天皇陛下ご会見の政治利用を糾弾する緊急国民集会

天皇陛下ご会見の政治利用を糾弾する緊急国民集会

天皇陛下ご会見の政治利用を糾弾する緊急国民集会

皇室

天皇陛下のご健康のため、外国要人が天皇陛下との会見を望む場合には、一ヵ月前までに文書で正式に申し込むという「一ヵ月ルール」は平成七年に定め られ、以降歴代内閣で守られてきた。ところが、鳩山民主党政権は、中国共産党政府の強い要請を受けて、この慣例を破り、天皇陛下と習近平・中国国家副主席 の会見を特例として認め、十二月十五日、会見が行われた。

この異例の経緯を巡って、世論が沸騰。小沢一郎民主党幹事長は、十二月十四日の 記者会見で、「三十日ルールって誰が作ったのか」「国事行為は内閣の助言と承認で行われる」と開き直り、あまつさえ、「陛下は会いましょうと必ずおっしゃ る」と言い放ち、抵抗した宮内庁長官に対して「辞表を提出した後に言うべきだ」とまでまくしたてた。

この異常な政治行動に対し、日本会議、日本会議国会議員懇談会は、十二月十四日、記者会見を開き、政府の天皇陛下の政治利用に断固抗議する声明を発表した。

さ らに、平成二十一年十二月二十一日、東京・憲政記念館で、「天皇陛下ご会見の政治利用を糾弾する緊急国民集会」を開催し、立錐の余地無く集った一千名の参 加者と共に、小沢幹事長らが示した憲法観の誤りを追及し、「政治利用」を糾弾した。(主催=日本会議・日本会議国会議員懇談会)

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集会の冒頭、日本会議の三好達会長が挨拶。《「糾弾」という最大級に厳しい言葉を用いましたが、それくらい今回の経緯は目に余るものがあった》と述べ、《「日中関係は政治的に極めて重要である」として強引に会見を要求し実現してしまった。これが陛下の政治利用でなくて何でありましょうか》と政府を激しく非難した。続いて挨拶に立った日本会議国会議員懇談会の平沼赳夫会長は、《中国のナンバー6に過ぎない習近平副主席の要求を満たすために、即ち政治目的そのもののために》行われたことを憤り、皇位を窺った弓削道鏡の事例を引いて、《天皇さまを利用するなど断じて許してなりません》と批判。

この後、各界からの提言が行われたが、改革クラブの大江康弘国会対策委員長は、《民主党政権を人間にたとえたらどんな罪か。選挙では「子供手当て」で選挙民を「買収」し、選挙後は、所得制限などを言い出す「詐欺」を行ない、参議院選挙で協力しないと予算をつけてやらないと「恐喝」している。これらにもまして重い罪が、今回の天皇さまに対する政治利用であって、本来なら「不敬罪」だ》と述べた。最後に、日本会議東京都議会議員懇談会の小礒明会長が決議文を読み上げ集会は終了した。

以下、安倍晋三元総理、石破茂自民党政調会長、初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏、評論家の石平氏、百地章日本大学教授の提言の要旨と決議文を掲載する。

天皇陛下ご会見の「政治利用」を糾弾する緊急国民集会決議

天皇陛下には、さる十二月十五日、中国の習近平国家副主席とご会見になった。陛下のご高齢とご多忙などを配慮して守られてきた「一ヵ月ルール」を政府・民主党が蹂躙して実現した異例の会見である。
今回の会見について政府は「一ヵ月ルール」を理由に一度、正式に断っている。ところが中国側は「ルール違反」を認めながらもこれに納得せず、「会見が実現するかどうかの一点に習副主席訪日の成否はかかっている」として、あからさまにルールを無視する理不尽な要求を繰り返した。政府はこれに屈し、「日中関係は政治的に重要である」とする、まさしく政治的な理由から特例を認めてしまったのである。
いうまでもなく、政府は、こうした他国による「政治利用」から天皇陛下をお守りしなければならない立場にある。にもかかわらず、中国側の意に副って再三にわたり宮内庁に対して圧力をかけた政府の行動は、国であれ人であれ、公平無私、常に分け隔てなく接してこられた天皇陛下の国際親善の原則を根底から損うものであり、国民世論の反発を招くのも当然だと言わねばならない。
ところが、日ごとに高まる批判に対して鳩山首相は「国民挙げて、将来のリーダーになれる可能性の高い方を、もっと喜びの中でお迎えすべきだ」とうそぶいた。驚くべきことに、他国による陛下の「政治利用」を政治的な理由から承認してしまった政府も、また、陛下を「政治利用」したことにほかならないことへの責任と反省は、全く見られないのである。
民主党の小沢幹事長にいたっては、「天皇陛下の(国事)行為は、国民が選んだ内閣の助言と承認で行われるんだ」と揚言した。しかし、このような憲法解釈は全くの誤りだというほかない。外国要人とのご会見は国事行為ではなく、象徴としての公的行為である。そして、陛下の公的行為は、内閣の「助言と承認」によってなされるものではない。あたかも内閣が陛下に命令することができるかのごとき不遜きわまる小沢発言を断じて容認することはできない。
さらに、小沢幹事長は十二月十一日、外遊先の韓国においても「ご訪韓は時期尚早」という宮内庁の意向を無視して、「韓国の皆さんが受け入れ、歓迎してくださるなら結構なことだ」と、ご訪韓を快諾するかのような発言を行った。一介の政党幹事長に天皇陛下の外国ご訪問を云々する権限などあるはずもなく、甚だしい越権行為である。
ここに、政府・民主党による陛下の「政治利用」を断乎糾弾し、その責任を厳しく追及するとともに、近い将来その計画が具体化される危険のある天皇陛下のご訪韓計画に強く反対するものである。

右、決議する。
平成二十一年十二月二十一日
日本会議・日本会議国会議員懇談会

■プログラム
・主催者挨拶
三好達(日本会議会長)
平沼赳夫(議員懇会長)
・各党からの提言
安倍晋三(元総理)
石破茂(自民党政調会長)
大江康弘(改革クラブ国対委員長)
・各界からの提言
佐々淳行(初代内閣安全保障室長)
石平(評論家)
百地章(日本大学教授)
・決議文朗読小磯明(東京都議)


「社会主義政権」が売り渡した皇室の権威
安倍晋三
元内閣総理大臣
衆議院議員

多くの外国の要人の方が陛下への謁見を希望されます。その際、歴代内閣はこの一ヶ月ルールをご説明して全てお断りしてきたわけです。今回も、鳩山内閣は習近平副主席に対して、「どうしても陛下への謁見をお望みであれば、時期を来年にずらして改めて一ヶ月前にお申し込みください」と言えば済む話なのです。なのになぜこんなに無理をしたのか。

それは十二月十日のあの「小沢一郎御一行様」の訪中です。国会議員百四十三名を含む六百人以上の訪中団が、胡錦濤主席の前にずらっと握手の列を作った。その破格の扱いを受けた同じ日に官房長官は宮内庁長官にねじ込んで決定を覆した。これはあの「写真撮影大会」をやってもらうための取引だったと断言してもいいでしょう。皇室と日本の権威を売り渡したのです。

中国は再三再四要求をしてきたようですが、それでもこの一ヶ月ルールを守って要求を退けていれば、「やはり天皇陛下に関わることについては日本という国は微動だにしないんだな、皇室の権威というものはそれほど高いものなんだ」と理解することでしょう。皇室の権威とは日本の権威なのです。私が恐れているのは、もしかしたら中国側はこの皇室の権威ですら、自分たちが強く押せば、ルールを破ることもできるのだと理解したかもしれないということです。

鳩山政権の性格が明らかになりました。社会主義政権と言ってもいい。まず政策が社会主義的です。はじめに給付ありきの政策。そして外国人参政権を始め、日本の国柄、伝統的な国家のあり方を易々と踏み越えてしまう。統治の仕方もそうです。党が議会より上にあって、さらに行政府よりも上にある。陳情したいのであれば、各首長は民主党の県連に申し込みなさいなどという。大体、社会主義国はそうですね。一番偉いのは党の第一書記。何でもできるというこの傲慢な政権を打倒するために全力を尽くしたいと思います。


あなたこそ憲法を読んでいるのか!?
石破茂
自由民主党政調会長
衆議院議員

私は、一人の日本人として一人の人間として天皇陛下ほど心から尊敬申し上げている方はございません。国民等しくその思いを持っていると私は信じています。

農林水産大臣など何回か大臣を務めさせて頂き、植樹祭などで陛下のお側にお仕えすることがありました。大人であれ子供であれ、立場のある人であれ一般の人であれ、どんな人に対しても全く同じように、お声をかけられ、話をお聞きになる。その御姿に心から感銘いたしました。すべての国民にすべての世界の国の人たちに同じように接せられる。そこに軽重の差などないのです。それが陛下の御姿だと堅く信じております。

それを蹂躙するようなことはいかなる立場の者であっても決して許されることではありません。

陛下は憲法第一条にある通り国の象徴であらせられ、日本国民統合の象徴であらせられます。そうであるがゆえにすべての人にすべての国に尊い御心をもって平等に接してこられました。小沢幹事長が「君は憲法を読んでいるのかね」と言ったそうです。「あなたこそ読んでいるのか」と私は問いたい。陛下が外国要人を御引見遊ばすのは国事行為ではありません。国事行為は憲法七条に限定列挙してある限りです。そのほかのご活動はまさしく憲法一条の陛下のお立場に基づくものであります。

私共が内閣を担わせて頂いていたときは、陛下の象徴としてのお立場に細心の注意を払って参りました。「お言葉はもっとお気持ちが入るべきではないか」と岡田外相が言うようなことは、思い上がりも甚だしいものです。総理大臣も外務大臣も与党の幹事長も憲法の読み方を読み誤っている。

自民党が行き届かずに国民の支持を頂けなかったからこんな不遜な内閣が生まれた。己を捨てて努力していかなければなりません。


日清戦争以前に歴史を戻すのか!?
佐々淳行
元内閣調査室初代室長

司馬遼太郎の『坂の上の雲』が改めて話題になりましたが、中華覇権主義を跳ね除けて日本の国際的地位の基礎を築いたのが日清戦争でした。朝貢外交を展開する鳩山政権は、日清戦争以前に歴史を戻す気か、と言いたい。産経新聞に出た朝貢外交の写真(二一・一二・一七付)。あれは国賊です。ああいうことは二度とあってはなりません。
私は、警備当局の責任者として皇太子時代の両陛下にお仕えしましたが、両陛下がいかに弱い立場の人に対して御心を砕いておられるか。
それなのに、鳩山首相は、「大の重要なのをやって小はお休みになればいい」などと言うとは何事ですか。
大小というけれども、それでは小とは何か。両陛下が児童福祉施設や老人ホーム、あるいは被災地にお出でになり、慈愛溢れるご行為をなさっておられるのは、小なんですか、冗談じゃない。あれこそ両陛下の一視同仁の御姿なのです。
政治資金規制法違反であれほど世間を騒がせておいて、秘書に全部背負わせて道義的責任も感じない人にことの大小など判断できるのか。この点は小沢さんも鳩山さんも同罪だ。
日本における天皇とは何か。これを改めて思い起こすことが必要です。昭和一桁世代の私は、昭和天皇の終戦の御聖断がなければ、武器を取って最後まで戦い続け、そして戦死していたと思います。陛下のお蔭でこうして生かされたという感謝の気持ちを忘れません。歴史を振り返ると、一世紀、あるいは三世紀に一度日本民族存亡のときに、それまでは権威として文化の象徴としてあられる天皇陛下に重大な決断をしていただき、国の方針をお決め頂く。日本においては天皇以外にそのお役割を果たせる方はいないのです。
その権威をお守りすることこそ、政治家のみならず国民の責務であって、一内閣の政治的利用、ましてや一衆議院議員にすぎない党の幹事長に、それを犯す権限は毛頭ないのです。


「小沢解放軍」との戦い
石平
評論家

私は今、日本国家は存亡の危機にあると認識しています。この二ヶ月の間、日本国家の存立の基盤と日本の国家の尊厳は粉々に打ち砕かれました。このままでは中国共産党政権に呑み込まれていく、そういう深刻な危機ではないかと思います。

この二ヶ月間に民主党政権は何をやったか。まず日米同盟を破壊しました。もちろん対米自立は大事です。その自立のためには日本は憲法を改正し、国防体制を強化しなければならない。その上での対米自立ならば話は分かる。しかし、民主党政権はその自立の前提をやるつもりは毛頭ありません。それをやらずして日米同盟を一方的に壊していくことは政策の過ちというよりも日本国家に対する犯罪だと思います。

戦後の日本国家を支えてきたのが日米同盟だとするなら、日本という国が生まれてから国家の根本を維持してきた機軸、即ち日本民族にとってそれ以上ない宝物であるのが皇室であり天皇陛下であられます。そして今回、民主党政権は一部の政治家のいやらしい目的のために、また世界で最も卑しい政権である中国共産党のやましい目的のために、日本民族の宝物である天皇陛下の権威を利用して汚したのです。これは日本民族に対する大罪です。小沢幹事長は胡錦濤国家主席の前で、「私は人民解放軍の野戦司令官のつもりです」と言いました。胡錦濤は中国の軍事委員会主席、つまり人民解放軍の最高司令官ですから、小沢さん自ら胡錦濤の部下になったということです。

しかも小沢氏は来たる参議院選挙で「野戦司令官として日本を解放する」と言っています。人民解放軍の「解放」とはどういう意味になるか。チベット人、ウイグル人にとって人民解放軍の「解放」とはまさに侵略でした。小沢さんにお聞きしたい。あなたは胡錦濤の手先になってこの日本を「解放」するんですか、と。

我々は民族の存亡を賭け「小沢解放軍」と戦わなければならない。日本国民二年生の私も皆さんと共に戦います。


政治利用による三つの危機
百地章
日本大学教授

重大なことは、この小沢氏と民主党政権による皇室の政治利用が三つの危機をもたらしたことです。第一には中国への隷属化の危機。第二が立憲主義と民主主義の危機。そして第三が皇室を国民統合の中心とする我が国柄、つまり国体の危機です。

中国による皇室の政治利用はいまに始まったことではありません。平成四年、中国政府が天安門事件で国際的制裁を受け孤立を深めるなかで、その突破口を切り開くべく両陛下のご訪中を画策し、我が国政府がそれに利用されたことは今日広く知られたことです。にもかかわらず、今回、小沢氏と鳩山首相は中国の策謀に乗せられ、中国国内の権力闘争に利用されてしまった。しかもそれが、大訪中団による朝貢外交への見返りであったとすれば、これこそ皇室の政治利用であり、中国への隷属化以外の何物でもありません。第二は立憲主義と民主主義の危機です。我が国は立憲君主国であり、天皇の国事行為や公的行為は内閣や宮内庁の助言、補佐によって行われます。天皇には拒否権が認められておりません。それゆえ、助言に際して内閣や宮内庁は、日本国及び日本国民統合の象徴であられる天皇のお立場を正しく認識したうえで補佐すべきであり、天皇の政治的中立性、公平性の原則に鑑み、それらの行為が国政に影響を及ぼしたり、逆に陛下を党派政治のなかに巻き込んだりすることのないよう細心の注意を払わなければなりません。

このうち国事行為は内閣の助言と承認によって行われますが、国会開会式におけるお言葉等の公的行為については、陛下をお守りする立場にある宮内庁が責任をもって対処し最終的に内閣が責任を負うというのが憲法の立場です。今回のような外国からの賓客のご引見は憲法第七条九項にいう国事行為としての「大使及び公使の接受」ではなく、公的行為ですから直接お世話をするのは内閣ではなく宮内庁です。宮内庁では、陛下がご多忙であられることやご健康上の理由、さらに国際親善のため御心を配られ、ご引見に先立って入念にご準備される陛下のお気持ちを忖度して「三十日ルール」が作られました。それは、自社さ政権時代の平成七年、鳩山氏が新党さきがけの代表幹事を務めていたときでした。このルールによって、相手国の大小や政治的重要性の有無といった政治的理由とは関係なく、公平なご引見が可能となるわけで、これこそ陛下のお気持ちにかなったものです。

にもかかわらずこの大切なルールを憲法上何の権限もなく、したがって何の責任も負わされない一与党の幹事長が踏みにじり、露骨な政治利用を行ったわけです。それに異議申し立てをした宮内庁長官に対して、小沢氏は「反対なら辞表を提出した後に言うべきだ」と辞職を迫りました。このような憲法外の、いわば闇の権力によって露骨な強権政治が行われることは、まさに立憲主義の危機であり、民主主義の危機にほかなりません。
第三は天皇を国民統合の象徴として戴く我が国固有の国柄、つまり国体の危機です。小沢幹事長は不遜にも「天皇陛下ご自身に聞いてみたら、手違いで遅れたかもしれないけれども、会いましょうと必ずそうおっしゃると思う」と述べ、あたかも陛下まで自分の意のままになるかのような発言をしています。また「天皇陛下のご体調がすぐれないというなら、優位性の低い行事はお休みになればいい」とまで発言しています。皇室に対する尊崇の念を欠き、これほど不遜な言を吐いた政権与党の権力者がこれまでいたでありましょうか。

我が国において最も神聖であり党派政治の圏外にあって静謐さを保たれていなければならない皇室。その皇室を内外の野望渦巻く政治の中に引きずりこもうとした危険極まりない民主党政権の一刻も早い退陣を切望します。

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