【教科書】検定基準の改正について、国民からの意見公募が開始されました(~1月14日まで)
文部科学省は、12月25日、「教科書検定基準の見直しについて」、国民からの意見公募(パブリックコメント)を開始しました。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000672&Mode=0
下村文部科学大臣が「教科書改革実行プラン」を公表後、教科書検定について12月20日、教科用図書検定調査審議会(検定審)が答申しました。
追加訂正される検定基準は、小・中学校の社会科、高等学校の地理歴史科・公民科に属する事項。
領土問題や自衛隊に対する我が国政府の立場や、いわゆる「南京虐殺」や「従軍慰安婦」などについて、特定の事柄を強調したり、犠牲者数の表記について検定意見を付けやすくする内容となっています。
その一方、例えば執筆者側が、「閣議決定により示された政府の統一的見解」に基づいて、「村山談話」に関して教科書に掲載してきた場合、それには検定意見を付けることができません。
文部科学省としては、これまで「村山談話」について記載した申請図書には、検定意見を付けてきていないことから、新たな基準を領土問題などに強く作用させたい考えです。
なお、教科書の共同採択のルールの明確化など法改正を伴う事柄については、中央教育審議会の教育制度分科会にて検討中であり、近日中に方針が明らかとなります。
11月15日に文科省が「改革プラン」を発表して以降、文科省の教科書課には「国定化」「教科書統制」「戦争の美化」といった抗議の電話が殺到していると言われています。
日本に誇りを持てる教科書や、偏向教科書の是正を求める国民の声を政府に届け、教科書検定をしっかりとしたものにしていく必要があります。国民の良識の声を文部科学省に届けましょう。
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◆追加訂正される検定基準の内容は以下の通り
(1)未確定な時事的事象について記述する場合に、特定の事柄を強調し過ぎていたりするところはないことを明確化する。
(2)近現代の歴史的事象のうち、通説的な見解がない数字などの事項について記述する場合には、通説的な見解がないことが明示され、児童生徒が誤解しないようにすることを定める。
(3)閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解や最高裁判所の判例がある場合には、それらに基づいた記述がされていることを定める。
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■意見の提出方法
(1)提出手段 郵送・FAX・電子メール(電話は不可)
※HPからも提出可
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000672&Mode=0
(2)提出期間 平成25年12月25日~平成26年1月14日必着
(3)宛先 住所:〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
文部科学省初等中等教育局教科書課宛
FAX番号:03-6734-3739
電子メールアドレス:pckentei@mext.go.jp
※件名に【検定基準改正案への意見】と必ず記入してください。ウィルス対策のため、添付ファイルでの提出は受け付けていません。メール本文に意見を御記入下さい
■意見提出様式
「検定基準改正案への意見」
・氏名 ・性別、年齢
・職業(在学中の場合は「高校生」「大学生」など在学する学校段階を表記。)
・住所 ・電話番号 ・意見
※複数の論点について御意見をお寄せいただく場合には、とりまとめの都合上、論点毎に別様としてください。(1枚1意見、1メール1意見としてください。)
[教科書]教科書検定、追加基準を「検定審議会」が了承。近々、意見募集も
12月20日、文部科学省の「教科用図書検定調査審議会」は、「教科書改革実行プラン」(11月15日、下村文科大臣発表)のうち、教科書の「編集」「検定」に係る部分について、検定基準の改正案を了承しました。
(※ご参考 「教科書改革実行プラン」に関して http://www.nipponkaigi.org/opinion/archives/5954)
小・中学校の社会科と、高校の地理・歴史・公民に関する基準について
(1)未確定な事柄を断定的に記述したり、特定の事柄を強調しすぎて取り上げたりしない
(2)近現代史のうち通説的な見解がない事柄について記述する際、誤解するおそれのある表現を使わない
(3)政府の統一的な見解や最高裁の判例がある場合は、それに基づいた記述をする、
の3点を追加しました。
「採択」分野に係る共同採択のあり方や、「義務教育教科書無償措置法」改正に係る事項については、現在、中教審の教育制度分科会で検討が重ねられており、年内にも答申が出される見通しです。
文部科学省は、今週にもパブリックコメント(意見公募)を実施し、来年1月中下旬に検定基準を文科大臣が告示します。
新たな基準は平成26年5月に検定申請を受け付ける、中学校用教科書から対象となります。
[教科書]竹富町問題、沖縄県は国の指示を事実上拒否
八重山教科書採択で竹富町に対して是正要求を行うよう国からの指示を受けた沖縄県教育委員会は、11月20日対応を協議しました。
一部報道では、地方自治法に基づき、国地方係争処理委員会に対して国に対する不服申し立てを行うとされていましたが、係争処理委員会への申し立て期限の20日、「国と争うのは良くない」と考えから訴えを起こさないことを決めました。
一方、竹富町に対する是正要求に対しては、「安定している教育環境が混乱する」「分権の流れに逆行する」などの意見が相次ぎ、竹富町での教科書給付に対して「大きな問題は生じていない」として、引き続き議論を継続するとしました。
議論を継続するとしましたが、国は地方自治法上もっとも重い措置である「是正要求の指示」を行っており、一月たった今も尚結論を先延ばしすることは、事実上の拒否ともいえます。
地元八重山で教育正常化運動に取り組む鳩間昇さんは、産経新聞の取材に対して「竹富町のルール違反は明らかで、県教委が1カ月以上も国の指示に従わないのは問題だ」とコメントしました。
今回の沖縄県教委の対応は、公教育における国と地方との権限のあり方について一つの問題を投げかけています。
[教育]下村文科大臣が、「教科書改革実行プラン」公表
11月15日、下村博文文科大臣は、「教科書改革実行プラン」を発表しました。
自民党では、6月に「教科書検定のあり方分科会」(萩生田光一座長)が安倍総理に、中間報告を提出。それ以降、文科省内部で当面の教科書制度改革について検討してきました。
当初、官邸の「教育再生実行会議」のテーマとすることも検討されましたが
(1)大臣告示など現在の制度下で改善可能なもの
(2)八重山教科書採択地区問題などから必要とされる制度改革、
等を検討した結果、文科省内で実務的に作業を進めることを優先したといえます。
教科書制度改革は、大きく「編集」「検定」「採択」の行程に分かれます。
今回のプランでは、「編集段階」において、「教育基本法の目標に合致した教科書編集」を教科書会社に促すため、編修趣意書等の提出書類の改善、教科書会社ごとの提出書類をHPで公開することなどを盛り込みました。
これらは「検定規則」に明記されるはずです。
2番目の「検定段階」では、「教科書検定基準」を見直します。
「バランスを欠いた教科書の修正」「手続きの透明性向上」のため、検定基準を見直します。新設条項として「政府の統一的な見解や確定した判例に関する条項」が設けられます。
また、「教育基本法の目標に照らして重大な欠陥がある場合、不合格とする要件について明記する」とあります。
「政府の統一見解」については、いくつか懸念があります。
例えば「河野談話」「村山談話」「菅談話」といった、歴史認識に関するものです。
こうした談話も政府見解であり、これらが大手を振って教科書に掲載される恐れもあります。
日本会議は5月、自民党に対して、
「領土・領海、国旗・国歌、安全保障といった国家の主権に関わる事項については、政府の見解が取り上げられていること」との枠をはめるよう申し入れています。
一方「確定した判例」という点も重要です。外国人参政権に関する最高裁判決の「傍論」はどうなるのでしょうか。
あくまでも「傍論」であると検定しなければなりません。
一方、今年9月の婚外子問題に関する「違憲判決」などが、あたかも我が国の家族法制全体が遅れているものとして利用されることも考えられます。違憲判決が出された事実は尊重しながらも、学習指導要領を逸脱した執筆者の主張が教科書に登場しないよう、今後の検定審査は一層重要となります。
今回のプランでは、「通説的な見解がない場合や、特定の事柄や見解を特別に強調している場合、バランスのとれた記述にする」とあります。これは「南京虐殺」や「慰安婦」を念頭に置いたものと言えるでしょう。
この点で懸念されるのは、多様な学説が強調されるあまり、例えば「神武天皇はいなかった」や「聖徳太子はいなかった」などの学説が、教科書に盛り込まれ、歴史の流れが読み取れなくなる恐れがあります。
以上のような懸念については、検定基準よりも「学習指導要領」や「教科書法(仮称)」での定義づけということになっていくでしょう。
日本会議ではこの点についても、「その時代時代の我が国の立場への理解を育み、当時の人々の心情についても偏りなく取り上げることで、我が国の歴史や先人についての誇りと愛情を育むことを歴史分野の目標として明記すること」と、自民党に申し入れています。
第3段階の「採択」については、八重山地区を念頭に、「地域の実情に沿った採択地区設定」「採択地区内で一本化できない事態の防止」のため、「共同採択の協議ルールの明確化」「採択地区の設定単位を柔軟化」「採択情報の公表促進」となっています。
今後の作業日程としては、検定について今月中に「検定審に審議要請」を行い、来年1月に新しい検定基準を告示し、春の中学校の検定申請に間に合わせる予定です。
採択制度の改善については、「無償措置法」の改正が必要となります。
政府の考えでは、今月中に中教審で審議を始め、来年の通常国会で法改正を実現したいと考えているようです。
日本会議では、これまで教科書行政を統括する「教科書法」の必要性を訴えてきました。
自民党の「教科書検定のあり方部会」の幹部は、今後の道徳の教材を検定教科書としていくこと等を踏まえ、総合的な「教科書法(仮称)」と「学習指導要領」改訂が必要であると述べました。
学習指導要領の改訂作業が始まる平成27年を目途に、「教科書法」については、2段構えで進むものと考えられます。
[教育]沖縄県、国に不服申し立ての動き。国は無償措置法改正へ
教科書制度に関連して、政府は現在、二つの大きな問題を抱えています。
一つは歴史認識に関連する検定基準の近隣諸国条項。
もう一つは、中学校の教科書採択での八重山教科書採択地区問題です。
歴史認識に係る近隣諸国条項自体は、検定実務上、直接の影響を与えることが少なく、むしろ中韓への配慮として基準がもりこまれた側面があります。
「近隣諸国条項」について検討を加えるとなれば、それが現状維持となった場合でも中韓のハレーションが大きくなることが想定されることから、他の検定基準を強化することで検定実務を強化することを検討しているようです。
八重山採択問題については、政府は、沖縄県教委に「是正要求の指示」を出しましたが、県教委は竹富町に依然是正要求を行っておらず、逆に国に対して不服申し立てを行う構えを見せています。
違法状態を解消するためには、異なる自治体が協議して採択する「共同採択」について、「教科書無償措置法」に権限規定等を明確に書き込む必要があります。
下村大臣は、15日の会見で「教科書改革アクションプラン」を公表し、大臣告示として実施できる事柄、法改正を伴う事柄を整理して方向性を示すとみられます。
[時局情報@教科書]文科省、11月中決着を沖縄県教委に示す
①中川文科相、竹富町の自費購入で収拾をはかる
10月26日に開催された衆院文部科学委員会で、中川正春文科大臣は八重山教科書問題の収拾策について答弁しました。
打開策として提示したのは、採択地区の答申通りの採択を行った石垣市と与那国町(育鵬社版の公民教科書の採択)を教科書無償措置の対象とする一方、竹富町(東京書籍版を採択の公民教科書採択)は国の無償措置の対象としないというもので、今後、沖縄県教育委員会の報告を待って、町の予算での自費購入を促すとしています。
文科相答弁が伝えられた竹富町では「義務教育の精神に反する」という意見が出ています。採択地区の答申の有効性を確定させるためにも、竹富町にも育鵬社教科書を配布する措置が必要です。採択地区答申があくまでも唯一の決定であるという事実は残しておかなければなりません。
一方、保守陣営からは、大臣の答弁を受けて、今後同様の自治体が現れた場合に共同採択制度自体が形骸化していく危険性が指摘されています。文科省は、法制局と検討した上で問題ないと判断しているようですが、これまで茨城県の大洗町や岡山県の総社市など自費購入などを検討した自治体が共同採択制度の維持の観点から断念した経緯もあり、例外的措置が常態化しないための制度改革は準備しなければなりません。
今回の決着は、地方教育行政法と地方自治法に文科大臣の権限として付与されている「是正の要求」の地方自治体への発動を、日教組出身者が政府与党の主要ポストを占める現政権(※)が嫌ったための軟着陸ともみえます。
※参考:日教組の政治団体「日本民主教育政治連盟」所属の国会議員6名(以下)が政府・与党や国会の要職に就任している。
横路孝弘(衆議院北海道第1区)…衆議院議長
鉢呂吉雄(衆議院北海道第4区)…経済産業大臣(9/10辞任)
輿石 東(参議院山梨県選挙区)…民主党幹事長
辻 泰弘(参議院兵庫県選挙区)…厚生労働副大臣
水岡俊一(参議院兵庫県選挙区)…内閣総理大臣補佐官
神本美恵子(参議院比例代表) …文部科学大臣政務官
②文科省と沖縄県教委との溝は埋まらず―文科省、「11月中に結論を」
また10月31日、沖縄県教委の大城教育長が文部科学省を訪れ、八重山地区の中学公民教科書問題について、地区内同一教科書を採択できていない状況について報告しました。
文部科学省は、採択地区の規約にもとづく8月23日答申(育鵬社版を採択)が有効であるとの立場を示し、11月中に結論を報告するよう指導しました。一方、大城沖縄県教育長は「採択地区協議会の役割は3市町への答申でしかなく、それが即、結論というのは飛躍だ」と述べ、9月8日の全員協議を協議結果とする姿勢を依然崩していません。
文科省の11月末までに、竹富町が8月23日答申に基づく採択(育鵬社版)を拒んだ場合、竹富町(東京書籍版の採択)が無償措置の対象外となり、自費購入となることを文科省が示したといえます。
[時局情報◎教育]沖縄教科書問題-政府、「無償措置法は地教行法に優先する特別法」であると閣議決定
教科書採択について、八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町の3自治体で組織される沖縄県八重山採択地区協議会)では、育鵬社の公民教科書採択を決定したが、これを不満とする竹富町教委が反対し、沖縄県教委がこれを支持し介入し、いまだに混乱が収束せず、膠着状態が続いている。
この八重山地区の問題について、10月7日、政府は、教科書採択について、「義務教育教科書無償措置法が、地方教育行政法に一部優先する特別法にあたる」とする答弁書を閣議決定しました。答弁書は、社民党の照屋寛徳議員の再質問書に対するもの。
これまで、日本大学の百地章教授や、日本教育再生機構の石井昌浩副理事長らは、「特別法である無償措置法は、一般法である地方教育行政法に優先する」との法解釈から、八重山採択地区協議会の答申に基づく採択が適正に行われるよう、文部科学省が沖縄県教委を指導するよう求めていました。
◎参考→[教科書採択]教科書採択をめぐる誤謬を正すー百地章・日本大学教授
政府の答弁書はいずれ衆議院のホームページでも公開されますが、これを真っ当に読んでいけば、竹富町が答申を無視して異なる教科書を独自に採択した行為は是正されるべき対象となります。
沖縄県教委は、既に、9月8日の教育委員全員協議(※)を有効とする文書を文科省に提出していますが、文部科学省は、法解釈を答弁するだけでなく、行政行為として、沖縄県に是正指導を発動していかなければなりません。
以下の答弁要旨にもありますが、「県教委から事情を聴き、状況の把握に努める」だけでは、収まらない状況に立ち至っています。
(※9月8日沖縄県教委は、八重山教育委員協会臨時総会を強行開催。この会は、採択について法的権限は無いのだが、八重山地区採択協議会の答申を白紙にして、3市町の全教育委員による採決を再実施し、育鵬社を不採択にした。一方、石垣市、与那国町は3市町の合意がないまま採決に至ったと、採決の無効を文科省に具申している。)
■政府答弁書要旨
(1)地方教育行政法と無償措置法の全体が、一般法・特別法の関係にあるとはいえないが、採択地区が2以上の区域をあわせた場合は、無償措置法は、地方教育行政法の採択の権限の行使について、特別の定めをしている。
(2)文部科学省としては、沖縄県教委に対し、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づいて、同一の教科書を採択するよう引き続き指導助言していく。
(3)石垣市教育長・与那国町教育長から提出された文書は、両教育委員会から出された公文書として認められる。他方、竹富町教育委員長から出された文書は公文書として認められるものであったが、添付された石垣市・与那国町・竹富町の教育委員長の連名文書は、公文書として認めることはできない。
(4)文部科学省としては、同協議会の規約に従ってまとめられた結果が無償措置法の協議に当たり、教育委員の全員協議は協議とは認められないと考えている。
(5)必要に応じて県教委から事情を聴き、状況の把握に努めていく。
[教育基本法]小学校教科書はどう変わったか
●[シリーズ]新教育基本法下の教育改革 19
小学校教科書はどう変わったか
今回は、すでに今年から各学校で使われている小学校の教科書の改善点を見ていきます。
村主真人 民間教育臨調研究委員
四月に新学期が始まり、小学校では新しい学習指導要領に基づく教科書が配給された。日本会議は、平成二十年の学習指導要領改訂にあたり、伝統と文化の尊重、愛国心や宗教に関する教養や情操について、国会と文部科学省への要望活動を行ったが、国語での神話や伝記学習、和歌や古典などの伝統的な言語活動の充実、社会科では各々の祝日の意味を教えることや、宗教に関する一般的教養の尊重、音楽で伝統音楽の充実が取り入れられた。
今回小学生に配布された新教科書は、こうした改訂の変化が現れた。
■神社への訪問活動がモデルケースに
教育出版の「小学社会3・4上」では、神奈川県の太尾神社を題材に、地域の中でお祭りがどのように受け継がれてきたのか、祭りを受け継ぐため地域の人たちがどのように取り組んできたのかを学ぶ内容となっている。
こどもたち自らが「神社やおまつりはいつごろからあるのか」「お祭りはなんのために行われているのか」の疑問をまとめ、町内の人からお話を聞く中で「作物のしゅうかくを感しゃするために行われていた」ことに気づかせる内容だ。
また神社に伝わるお囃子「太尾ばやし」の体験学習や、近隣の師岡熊野神社に伝わる年々の収穫を占う「つつがゆ神事」を奉仕する神主さんのお話を聞く内容が盛り込まれている。ほかにも「節分」「七草がゆ」「七夕」「秋祭り」などの年中行事の意味と、そこにこめられた願いを考えさせている。東京書籍の「新しい社会3・4上」では、宮城県仙台市の東照宮周辺を題材に、地域を探検しながら、自分で白地図を作成する中で、目印となる建物などを訪問し、その意味や由来を調べるものだ。
従来の教科書は、消防署や警察、病院などの訪問が主だったが、神社や寺院への訪問、祭りなどの伝統的な行事の体験が記載されたことは大きな変化だ。「宗教に関する教養」の規定がもたらした成果である。
■祝日法に記載された祝日の意味を
掲載光村図書の「社会6」では、「国民の祝日に関する法律」に記された全ての祝日とその意味が掲載された。例えば、建国記念の日は「建国をしのび、国を愛する心を養う」とあり、昭和の日は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代をかえりみ、国の将来に思いをいたす」、海の日「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」とつづく。
従来、恣意的に僅かな祝日を選ぶ教科書が多かったが、全ての祝日の意味を教える方向に改善された。
[教科書採択]教科書採択をめぐる誤謬を正すー百地章・日本大学教授
八重山地区の中学校公民教科書の採択については、未だ結論が出ておりませんが、日本大学法学部の百地章教授が、問題の混乱収束の道筋をズバリ指摘しております。以下「産経新聞」掲載の論文を紹介いたします。
■教育基本法改正の成果表る
採択数が伸びた背景には、平成18年の教育基本法改正と、それを踏まえた平成20年の学習指導要領改定がある。このことは実際に教科書採択に当たった教育委員や教育長の発言からも明らかで、例えば、横浜市教育委員会では「改正教育基本法に照らして吟味した」とし、武蔵村山市教育長も「育鵬社の教科書が新学習指導要領の趣旨にもっとも合っていた」と発言している(村主真人「中学校教科書採択を振り返って」=『日本の息吹』平成23年10月号)。
もう一つ、採択の際に従来は調査員という名の日教組教員らが事前に順位づけを行い、教育委員らはそれを基に教科書を採択するという安易な方法がまかり通っていたのに対して、今回は、教育委員自身が教育基本法や学習指導要領の趣旨に従って教科書の内容をよく調査し、採択を決定したことが大きいと思われる。
尖閣諸島を行政区域に含む石垣市や与那国町、それに竹富町の3自治体で組織される沖縄県八重山採択地区協議会(八重山採択協)が育鵬社の公民教科書採択を決定したのも、同様の理由によるものであった。ところが、育鵬社の教科書採用を不満とする竹富町教委が反対し、沖縄県教委がこれを支持して不当介入したことから、いまだに混乱が収束せず、異常事態が続いている。
混乱の第一の原因は、八重山採択協が教科書無償措置法(無償措置法)にのっとって「協議」を行い、正式に育鵬社の公民教科書採用を決定したにもかかわらず、竹富町教委がそれに従わず、沖縄県教委が「正当な理由」なしに、「再協議」の場を設定してしまったことにある。このような「再協議」は手続き的にも内容的にも違法・無効と解される。
■無償措置法は地教行法に優先
竹富町教委の暴走は明らかに無償措置法違反の行為であり、もしこれを認めてしまえば昭和40年以来続いてきた教科書の広域採択制度は崩壊する。また、八重山採択協が正式に育鵬社版公民教科書の採用を決定したにもかかわらず、沖縄県教委がこの「協議」を無効とし、新たに「再協議」の場を設定したことについては、そもそも「正当な理由」など存在しない。したがって、沖縄県教委が「再協議」の場を設定してしまったこと自体、違法である。
さらに、同県教委による「再協議」の場の設定は、石垣市教委と与那国町教委の「同意」なしに行われたものであり、事前に意見聴取を行うよう定めた無償措置法12条2項の趣旨に違反しており、手続き的にも違法である。この点、「再協議」による育鵬社版教科書の不採択決定は両教委の同意なしに行われたもので、「無効」であるとした、文部科学省の判断は妥当である。
混乱の第二の原因は、沖縄県教委が石垣・与那国・竹富の三教委による「再協議」を、地方教育行政法(地教行法)によって正当化しようとしたことにある。
■文科相は混乱収束へ指導せよ
確かに、同法23条6号は教科書の採択権を市町村教委に認めており、沖縄県教委の指導は正当のようにも思える。しかし、無償措置法は、採択地区内では同一の教科書を採択するよう定めており、各教委は八重山採択協の決定に基づき育鵬社版を採択しなければならない。このため、両法律は一見、「矛盾」するかのような印象を与え、それが今回の混乱の原因とする見解(9月16日付朝日新聞)もあるが、これは「一般法」たる地教行法と「特別法」に当たる無償措置法との関係を正しく理解していないがゆえの謬論(びゅうろん)である。「特別法は一般法に優先する」というのが法の基本原則であり、例えば、民法と商法は一般法と特別法の関係にあるから、事業者間の商取引では、民法に基づく一般の契約とは異なり、特別法たる商法が優先し、これに従うことになる。
それゆえ教科書採択に当たっては、まず無償措置法に従って採択地区協議会が同一教科書の採用を決定し、この決定に基づいて、各市町村教委が教科書採択権を行使し教科書を採択するというのが、両法律の正しい解釈である。
この点についても、文科省は「(市町村教委などの)採択権限は教科書無償措置法にのっとった条件付きのものだ」という正当な見解を示している。であれば、文科相は即刻、八重山採択協における混乱を収束させるべく、地方自治法(245条の4)や地教行法(48条)に基づいて、沖縄県と県教委に対し、断固たる「指導」「指示」を行うべきだろう。
産経新聞・平成23年9月27日付け【正論】「日本大学教授・百地章 教科書採択をめぐる誤謬を正す」より
[教科書採択]中学校教科書採択ー保守系教科書の躍進の背景には、教育基本法改正があった
■新教育基本法下の教育改革20
中学校教科書採択を振り返って
保守系教科書の躍進の背景には、教育基本法改正があった―
(村主 真人 民間教育臨調研究委員)
八月三十一日、来年度から使用される中学校用教科書の採択作業が終了した。新教育基本法・新学習指導要領への完全対応をうたう育鵬社・自由社の保守系二社の教科書の採択結果は次のようなものであった。 続きを読む…»