国立追悼施設に反対する有識者の声

国立追悼施設に反対する有識者の声

国立追悼施設に反対する有識者の声

靖国

福田官房長官の私的懇談会が靖國神社に代わる国立追悼施設の検討を始めたことに対し、国民の間から大きな反発が起こりました。このため懇談会は、5 月の会合を最後に、非公開の「勉強会」となり、議論の内容を知ることができない状況が依然続いています。なお、福田官房長官は10月9日付産経新聞のインタビューに答えて、「宗教(的)でない施設、国家としてそういう施設は持つべきだ」と述べており、施設建設をいまだ断念していないことを窺わせ、予断を許しません。また、当初10月に発表するとされていた懇談会の答申は先延ばしされたものの、国立追悼施設建設への動きが、水面下で行われている恐れは十分に考えられます。
我々としては、懇談会の動きに注意を払いつつ、どんな緊急事態にも敏速に対応できるよう準備を整えておく必要があると考えます。
以下、有識者の発言、論文を基に、国立追悼施設の問題点、なぜ靖国神社でなければならないのか、を今一度、確認したいと思います。(文責:日本会議事務局)

■国会議員の声(日付順)

〇平沼赳夫氏(経済通産大臣、自民党衆議院議員)
「我々は小泉首相が8月15日に参拝することを望んでいる。追悼施設は、外国から干渉されるから新たにつくるということで、日本の主体性を考えるといかがなものか。」(平成14年5月29日「日本会議国会議員懇談会」総会)

〇亀井静香氏(自民党前政調会長、衆議院議員)
日本が溶けて流れようとしている時に追悼施設を造る案が浮上している。これ程馬鹿げた発想はございません。この間違った考え方に、先制攻撃をして戴いたことは大変意義があり、国会議員にとってこれ程心強いことはございません。今、サッカーで日本選手が名誉をかけて素晴らしい戦いをしております。しかし私はサッカーで勝ったから愛国心が満たされると考えてはならないと思う。サッカーで勝つと同時に、我々は日本人の萎えている魂を奮い起こさなければならない。
靖国の御霊を新施設に移すなどできるはずがない。これを税金の無駄使いと言うんです。この外国から内政を干渉されて生まれた発想を、絶対に許す訳にはゆかない。さらには東京裁判の結果を、我々の心の価値観とする理由などどこにもない。グローバリゼーションの名の下、国家、民族、宗教が激しくぶつかりあう世界で、アイデンティティーを失って生き延びていけるのか。そういう意味でも絶対に阻止致します。」(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」)

〇中山利生氏(自民党・衆議院議員)
「われわれ日本人にとって、亡くなられた方々はすべて仏様であり、神様です。そういう伝統を持っておりますので、靖国神社にお参りすることを民族の誇りとし、義務としているわけです。もう一回戦争をやろうなんて思っている人はただの一人もいません。こういう犠牲を二度と起こさない。そして、平和な日本、平和な世界を造ろうということで、お参りに行っているわけです。
靖国神社中心の慰霊というものをこれからも民族として、行っていかなければなりません。」(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」)

〇中川昭一氏(自民党・衆議院議員)
「小泉さんが首相になられてから、「何があっても、靖国神社に参拝する」とおっしゃいました。われわれはその気持ちを強く支持し、八月十五日に向けて行動を起こしました。残念ながら、八月十五日の靖国参拝は実現できませんでしたが、小泉首相のお気持ちは察するに余りあるものがあったと思います。その後、懇談会ができました。でも、あくまでも私的懇談会でありますから、国権の最高機関たるわれわれがきちっと判断をしてゆかなければならないと思います。」(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」)

〇高市早苗氏(自民党・衆議院議員、小泉総理の靖国神社参拝を実現させる超党派国会議員有志の会会長)
「二週間前「小泉総理の靖国神社参拝を実現させる超党派国会議員有志の会」の会長に就任致しました。
私たちが追悼施設に反対する理由は、家のお葬式の時に故人の思いを大切にするのと同じく、英霊の方々が「靖国で会おう」と最後に残された言葉を尊重することがなによりも大切だと思うからです。
またご英霊をどのようにお祀りし、慰霊をするかは国家にとって極めて重要な内政事項であります。中国の国家主席や韓国の大統領から「靖国に変わる慰霊施設を造れ」「総理が靖国参拝するのはけしからん」と言われるのは主権が著しく犯されていることに他なりません。主権とは、独立国家が他の国から一切干渉されず自ら決することのできる権利です。ご英霊をどう慰霊するかは国家主権に関わることで、国会議員の会は日本の主権を守り、ご英霊に最も安らかにお眠り戴ける形を追求します。税金の無駄遣いは許せない。以上のような理由で私たちは、皆様と共に断固反対します。」(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」)

〇吉田公一氏(民主党・衆議院議員)
「魂の入っていない、外国から何か言われるのでしょうがないから造ったなんていう施設に、だれがお参りをすると思いますか。靖国神社にお参りしてこそ初めて、国のために犠牲となられた方々の追悼になるわけです。
民族の誇りを失っては、日本の国家は他の国々の人たちに敬意を表することもできません。自分たちの民族に誇りがあるからこそ、相手の民族にも敬意を表することができるのです。靖国神社を守り通して、日本民族や日本の歴史の原点にすべきだと思います。」(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」)

〇小池百合子氏(保守党・衆議院議院)
「靖国に代わる追悼施設は検討すること自体、時間と労力の無駄であります。最近問題の筋弛緩剤がありますが日本は最近、緩慢なる弛緩をしているのではないかと思います。それは、瀋陽の領事館での姿、不審船引き揚げに対する弱腰などに現れている。最大の原因は戦後教育で日本人をメルト・ダウンさせられたことです。私の地元の兵庫県では最近、会計検査院の調査で教師が如何に労働組合に時間を割き、更には慰安旅行に行っているかが暴かれました。授業では日の丸を血塗られたような悪い存在として教育し、むしろ韓国の国旗を一生懸命教えている。これでは日本が弛緩するのは当然です。
この追悼施設の問題を日本を見直すきっかけとし、改めて靖国神社という私たちの魂の部分を考える必要があると思います。公共事業悪玉論という言葉がありますが、不思議とこれを唱える人に限ってこの代替施設に賛成しています。本日の集会で靖国神社の永遠なる存続を誓っていきたく思います。」(平成14年 6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」)

〇西村眞悟氏(自由党・衆議院議員)
「大東亜戦争は誇りある民族の戦であり、英霊と共に子々孫々に語り継がねばならない」。これを皆さんと確認できるならば、国立追悼施設など朝日の前の露のように消えてなくなる。
「アーリントン墓地はインディアンの殺戮者が祀ってあるから参拝するな」と二十年間封印されればアメリカの建国の理念は地に落ち、単なる移民の寄せ集めのカオス集団になる。「中国革命英雄記念碑には殺戮者が祀られているから参拝してはならない」とすればその瞬間に中国共産党政権は崩壊する。
我々は中曽根内閣以来、二十年間その中枢に攻撃を受け、あたかも屈服したかのような印象を与えたので李鵬は「数年後に日本はない」と合理的な判断に達した。これは冒頭述べたことを第一に言わないことから起こっている。
国家の中枢に攻撃を許していることにいま目覚めなければ、英霊に申しわけない。靖国神社こそ我が民族の要諦である。この祖国共同体の素晴らしい伝統を守り抜こうではありませんか。(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」)

〇古賀誠氏(日本遺族会会長・自民党前幹事長、衆議院議員)
「久しく中断されていた靖国神社への首相の参拝が、昨年八月に続いて本年四月にもなされたことは、一人の遺族としてまことに喜ばしく思います。今後もこれが地道に継続され、首相の靖国参拝が定着することを衷心より願っています。
そのような状況の変化がある一方で、昨年十二月に福田官房長官の下に設置された「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」において、国立の戦歿者追悼施設の新設構想が検討されつつあります。
当初、私はこの「懇談会」の審議を慎重に見守る姿勢を堅持してきました。予断や先入観でことを早急に判断してはならないと自らを戒めてきたからです。しかし、数回重ねられた「懇談会」の議事内容を官邸のホームページで漸次読んでいくにつれ、深刻な危惧の念を抱くに至りました。
というのは、たしかに「懇談会」では、表面上は新施設は靖国神社に代わる施設ではないことが強調されていますが、そこに現われた意見には戦歿者遺族の感情を無視し、靖国神社の存在意義を形骸化するものが少なくないからです。もしこのまま「懇談会」の審議が進められるならば、最終的には、遺族をはじめとする多くの国民が「戦歿者追悼の中心的施設」と考えている靖国神社の根底を揺るがす施設との懸念を抱かざるを得ません。
時あたかも同じような憂いをいだく人たちが集まってその趣旨の集会が開催されることを知り、他用のために出席できないことを残念に思いつつも、メッセージを託した次第です。
ご盛会を祝し、実りある大会であることを祈ります。」(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」より)

〇橋本龍太郎氏(元首相)
「『きょうからここが国立慰霊碑だ』といわれても、私には「そこにお参りに行く」という言葉は出てこない」(平成14年7月31日、日本遺族会・全国戦没者遺族代表者会議)

〇平沢勝栄氏(自民党・衆議院議員)
「靖国神社の代替施設は、英霊を冒涜しご遺族の気持ちを無視するものであります。これは国会議員として絶対に許すわけにはいかないし、阻止の為に闘わなければならない。この靖国神社で国家の独立を取り戻すことが出来るかどうかが問われているのです。」(平成14年8月15日、「第16回戦没者追悼中央国民集会」より)

〇瓦力氏(自民党、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」会長)
「(懇談会の議論を)静かに見守りたいが、遺族の心情は靖国への思いが深いことを承知している。そういう気持ちを大切にしなければいけない」(平成14年8月15日、靖国神社にて)

〇藤井孝男氏(遺家族議員協議会副会長・自民党衆議院議員)
問:福田官房長官の私的懇談会で、靖国神社に代わる親追悼施設の建設が昨年から検討されています。が、仮に代替施設が建設されたところで、果たして何の意味があるのでしょうか。
「明治以来、靖国神社は国のために亡くなられた方を追悼する中心的施設として存在しています。先の大戦に限らず戊辰戦争以後の戦没者の御霊が祀られており、毎年600万人もの方々が参拝しています。その存在を無視して作る代替施設に意味があるとは思えません。仮に、代替施設建設によって中国や韓国等の近隣諸国とのわだかまりが解消されるとしても、内政の問題を外圧によって左右することは、国のために亡くなられた英霊の遺家族の方々に新たなわだかまりを生むことになります。そのような施設建設には賛成できません。」
問:施設建設を巡る議論自体が不毛なのでは。
「追悼のための中心的存在である靖国神社が存在しているにもかかわらず、政治的な思惑でそれに代わる施設の建設を議論することは非常に残念です。外国の要請で代替施設を建設すること自体がおかしいですし、国民にとって中心的存在ではない施設に海外からの要人を案内するというのも、逆に国際儀礼上、失礼になると考えます。また、小泉総理の靖国神社参拝のあり方を考えるために始まったはずの議論が、代替施設の是非に変わってしまったことは問題のすり替えだと思います。」(『週刊新潮』11月28日号より)
〇安倍晋三氏(内閣官房副長官、自民党衆議院議員)
「将来、国家施設を造れば靖国でなくてもいいかもしれない。しかし過去からつながってきているもの、死者との契約というべきものがある。その人たちを靖国にお祀りする、自分は靖国に祀られるという約束があったわけです。その遺志をいまの都合で切り捨ててしまっていいのだろうか。事実、毎年600万人の方々が靖国神社訪れている。その重みというのがあります。
もちろん、今後も国として長い歴史が続いていきますから、そのなかで靖国については当然、議論の変化はあると思います。しかし、なぜご遺族が家にお墓があるのに靖国へ行くのかといえば、施設が立派だということではなくて、そこに行くと、もしかしたら息子に、あるいはご主人に、お父さんに会えるのではないか、同時にその息子、主人、あるいは父親は国のために戦って死んだという、その栄誉を与えられているということによって癒される、それを確認することだろうと思うんです。」(『Voice』12月号、p45)

〇古賀誠氏(日本遺族会会長・自民党前幹事長、衆議院議員)
「多年途絶えておりました総理の靖國神社の参拝が昨年八月十三日、そして今年は春季例大祭の四月に、総理には二年連続して靖國神社にお参りをいただきました。遺族の私どもは心から喜び、そして感謝しております。
父は私が二歳の時にフィリピンのレイテ島で戦死致しました。私が国政に参画させていただいてちょうど十年目に、初めて母が国会を見学に来てくれました。その時、「東京で一番どこに行きたいか」と尋ねると、母は「靖國神社に参れば、それで満足だ」と、そう言って靖國神社に行きました。母のあの時の嬉しそうな顔は、今でも忘れることができません。このように遺族の我々にとって靖國神社は、正に追悼の中心的な施設であり、我々の失ってはならない精神的、中核的な施設であります。
平和と追悼の新しい施設の中でこの靖國神社が形骸化されるということであれば、私は断じてこのことを許す訳にはいかないと思っております。」(平成14年11月18日、日本会議五周年大会)

〇麻生太郎氏(自民党政調会長、衆議院議員)
「祀られた後に場所を変えるのは通用する話ではない。(中国や韓国など)外国に言われたからといって新しい施設を作るというのは全然理解できない」(平成14年11月18日夕)

〇堀内光雄氏(自民党総務会長、衆議院議員)
「靖国神社は靖国神社だ。なぜ今、新施設を何のために造るのか。特に造る必要はないと思う」(平成14年11月19日、自民党総務会後の記者会見)

〇山中貞則氏(自民党衆議院議員、元通産相)
「他国から言われてつくるというのに、自民党内に賛成者がいるのは残念だ。五役で間違いのないようにしてもらいたい」(平成14年11月19日、自民党総務会)

〇奥野誠亮氏(元法相、自民党衆議院議員)
「内政干渉に屈してできる屈辱的な施設を子孫に残したくない」(平成14年11月19日、自民党総務会)

〇野呂田芳成氏(元農水相、自民党衆議院議員、)
「靖国参拝の是非で片付ける問題ではない」(平成14年11月19日、自民党総務会)

〇野中広務氏(元自民党幹事長、衆議院議員)
「新しいものをつくれば片付く問題ではない。靖国神社を無宗教の靖国廟にするような考え方があっていいのではないか」(平成14年11月19日、自民党総務会)

〇桜井新氏(元環境庁長官、自民党参院議員)
「国民の関心は高く、内閣の処理する問題ではない」(平成14年11月19日、自民党総務会)

●日本遺族会の「要請書」(平成14年11月19日)

久しく中断されていた総理の靖国神社参拝が小泉首相の強い意向で昨年八月に続いて本年四月にも行われ、国のため犠牲となった戦没者に感謝の誠を捧げられたことは、日本遺族会として感謝に耐えません。今後も首相の靖国神社参拝が定着することを、衷心より願っております。
さて、昨年十二月に貴職のもとに設置され、貴殿が座長として務められている「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」において、国立の戦没者追悼施設の新設構想が検討されておりますが、そこに現われた意見は戦没者遺族の感情を無視し、「戦没者追悼の中心施設」と考えている靖国神社の存在意義を形骸化するものであります。
もしこのまま、「懇談会」が建設の答申を出すならば、靖国神社の根源に係わり、また、わが国の存立の根幹を揺るがす重大な事態をもたらすこととなります。
このため、本会は去る七月三十一日、全国戦没者遺族代表者会議を開催し、「新設構想を断固阻止すること」を決議いたしました。
また、国家は国のために散華された方々を靖国神社に手厚く祀り、末永く慰霊の誠を捧げることを戦没者ならびに国民に固く約束しております。
よって、本会は、この「国立戦没者追悼施設新設構想」を断じて容認することは出来ません。ここにその撤回を要請いたします。
平成十四年十一月十九日
財団法人日本遺族会 会長 古賀  誠
内閣官房長官 福田 康夫 殿


■有識者の声(日付順)

●兄たちはなぜ粗末にされなければならないのか
〇船村徹氏((社)日本作曲家協会会長)
船村氏は冒頭「今日は、心は遺族の一人としてこの会に参りました」と述べ「たいへん好きだった兄は、昭和十九年にミンダナオ島の沖にたくさんの部下と共に沈み、二十三歳で生涯の幕を閉じました。市ヶ谷の前を通る度に、俺の兄貴は何でこんなに粗末にされなければならないのかと、たいへん悔しい思いをしてきた」と語った。また「生前の兄の日記を見ると、一日に多い時は二度も三度も靖国神社に通っており」さらに、「一杯呑むと『桐の小箱に錦着て、帰るところは九段坂』と口癖のように唱えていた」ことを語り、「毎年二月十六日に靖国神社に参り、供養させて戴いているが、その度につくづく情けなくなってくる」と遺族としての率直な心情を挨拶とされた。(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」より)

●日本の病の治療薬
〇渡部昇一氏(上智大学名誉教授)
渡部氏は、三井甲之氏の和歌「ますらをのかなしきいのちつみかさねつみかさねまもる大和島根を」を朗唱し、これが靖国神社に対して当たり前に抱いていた気持ちであったと語った。「占領期は、靖国神社を取り壊してドックレース場にする案もあったが、上智大学の教授のビッテル神父がマッカーサーに取り止めるよう申し入れた」ことを紹介し、「国のために命を捧げた方を祀り、敬意を表することは宗派に関係はない。そのことを戦前から日本にいたビッテル神父は知っていたのであり、戦後、多くの人の気持ちであった」と述べた。また「靖国神社の問題が出る度にだんだんグロテスクになっている。私的参
拝と言ったり、隣国のために首相が参拝を取りやめ、最近ではその代わりのものを造ると言い、更には靖国神社を訴える団体まで出てきた。これを皮膚病に例えるならば、梅毒のようなもので一見、皮膚病が治ったように見えても、次出るときには更にグロテスクになり、最後には脳がやられてしまう。どうも日本を侵している梅毒のようなものがあり、それは靖国神社問題に典型的に吹き出ている。それは日本が東京裁判によって戦犯国として烙印を押されたことにある」と指摘。「東京裁判は、裁判の冒頭に清瀬弁護人が国際法に基づく裁判なのか、アメリカの法律に基づく裁判なのか問うたが、ウェッブ裁判長は返答できなかったように、根拠はマッカーサー司令部の決めた東京裁判規則のようなもので行われた。それ以外の根拠はない。しかもマッカーサーは一九五一年の五月三日にアメリカの上院の軍事外交委員会で、『この前の戦争を日本が行ったのは自衛の為であった』と演説をした。それが日本には伝わっていない。ですから私はNHKで『その時マッカーサーは、こう語った』と放送すれば、日本人は一時間で変わる。これが治療薬である」と靖国問題についての根本解決策を提言した。(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」より)

●靖国神社は日本の揺るぎない伝統・文化
〇山本卓眞氏(富士通㈱名誉会長)
山本氏は「首相の靖国神社参拝を支持し、定着を強く望む」「昨年の毎日新聞のアンケートで九〇%の国民が首相の靖国参拝に賛成したように国民は圧倒的に支持している」また戦没者は「『自分が戦死した後は、父上母上、靖国神社で待っております』『兄はいつでも靖国神社でお前たちの奮闘状況を見ているぞ』との言葉を残し、遺族は毎年各地から靖国に集い参拝している。靖国神社百三十年の歴史を考えても揺るぎない日本の伝統・文化であり、代替施設など誠に軽々しくもっての外」と追悼施設への反対を強く訴えた。(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」より)

●「武の精神」と慰霊の心
〇小林よしのり氏(漫画家)
「そもそも国の為に亡くなった方々が祀られている靖国神社を、中国や韓国の圧力があるからといって、あたりさわりない別の施設を造ろうと発想すること自体が、主権を侵害されているんです。靖国神社参拝の問題も、教科書問題も外国ががたがた言うのは主権侵害のはずです。わしはそれにずっと怒ってきました。
…彼ら(兵隊たち)が命を捨てた、屍の上で我々がいま安穏と平和な営みを築き上げていることに、一抹の良心の疼きとか申し訳ないという気持ちが、当然湧いてこなければ人間としてちょっとおかしすぎるんじゃないか。それを中国、アジアが文句を言うから、なるべく宗教色のない透明な慰霊施設を作ろうと発想すること自体、いったいどういう人間性をしているのか本当に危ぶむ所があります。…靖国神社の英霊は我々を見ているわけで、日本人が自信を取り戻し、威信と品位を世界に示すための鍵になるのはやはり靖国神社の御霊である。そこにどのように気持ちを傾けるようにするのか。全ての鍵がそこに隠されているのです。」(平成14年6月11日「国立追悼施設に反対する国民集会」より)

〇櫻井よしこ氏(ジャーナリスト)
「日本人は古来、太陽が昇れば太陽のなかに神を、月が昇れば月のなかに神を見いだすというように、森羅万象に多くの神々を見てきた民族である。その日本人が、いま宗教色のない慰霊施設をつくるべきだというのはほんとうにおかしなことだ。…
そもそも、宗教心なしに死者を祀ることが可能なのか。祀る行為が宗教と絡み合うのは当然であり、自然に頭を垂れる行為自体が、色濃く宗教である。現世を生きる人間が思わず死者に跪き、頭を垂れる。それは人間という卑小な存在を超えた偉大な存在に対する畏敬の念の表現である。私たちの祀りはキリスト教の教義とは一致しないし、仏教のかたちとも異なっているかもしれない。しかし、人智を超えた存在に対する畏敬の念は、宗教の原点だと思う。
神道の本義の一つは、祖先崇拝である。直接の祖先を含め、日本のこの地に住むあらゆる命に対する崇敬の気持ちをもつことを、誰が妨げられるだろうか。」(Voice9月号p100より)

〇中西輝政氏(京都大学教授)
「そもそも国のために亡くなった人をどのように慰霊するかというとき、それは、その国の主要な文化と宗教的伝統に則って行われるのが人間文明の当然の選別であろう。なぜなら慰霊とは、そもそも宗教的行為なのだから。そこを無視し「福田懇談会」のようにまったく無宗教のコンクリートの記念碑を建てるというのであれば、たしかに韓国や中国の指導者だけは『わだかまりなく』参拝できるかもしれない。しかし、われわれ多くの日本人の心はどうなるのか。どうしてもこの二国の人々への、いわゆる『外国への配慮』を優先するというのなら、いっそ成田空港の待合室にでもつくればいい。だがそれを参拝というだろうか。その国のために命を捧げた人びとへの慰霊というのは、やはりその国の文化と伝統に基づいたやり方で行われるべきなのである。」(Voice9月号p55より)

〇瀬島龍三氏(NTT顧問・亜細亜大学理事長)
「私は懇談会をつくること自体はけっこうなことだと思っています。いま八月十五日に閣僚が靖国参拝をするたびに、『公式ですか、私的ですか』と聞かれ、新聞に取り上げられますが、こんな情けない話はありません。だから小泉首相も、国家に殉じた人々を国を挙げて追悼供養するにはどうすべきかという、きわめて善意からあの懇談会をつくったのだと思うのです。この点には賛成します。
ただし、この懇談会の議論のなかで一部の方がおっしゃっている、『別の国立墓地をつくる』という意見には強く反対したい。私自身もそうですし、旧軍の関係者、あるいはご遺族の方たちも同じ気持ちです。」
(Voice9月号p61より)

「総特集 靖國神社 十問十答36人アンケート」
(諸君!9月号p126~より)

●靖国神社以外の慰霊施設を作ることについて
どうお考えでしょうか。

〇ビル・トッテン氏(アシスト代表取締役)
「なぜ靖国ではいけないのか、その理由が分からない」

〇石井公一郎氏(ブリヂストンサイクル元社長)
「もってのほかの話だから多数の同意は得られないだろう。議員は選挙公約のなかで、その賛否について自己を明らかにすべきだろう。」

〇富岡幸一郎氏(文藝評論家)
「税金のムダ」

〇小林道憲氏(福井大学教授)
「第二次世界大戦の戦没者に限っても、皆、魂は靖国神社に帰ると信じて散華していったのだから、靖国神社以外の慰霊施設を作っても、英霊の魂はまったくこもらないことになる。したがって、新しい慰霊施設を作っても無意味である。」

〇井尻千男氏(拓殖大学日本文化研究所所長)
「反対です。無意味です。世界の笑いものになります。」

〇勝田吉太郎氏(京都大学名誉教授)
「無益なこと。官僚的発想によって”宗教的色彩と性格”を抹消するような施設を作っても”慰霊”にはならぬ。諸外国はそういう”非宗教的慰霊施設”(明らかに形容矛盾であろう)を内心、セセラ笑うのでないか。」

〇石井英夫氏(産経新聞論説委員)
「公共事情の見直しなどという主張をする論者に限って、屋上屋を架する新しい施設の建立を主張する。ばかばかしいの一語。」

〇岡崎久彦氏(岡崎研究所所長)
「諸事ムダは省くべし。」

〇櫻田淳氏(評論家)
「現在、政府内で議論されている「慰霊施設」の件は、議論の方向性が煮詰まっていないようなので、軽々な論評は避けることにする。ただし、どのような施設をつくろうとも、それが靖国神社に代替しないのは、確かなことである。」
〇村上兵衛氏(評論家)
「今さらナンセンス。歴史を百年以上さかのぼって、新しい方法を―などと考えても無意味です。」

〇西修氏(駒澤大学教授)
「靖国神社は、「長きにわたって多くの国民の間で中心的な施設となっている」というのが多くの国民の感情と思われるから、新施設を作る必要性を感じられない。」

〇クライン孝子氏(ノンフィクション作家)
「絶対反対。ドイツ人のように伝統と歴史を重んじる国では、靖国神社をないがしろにして安っぽい慰霊施設を作ってお参りするなど、恐らく誰も考えまい。何しろ敗戦当初、マッカーサー元帥があわや靖国神社を葬ろうとした際、ドイツの神父がその暴挙を諌めたというエピソードが残っているくらいだから。」

〇西尾幹二氏(電気通信大学名誉教授)
「あり得べからざることと考えます。慰霊施設をつくって何を祀るのでしょうか。遺骨を全国から集めてもってくるのでしょうか。それとも靖国から御魂だけ移送するのですか。そんなご都合主義的なことができますか。いったい誰がお参りにくるのですか。遺族や戦友がくるでしょうか。中国や韓国の来賓用の施設にすればよいのですか。神々に対する冒涜だと思いませんか。」

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