つにして叡智を結集し、方策を図りその制度を確立していくためです。皆様のご賛同とご参加、絶大なるご協力を賜りたいと存じます。今日はその設立の大会であります。この広い日本武道館を埋め尽くす、かくも大勢の皆様にお目にかかることができ、まだまだ日本は大丈夫と目頭が熱くなるのを禁じ得ません。今、六十一年前を思い出しております。昭和二十年ポツダム宣言を受諾するとき、我が国の国柄は有史以来、もっとも重大な危機に直面いたしました。昭和天皇の、自分の身はどうなろうとも国民を救わなければならないとの御聖断により、ポツダム宣言を受諾し、多くの国民の命が救われたのでありますが、その際の最大の問題は国体の護持でした。

軍部は、これでは国体護持が保証されていないとし、更なる抗戦を主張したのですが、そのとき陛下は、「国民の自由意志によって決めてもらって少しも差し支えがないではないか」とおっしゃられたのです。陛下の御心には国民に対する大きな信頼があられた。終戦の詔書のお言葉の中には、「朕は…忠良なる爾臣民の赤誠に信倚し」とあります。このお言葉は陛下のそのお気持ちを率直に表したものと拝察いたします。

そして昭和二十二年、旧皇室典範が新皇室典範へ改められはしましたが、万世一系の男系男子による皇位継承それ自体につきましては、しっかりと維持されてきたのです。昭和天皇の国民への信頼に、国民もまたお応え申し上げたのです。

爾来六十年経った今日、敗戦により異国の支配を受けるという有史以来の最大の危機に際しても、そしてまた占領軍によって押しつけられた憲法によっても改変が加えられなかった男系による皇位継承を、政府は変えてしまおうというわけであります。しかも有識者会議の座長は、「論議に国家観は入れさせない、歴史は我々が作っていく」と言い放っております。それはまさに、革命思想と共通の思想基盤に立つものと言わざるを得ません。陛下の信頼にお応えするためにも、皇室の伝統に繋がった皇位継承のあり方を守る活動を展開して参りたいと存じます。私どもは国会議員の方々に、皇室典範の改定に慎重な対応を求める署名をお願いして参りましたが、本日までにその署名数は二百二十五名に達しております。私どもはこれら国会議員の方々を中心に、私どもと同じ目的に向けた国会議員の会を設立していただき、その活動に心から期待してやみません。

●各界からの提言

典範改正の当事者能力があるのか

中西輝政(京都大学教授)

秋篠宮妃紀子殿下のご慶事は、人知を超えた何か神秘的なものさえ感じました。我が皇統の安定的な継承ということが今、国家の大事になっておりますが、このご慶事により我々が目を覚まされた、大変ありがたい機会を与えて頂いたと感じております。

ただ、危機はまだ続いております。「有識者会議」の報告書に基づいた法案提出への政府一部の動きはまだ続いています。気を引き締めて我々が問題点を指摘し、より広く国民の啓蒙を図っていくという努力が、今後ますます必要になるのではないか。有識者会議の報告書は三つの大きな問題点があります。第一に「はじめに結論ありき」といった決定の過程の問題です。日本政治史に類例を見ない拙速さが、このような大切な問題に関して取られているということを忘れてはなりません。第二は、第一子優先、いわゆる長子優先ということが謳われておりますが、例えばイギリス、デンマークの王位継承でも男子優先という原則が厳然と取られているのです。第三は、女系天皇の導入です。私は日本皇室の最大のアイデンティティー、本質とは万世一系にあると考えております。万世一系には、三つの重要な意味があります。まず第一に皇統譜にありますように、神武天皇以来二千六百六十六年、一つのご家系がこの皇位を継承してこられたということです。第二点目は、さらに神武天皇以前即ち、神話、神々の系譜に繋がる家系、系譜であられるということです。それ故にかつて源頼朝、織田信長、徳川家康も皆、神々の系譜に連なる天皇というものの権威を犯すことは到底できなかったわけです。第三点目は、百二十五代全て男系で継承してきたことです。歴史的な事実として女系天皇は現在に至るまで、お一人もおいでにならなかった。この二千年以上にわたる万世一系という皇位継承の伝統を根本的に改変するような決定を、どうして今する必要があるのでしょうか。女系天皇は世界史的に見れば、いわゆる王朝の交代となります。神武天皇以来の百二十五代に亘る神武王朝が女系天皇の導入によって、例えばお婿様が山田太郎様というお方であれば、そこで山田王朝という新しい王朝が生まれたということになります。

我々がそう考えなくても、世界の中における日本皇室の位置づけが変わると理解しなければなりません。

二一世紀は文明の世紀であると言われています。例えば西洋文明の根底にはキリスト教の心があるとしたら、日本文明の核心には日本人の心のかたちというものがあるわけです。正直で、表裏のない、率直で争いごとを好まない、約束を守る、こういう心のあり方に美的価値を見い出している、この日本文明の心の清潔さを重んずる淵源はどこにあるのでしょうか。

それは、日本の歴史と伝統、そして日本人の心を象徴される天皇が、日本国の繁栄と我々国民の幸せを祈って日々、祭祀にいそしんでおられるところにあるのではないでしょうか。秋篠宮妃殿下のご懐妊のニュースが伝わる前日、二月六日発表の世論調査によると、五六パーセントの日本国民が女性天皇と女系天皇の区別が分からないと答えています。小泉首相にしても、女系天皇の理解が果たしてどこまで深いものであるのか。つまり我々はまだ天皇、皇室について知るべきことを知らないのではないでしょうか。皇室典範のような基本法を改正する当事者能力が現在の日本国民に果たしてあるのでしょうか。このことをまず静かに考えて見る必要があるのではないでしょうか。

天皇の本質とは何か。それは神々の系譜に連なられる御存在であるということです。昭和天皇は、GHQからの神格否定の圧力があったとき、「天皇の系譜が神代に連なる万世一系の系譜であることを否定することは決してできない」とおっしゃいました。昭和天皇の御心がここに深く現われています。

現在の皇室典範は、皇位継承の御印、三種の神器、或いは大嘗祭等についてほとんど何の取り決めもしていません。つまり全く暫定的なものです。天皇とは何かということについてのより深い理解の上に立った真の皇室典範の改正ということを、我々国民の側から声を上げて、腰をすえしっかり取り組んで行く必要があるのではないかと思います。皇室の伝統を守る我々国民のあり方というものが問われているのです。

●各界からの提言

皇室の伝統とは日本民族の成り立ちの物語

櫻井よしこ(ジャーナリスト)

なぜ有識者会議の結論がいけないのか。それは民主主義のルールにもとるということが第一にあるかと思います。選ばれた十人の方々が、十ヶ月に亘って論議なさった。けれども各委員の出欠が明確な十五回の会議のうち三分の一以上の六回を欠席した人もおられます。出席をしても冒頭の二十分間で中座した人もおられます。二千六百年以上も続いてきたこの長い伝統のこれからのあり方を論ずるときに、このような不真面目な態度で論議をしてよろしいものでありましょうか。

私たちは皇室の伝統を見るときにいろいろ不思議なことがあることにも気がつきます。なぜならば皇室というのは神話の世界から出発しているからです。近代主義の合理的な理屈に則って考えれば割り切れないこともたくさんございます。けれどもそれは当然のことです。なぜならば、皇室の伝統とは、私たち日本民族の成り立ちの物語だからです。物語に込められているのは、私たち民族の心です。私たちの先人たちが何を大事だと思って来たのか、何を守らなければならないと思ってきたのか。そうしたその時々の判断、心の有り様、心映えというものが凝縮されたものが日本文明であり、その日本文明の神髄が皇室の姿の中にある。だからこそ万世一系、男子相続ということについて、歴代の天皇は心を砕いてこられました。

昭和天皇にはまず四人の内親王様がお生まれになりました。四人目のお子様が誕生なさったのが昭和六年三月です。国民は今と違って、当時皇室にもっと強い尊敬の念を抱いておりました。

親王様誕生を心待ちにしていたところに、四人目のお子様も内親王様でいらした。そのわずか二十日ばかりのちに、昭和天皇は、元老の西園寺公望にご下問をなさっておられます。「養子を取ることは可能ではないのか。返答せよ」と。このことが示しているのは、ご自分のかわいらしい内親王様を天皇に即位させようというおつもりではなかったということです。

昭和天皇も長年続いた日本の伝統を必死に守ろうとお考えになり、そこでご下問になったのが養子制度の検討でした。そうしたことを全て打ち破ろうとしたのがGHQです。GHQは皇室を無くそうといたしました。ただ日本統治のためには皇室はどうしても必要であることを認識したマッカーサーが細々と存続させたにすぎません。にもかかわらず平成の時代になっていま、日本人の間からまるでGHQがやり残した仕事を完成させたいかのような動きが出てくるというのはなんと悔しく、悲しいことでございましょうか。

紀子様がご懐妊になりました。このことは私たち国民全員にもっとしっかり考えなさい、あなた方は何者ですか、無国籍の民ではありませんでしょう。

日本民族の末裔でしょう。この日本国の歴史と伝統と文明を忘れて根無し草のようになって、どうなさるおつもりですかと、聞いておられるのだと思います。今暫くの時間が私たちに与えられました。有識者会議の報告をまだ、あきらめていない人々がいる。だからこそ私たちは、この与えられたわずかの時間に叡智を結集して、私たちを日本民族たらしめてきたこの文明の証としての皇室のあり方についてしっかりと考えて、悔いのないようにこの国を存続させて行こうではありませんか。

●来賓挨拶

天の岩戸が開かれた

島村宜伸(自由民主党、衆議院議員、元農林水産大臣)

二月一日に憲政記念館で「皇室典範の拙速な改定に反対する緊急集会」が開かれました。会場は超満員の熱気でしたが、その際、あまりに拙速にすぎる。皇太子殿下も秋篠宮殿下もまだお子様が誕生する可能性が十分にある、と申し上げました。それからわずか一週間の後に紀子妃殿下ご懐妊の発表がありました。天手力男命によって天の岩戸が開かれてぱっと明かりがさした感じがいたしました。それ以来、一時は大変な勢いで強引にやろうとしていた小泉さんも、方針を変えられました。これは素晴らしい救いだなと思ったわけです。郵政民営化とはわけが違う。二千年の歴史、百二十五代にわたる我々が世界に誇ってやまない皇室は、男系の天皇で貫かれているんです。この世界に誇るべき歴史をほんの一時の気の迷いでなおざりにしていいのでしょうか。

私たち自由民主党は、自由と民主主義を標榜し、開かれた党の運営の中で自由に論議し、党の知恵と力を集めて五十年の歴史を築いて来た政策集団です。そして偏狭と独裁を最も嫌う政治家の集団でもあります。その政党の議員、国民から選ばれた立場を無視して、一総理のお考えで党議拘束をかけてこれを強引に押し通す。こういう暴挙に対しては断固戦わなくてはいけない、私たちはまた党を二つに割るような戦いをしなければいけないのかなと、密かに覚悟を決めていたら、幸いそういうことに至りませんでした。私たちは敢然として国民の意思を体し、正しい政治の道を切り開かなくてはならない。

今回の皇室典範問題はそのひとつのきっかけにもなりました。有識者会議といっても総理の私的諮問機関の一歩を出ない。これは国会の機関でも何でもない。わずか十名の歴史の専門家でもなければ、皇室の伝統に詳しい方だとも思えないような方々が、わずかな論議のうちに、皇室の将来のあり方まで断定するのはとんでもない話だ。私たちは今こそもう一度、日本人の本来の姿に立ち返って、愛するこの日本の国の将来が如何にあるべきか、立派な日本を築いて、子供たちに渡して行こうではありませんか。

●来賓挨拶

まず皇室会議に図るべき

中井洽(民主党、衆議院議員、元法務大臣)

近頃、民主党というと恥ずかしくて胸を張ってものを言えない状況です。しかしその中で胸を張って日本の将来を考え、皆さんと一緒に国を守ろうと今日も二十人の仲間が参加しております。メール問題では大失態をしましたが、国の根幹に関わる問題で迷走したりしないように私どもは皆様と一緒にがんばる決意です。すでに西岡武夫さんを長として勉強会を発足させて、一番最初に櫻井よしこさんにお越し頂き、会を重ねるごとに、参加者も増えています。国会議員がまず理解する。そして国民の皆さんに理解して頂く。その中で円満に皇室の伝統を守る方向を見つけ出していく。このことのためにがんばって参ります。今、島村先生からお話し頂いた二月一日の緊急集会で、私は、皇太子殿下、四十五歳、秋篠宮殿下、四十歳、まだまだ大丈夫だとお話をさせて頂きました。するとその一週間後、紀子妃殿下がご懐妊のご兆候と。背筋が寒くなるような震えを感じました。しかも、小泉さんが法案を出すか、出さんか、決断するぎりぎりのタイミング。さらにご出産のご予定日が、小泉さんが辞める九月。これは本当に神様がいらっしゃるなあと私は実感いたしました。

現行の皇室典範の制定にあたっては、GHQの干渉の中で当時の関係者がどれだけ苦労されたんだろう、と思わずにはいられません。いまテレビ等で相変わらず何も分かっていない評論家たちが、憲法の範囲だ、男女平等だなどと言っています。しかし、皇室典範には、皇室会議に図るということが頻繁に出てきます。今回の皇室典範の改定について、一度でもこの皇室会議に図ったことがあるのでしょうか。皇室会議には、最高裁長官、衆・参両院の議長、副議長、そして宮家もお入りになっていらっしゃる。その会議に図った上で、時間をかけて国会でやっていく。これが民主主義の当たり前のやり方です。皆さんと一緒にこれから油断なく、勉強を積み重ねて、日本の伝統中の伝統を守り抜くために、共に戦わして頂くことをお誓い申し上げます。

●来賓挨拶

日本の、世界の宝を守ろう

平沼赳夫(日本会議国会議員懇談会会長、衆議院議員、元経済産業大臣)

私はこの会場に入らせて頂き、大感激しました。全国から日本を憂える皆様方が、この日本武道館満堂あふれるほど盛大にご参集頂いております。まず心から御礼申し上げたいと思います。

私は日本、日本民族の宝はご皇室をおいて他ないと信じている者です。一昨年の暮れに総理大臣の私的諮問機関として、「有識者会議」の発足が発表されました。その十名のメンバーの方々は、私の見るところ皇室の歴史に通じている方、或いは皇室の法律に通じている人は二人半しかおられない。

中にはギリシャ哲学の専門家がおられて、学者の方は正直ですから記者会見で「どうして自分が選ばれたのか分からない」と正直にその心根を吐露されています。櫻井さんがご指摘のように昨年一月からわずか三十四時間で拙速に結論を出しました。三笠宮の仁親王殿下が、皇族のお立場を十分わきまえられて、そのご心情を吐露されました。誠にまっとうなご心情だと私は拝察いたしました。このことを記者会見で聞かれた有識者会議の座長―有識者といいますから、教養も知識も品格もなければならないと私は思っています―その座長が何と言ったか。「どうってことない」。こんな人が座長を務めている有識者会議は、本当の有識者会議なんでしょうか。今日お集まりの皆様方は、あの言葉に怒りを覚えられたと思います。

全世界探しても、連綿と百二十五代、万世一系、男系を守ってこられたご家系というのは、日本のご皇室をおいて他にありません。我々日本民族の大切な宝であり、世界の宝です。改革、改革と、口を開けば唱えている人がいますが、すべき改革は躊躇なく迅速にやるべきだが、守らなければならない伝統や文化は断固守って行かなければならない。本日のこの炎の力を全国に行き渡らせて、我々の守るべき伝統というものを、お互いの連携の中で守って参りたいと思います。

●各界からの意見表明

皇室は日本の民主主義の基礎

アフターブ・セット(前駐日インド大使、慶応大学教授)

私が最初に日本に来たのは昭和三十七年、慶応義塾大学で一年間留学生として勉強しました。その次の来日が大阪万博のときで、インド大使館に外交官として二年間勤めました。それから二十八年間を経た西暦二〇〇〇年に駐日大使として日本に参りました。そのとき『象はやせても象である』というタイトルの本を出しました。象とは日本のことです。どういうことかというと、当時は失われた十年の犠牲のあとで、日本人が自信を失っているときでした。しかし私は日本の歴史を少し勉強しましたから、まったく心配しなかったんです。きっとまた日本は上がって豊かな立派な国になると思っていました。

私は二〇〇二年九月、日本会議の主催で開催されたインド日本国交樹立五十周年記念式典においてラダ・ビノード・パール博士についてお話をさせていただく機会をいただきました。再びこうして皆様方と活動できることをうれしく思います。

日本の社会は「相談」と「一致」をその基礎として成長を続けてきました。何世紀にもわたり異なった文化や異なった意見が主張されましたが、常に意見の一致にいたっております。これはイギリスにおいてマグナカルタが築いた民主主義が始まる四百年前、即ち七世紀に、聖徳太子によって築かれた民主主義的伝統を基盤としています。インドはその何世紀も前、アショカ王によって民主主義の習慣が始まりましたが、日本の民主主義も古い伝統を持っています。そして皇族はこの意見の一致を形成する過程に不可欠の存在とされてきました。私は賢明な皇族に導かれた日本国民の叡智が国家の利益に適った結論に達する無難な方法を見つけることを疑いません。インド大使として日本に滞在した期間のみならず、大使をやめたあとでさえ、皇族の方々は私の家族に寛容で親切に接してくださっています。私共がインド日本国交樹立五十周年を祝した際に天皇皇后両陛下をはじめ、皇太子同妃両殿下、秋篠宮同妃両殿下、常陸宮同妃両殿下、仁親王同妃両殿下、高円宮同妃両殿下には、歴史に残る催し物にご来臨を賜わり、大変光栄に思っています。皇室制度や伝統の存続は私たち両文明を結ぶ確固とした友好関係の大変重要な象徴であります。

●各界からの意見表明

神風はなぜ吹いたか

金美齢(台湾総統府国策顧問)

私が今日ここでお話をする機会を与えられたのは、私が台湾人であると同時に心から日本を愛している人間だからだということだと思います。紀子様ご懐妊のニュースを聞いたとき、私は「神風が吹いた」と思いました。あの大戦のとき、私は小学生でした。台湾にいましたが、私は日本人としての日々を送っていました。紀元二千六百年という歌を歌ったり、「兵隊さんよ、ありがとう」という手紙を書いて慰問袋を出したりしました。必ず神風が吹くと信じて日々それを祈っておりました。しかしあのとき神風はついに吹きませんでした。どうして、今、その神風が吹いたのかな。ひょっとしたらこの皇室典範改定というのは、あの大戦の敗北よりも日本の根幹を揺るがす国家的危機なのではないかと思いました。ひょっとしたら私のように歴史も浅い、神話も持たない国、台湾の出身者である人間のほうが、一般の平均的な日本人よりも、もっと天皇陛下のご存在、皇室のご存在がどれだけ大切なのかということを身にしみて感じているのかもしれません。数年前、講演をしたある会場で「台湾には神話があるのですか。国の礎になる神話があるのでしょうか」と聞かれたことがありました。台湾には神話はありません。移民と植民、統治者がめまぐるしく変わった四百年の歴史しか持ちえません。私はそのとき、「私が歴史であり、私が神話です」と大見得を切りました。でも皆さん、私ごときが歴史であったり神話であるなんて社会は、皆を束ねて心を一つにするなんてことはあり得ないのです。

日本には世界に稀なる皇室があります。これは日本の宝物なんです。この宝物を壊すのは簡単です。一日で壊すこともできましょう。けれどもそれを持つためには、皆が理屈を超えて納得して示すことができるそういう存在をつくるには二千六百六十六年かかるのです。台湾はそういう存在が持てません。だから混乱の極みです。どうぞ、そういう国の二の舞は踏まないで下さい。どうぞ、皆さん、皆さんが持っている大切な宝物をしっかりと守っていってください。このたびの神風は、日本人の一人一人に対してしっかりとそれを考えていくことを促したのだと私は信じております。

●各界からの意見表明

父から息子への継承

ベン・アミ・シロニー(ヘブライ大学教授)

〈メッセージ〉

皇室の伝統を守る一万人大会にお招きいただいたことを、光栄に存じます。本日、この大会にご参集の皆様方が、皇室のご繁栄と存続について、深い思いと熱意を傾けておられますことに、心より敬意を表します。日本国のみならず、世界全体にとりまして、類まれなる大切な皇室がいっそう繁栄し、皇位継承の適切な解決策が見出されますことを、心よりお祈り申し上げ、ここに私の考えの一端をご披露させていただきます。

「現在、日本の皇室は、二千年以上続いた世界で唯一の存在である。これは世界の宝である。しかし、この地位は今、廃絶の危機にさらされている。廃絶されれば、それは日本だけでなく世界の大きな損失になるだろう。女系の皇統は、日本に存在したことがなく、これは天皇制の根本原理に矛盾する。皇位を男性が独占する制度は、男女平等の原則に反するが、伝統的で神聖な制度の場合には、これが広く受け入れられ、尊重されてきた。カソリック世界は、ローマ教皇が男性に限定されていることに対して異議を唱えることはない。ダライ・ラマは自由と正義の擁護者だが、この地位につけるのは男性だけだ。ユダヤ教の祭司は、三千年にわたり父から息子へと継承されてきた。女性のローマ教皇、女性のダライ・ラマ、女性のユダヤ教祭司を要求することなど、考えられない。私見を申し上げれば、日本政府は、男系皇位継承のように古くからある原則を廃止するという、過激な変革は急ぐべきではない。今の世代が、二世代も先の子孫たちに、結論を押し付ける理由など、どこにも見つからないからである。」

この度の『皇室の伝統を守る国民の会』が設立される意義は誠に大きなものがあります。どうぞ皆様方のご活躍とご健勝を、遠くイスラエルの地よりお祈り申し上げております。

●各界からの意見表明

仁親王殿下のご発言

加瀬英明(外交評論家)

天皇は日本の国家であり日本の歴史そのものです。ですから、いわゆる有識者会議が、日本の歴史観も国家観も論議しなかったというのでは、この報告書は全く読むに値しません。日本国憲法はそのときどきの政治の問題です。しかし二千年を超える悠久の歴史を持っている天皇というご存在は、政治ではなく文化の問題です。仁親王殿下が、天皇の問題は文化の問題であるとお考えになられ、有識者会議を批判されました。すると吉川座長は「どうっていうことはない」と言いました。あの有識者会議は皇室に対する尊崇の念を全く欠いているということが大きな問題です。女系を「容認する」という言葉は何ですか。国民が皇室より上にあるということを前提にした言葉遣いです。あの人たちは本当に全員が日本人なのだろうか、と考えますと、肌寒い思いがいたします。

かつて、近代中国の父といわれた孫文が「中国民族は砂のようだ」と言いました。砂のように国民がばらばらでまとまらない。それに対して日本は天皇陛下を戴いて国民がさざれ石が巌となるような国柄を保ってまいりました。日本の国柄は世界に類例のないものです。二千六百年以上にわたって続いた男系による皇位の継承は、文化の形です。この伝統を政治的な理由によって変えることは絶対に許されません。仁親王殿下のご発言によって、多くの良識ある国民が皇族のご意向に接して深い安堵の念を抱いたと思います。

殿下は昨年末にご自身が主宰しておられる福祉団体の機関誌にまずご自分の意見を述べられ、今年になって新聞や雑誌のインタビューにお応えになられました。これらのご発言がこのたび一冊の本として出版されました。『皇室と日本人』(明成社)です。この本のゲラ刷りが出た二日後に殿下は喉頭癌の手術のために入院されることになりました。殿下は、病院にゲラを持ち込んで赤を入れて下さいました。

日本は昭和二十年の夏に国体を護持しえて敗戦という未曾有の危機を乗り切りました。もし二千六百年以上にわたって続いた男系による皇位の継承が廃止されるということになりますと、日本は滅びることになってしまいます。殿下もそのような深い危機感を抱かれて、『日本の息吹』のインタビューの中では、殿下の父宮母宮も強く反対を説かれたことを明らかにされました。秋篠宮殿下、常陸宮殿下も男系による皇位継承を廃することに強い危機感を抱いておられると漏れ承っております。一日も早く仁親王殿下がお元気なお姿を私共の前に現してくださることをお祈りしたいと思います。

●各界からの意見表明

子供たちは知りたがっている!

関岡英之(ノンフィクション作家)

私は普段は理屈っぽい経済問題について書いたりしゃべったりしていますが、ご縁があって、都内の進学塾でお話させて頂く機会があります。

先日、私はその塾の小学六年生の子供たちに「日本の最初の天皇は何と言う人か知っていますか」と聞いてみたんです。すると、推古天皇、あるいは、仁徳天皇という答えが返ってくる。小学校の歴史の教科書では、古墳の写真の下に「前方後円墳(仁徳天皇陵)」と書いてある。しかし仁徳天皇とはどういう方で、そもそも天皇とはどういうご存在かという説明は一切ない。その次はいきなり聖徳太子が推古天皇の摂政となった、推古天皇は日本最初の女性天皇であるという説明です。つまり古事記が扱っている部分が歴史の教科書から丸ごと抜け落ちているのです。そこで、私が「推古天皇は第何代天皇かな?

三十三代目だよ。推古天皇の前に三十二人もの男性の天皇がいらっしゃった」という話をしますと、子供たちは「えーっ」と目を丸くして驚く。今の天皇陛下、何代目か知っているかな、百二十五代目だよ。そして私は、神社本庁作成の歴代天皇の系図を取り出して、「最初の天皇陛下は神武天皇様とおっしゃいます。そこから今の天皇陛下までずーっと一本の糸でつながっているんだ。おじいさん、お父さん、息子、孫、曾孫、玄孫と一つの家系でつながっているんだよ」と話すと、子供たちは夢中になって「見せて、見せて」と食いついてくるんです。私は、その子供たちの反応に驚きました。男の子たちは「すげぇー」と言いながらこれを見ています。女の子たちはただ黙ってこれを見つめています。

「これは受験やテストに出るわけじゃないよ」と言うと、「テストのためじゃないんです、ただ知りたいんです」とじっと訴えかけるような目で私のことを見上げてきます。私はそのとき思わず涙が出そうになり、ハッと悟ったのです。自分の国がどのようにして生まれてきたのか。どのようにして続いてきたのか、それを知りたいということ、この気持ちはおそらく人間が生まれながらに持っている本能であろう。また、歴史や伝統に対する畏れの気持ち、敬う気持ち、これまた人間としてごく自然な心情の発露ではないか。子供たちは歴史や伝統に興味がないわけではない。本当は知りたいんです。潜在的には教えてほしいと思っている。しかしそれがまったく教えられていないんです。これ程かわいそうなことがあるでしょうか。

学校が教えないのであれば、私たち親たちが直接子供たち孫たちに語りかけていかなければなりません。子供の興味を引くには工夫が必要で、例えばクイズ形式などいいと思います。最初の天皇は何という人か知ってる?

今の天皇陛下は何代目か知ってる?そしておもむろにこの歴代天皇の系図を取り出します。これによって子供たちの潜在的な歴史を知りたいという心が表に出て来て、伝統や歴史を重んじたい、敬いたいという心が芽生えてきます。それを十年二十年続けるんです。十年経てば今の小学生たちが成人して選挙権を持ちます。二十年経てば結婚して家庭を持ちます。こういった運動を粘り強く続けることによって、私たち日本人の魂、日本人の国民精神の中に、歴史や伝統、そして皇室を敬い、きちっと守り、次の世代へ語り伝えていく民族としての自覚が根付いていくのではないかと思います。

大会決議

我が皇室は、百二十五代、二千年以上にわたって断絶することなく男系によって皇位を継承し、その淵源が神話にさかのぼる世界に比類なき存在である。しかるに今般、政府は、「皇室典範に関する有識者会議」の報告に基づき、女系天皇の導入及び長子優先主義の採用という、皇位継承の伝統に重大な変更をもたらす皇室典範改正を行おうとしている。

幸いにも、本国会への皇室典範改正案の上程については、拙速な改定に反対する各界有識者および国会議員の声の高まりと秋篠宮家の御慶事を迎えたことにより、慎重な対応がなされるに至っている。

顧みれば戦後六十年にわたり、皇室制度にかかわる様々な課題は不問に付されたまま今日にいたっている。今回の皇位継承問題を始め、宮家の存続や拡充、皇族方の教育制度、皇室に課せられる相続税を始めとする皇室経済の問題、皇室関係法規の不備など、皇室制度にかかわる解決すべき課題は山積している。これらの諸問題を抜本的に検討し、万世一系の皇室を磐石ならしめることこそ、いま我々国民に課せられた責務である。

我々は、本大会をもって「皇室の伝統を守る国民の会」を設立し、過去に皇室の御慶事にあって様々な奉祝事業を推進してきた実績を踏まえ、皇室の伝統を守るために左の活動に取り組むものである。

一、万世一系の皇室の御存在の意義を踏まえ、男系による皇位継承を堅持すべく、具体的な提案を検討し提唱する。

一、皇室への敬愛の念を高めるため、政府に学校教育の内容充実を要望するとともに、来るべき天皇陛下御即位二十年奉祝事業など広範な国民運動に取り組む。

一、戦後六十年にわたり放置されてきた皇室制度の諸問題を抜本的に解決するため、皇室制度を検討する国会議員の会の設立を要望する。

右、決議する。

平成十八年三月七日

皇室の伝統を守る国民の会
八十六名の国会議員が来賓として参加(敬称略)

〈自民党衆議院〉赤池誠章、稲田朋美、今津寛、岩屋毅、宇野治、小川友一、奥野信亮、鍵田忠兵衛、北村茂男、木原誠二、木原稔、斉藤斗志二、柴山昌彦、島村宜伸、清水清一朗、下村博文、菅原一秀、薗浦健太郎、高鳥修一、戸井田徹、土井亨、土井真樹、西川京子、西野あきら、西村明宏、根本匠、萩生田光一、林潤、平沢勝栄、藤田幹雄、牧原秀樹、松本洋平、馬渡龍治、武藤容治、吉田六左ェ門、渡部篤〈自民党参議院〉秋元司、有村治子、泉信也、岩城光英、岡田広、狩野安、河合常則、鴻池祥肇、桜井新、佐藤泰三、山東昭子、中川雅治、中川義雄、中曽根弘文、二之湯智、水落敏栄、山内俊夫、吉村剛太郎〈民主党衆議院〉神風英男、鈴木克昌、田嶋要、田村謙治、中井洽、長島昭久、原口一博、平野博文、前田雄吉、牧義夫、松木謙公、松原仁、吉田泉、笠浩史、鷲尾英一郎〈民主党参議院〉岩本司、大江康弘、芝博一、鈴木寛、平田健二、広野ただし〈国民新党衆議院〉亀井久興〈国民新党参議院〉亀井郁夫〈無所属衆議院〉江藤拓、西村眞悟、平沼赳夫、古川禎久、古屋圭司、保坂武、保利耕輔、山口俊一〈無所属参議院〉松下新平

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