[新教育基本法] 新教育基本法で何ができるようになったか

[新教育基本法] 新教育基本法で何ができるようになったか

[新教育基本法] 新教育基本法で何ができるようになったか

教育

~10のポイントと関連法改正の方向性~

〔10のポイント目次〕(1)新教育基本法の根本理念に「伝統的価値観」が謳われる。(2)「人格の完成」を期すという抽象的目標から、伝統を重んじ、国を愛し、公のために尽くす「知徳体」を備えた青少年を育成するという「目標の達成」を義務化する。(3)義務教育の目標を、国民としての基本的資質を養うことと明記する。(4)組合支配を容認していた教員個人による教育から、校長を中心とした学校挙げての教育へと、学校運営の在り方を改善する。

(5)子供の「問題行動」容認から、真面目に学ぶ児童・生徒を尊重する学校運営へ移行する。

(6)大学も「目標」達成と「社会発展への寄与」を義務づける。

(7)左派大学教員による「教員養成」と日教組による「研修」体制から、国が「養成」に関与し、教育委員会による「研修」を義務化する方向へ移行する。

(8)基礎的な生活習慣の習得など「親の教育力」を尊重する子育て支援へ移行した。

(9)宗教への「敬遠」から、宗教に関する「教養」を身につけるよう積極的な規定に変更。

(10)教育に対する責任が曖昧なため、結果として組合の偏向教育を容認していた旧法体制から、国と地方が「教育目標の達成」(教育水準の維持)に責任をとる体制へ移行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1)   新教育基本法の根本理念に「伝統的価値観」が謳われる。

[旧法]前文 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底しなければならない。 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

[新法]前文  我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。 我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。 ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

 【論点】 

イ、占領政策によって植え付けられた「行き過ぎた個人主義」の理念から、「公と私の調和」を尊重した伝統的価値観が教育理念に規定される。

ロ、「封建主義、軍国主義」だとして「伝統」排除の姿勢から、「公の尊重」と「伝統継承」が教育の基本へと明記される。

【国会答弁】

日本という、一国一文化という、祖先の永遠の、悠久の営みの中でできてきた我々の法に書かれざる規範、伝統的な文化の中から出てきた規範のようなものを大切に教えられる教育基本法にしていこう、それが安倍総理の言っておられる基本的な、美しい国の根本だと私は思います(伊吹文科大臣、衆院教基法特別委、平成18年10月30日。以下、すべて平成18年)

②日本は日本独自の文化を形成し、そしてその文化の中で、暗黙の約束事というんでしょうか、規範、安倍総理の言葉で言えば規範意識という、英国流に言えばコモンローですね、こういうものをずっと醸成をしてきた。それがある意味では、あの十年ほどの占領下で一時途絶えたということは、大変日本人の文化、その後の行動に大きな影響を与えたと思います。…その国特有の規範意識を復活させ、…これが今回の法律の一番の私は根本哲学だと感じております(伊吹文科大臣 参院教基法特別委、11月22日)

③規範意識というのは一つの、これはイズムでも思想でもないわけでありまして、日本がこの長い伝統や歴史、文化の中で培ってきた常識であろうと思います。この日本の社会を保っていくために、より良い社会にしていくために、また国民が安心して生活をしていくために必要な社会をつくっていくために必要なもの、それはやはり私は規範ではないだろうかと、このように思います。(安倍総理大臣、参院・教育基本法特別委、12月14日)

日本という国が戦後建設されたわけではなくて、長い歴史の中で培われてきたものでございますし、…従来からある日本という長い伝統の文化を引き継いでくる、そういう国家であって、戦後建設された新たな国という意味ではない。(小坂文科大臣、5月31日 衆院特別委)

⑤個人の尊厳、個人の権利、個人についての言及、そして人類普遍の原理については言及があるけれども、そのまさに真ん中の胴体部分である、例えば家族とか、郷土に対する誇り、国に対する思い、あるいは伝統や文化、歴史、そういうものへの言及がないではないかという観点から、今回、前文にも、あるいはまた教育の目標の中にも、公共の精神あるいは伝統を継承等々の文言が入ってまいるわけでございます。(安倍官房長官、衆議院特別委、5月26日)

※平成15年3月の中教審「答申」に盛り込まれた、個人主体の「新しい公共」は削除されている。
  

(2)「人格の完成」を期すという抽象的目標から、伝統を重んじ、国を愛し、公のために尽くす「知徳体」を備えた青少年を育成するという「目標の達成」を義務化する。

[旧法]第一条(教育の目的)  教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。第二条(教育の方針)  教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。

[新法]第二条(教育の目標) 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。

五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

 【論点】 

イ、徳目を「達成目標」と位置付ける条項が新設され、児童・生徒に必ず身につけさせることを義務化した。これによって「学習指導要領」の位置付けが「取り扱うべき内容」から「達成すべき目標」へと変更される。児童・生徒の目標到達度を測る「全国学力調査」実施や「高校卒業資格認定試験」導入などが今後検討される。

ロ、伝統と文化を育んだ「国と郷土あっての自分」を自覚する「歴史」「国語」「地理」教育へ学習内容が変更される。愛国心の評価も肯定され、「国を愛する態度を養おう」を学校目標にすることも可能になった。

ハ、法令上の根拠が乏しかった「豊かな情操、道徳」が明文化される。「道徳」教科化も検討される。これによって「学習指導要領」も日本の伝統・文化や宗教、道徳の充実が図られ、各自治体の教育委員会に「道徳推進科」の設置も図られる。

【国会答弁】 

我が国と郷土を愛する心と態度は一体のものとして養われるものであります。このような我が国と郷土を愛する態度を養うため、学校教育では、我が国や郷土の発展に尽した先人の働きや、我が国の文化遺産や伝統芸能などについて調べたり、体験したりすることを通じて、我が国の歴史や伝統文化に対する理解と愛情をはぐくむ指導が今後より一層行なわれるよう努めてまいります。(安倍総理大臣、11月17日参院本会議)

②私たちをはぐくんできたこの我が国やまたあるいは郷土を愛するその態度を、これは当然、心と態度はこれは一体でなければならないと、そういう心を養っていく中において、その心の発露としての態度が私はこれは生まれてくると、このように理解をいたしております。(安倍総理大臣、参院・教育基本法特別委、11月30日)

 ③国家や社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について進んで調べたり、学んだことを生活に生かそうとしたりする態度を評価するものである。…通知表における評価については…問題ないと考える。(衆議院議員平沼赳夫君提出教育基本法案に関する質問に対する答弁書、12月19日)

④(「公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画する態度というのはどのように養っていくんでしょうか」という質問に対して)自分が犠牲になることがあっても公共のために尽くしたというような事案がたくさんございます。そういうことをやはり一つ一つ理解してもらいながら、そういう心を養っていってもらうということだ(伊吹文部科学大臣、参院・教基法特別委、11月28日)

⑤学校のそうしたセレモニーを通じて自国の国旗・国歌に対する敬意、尊重の気持ちを育てる、涵養するということは極めて私は重要であろうと思うわけでありますし、また、例えば国歌の歌詞についても、そこで子供たちが自分たちの国歌の歌詞について学ぶ機会が失われることになってはならない(安倍総理大臣、参議院教育基本法特別委、11月22日)

⑥一番最初に、まずこれから国旗・国歌について話すけれども、君たちには内心の自由があるから歌っても歌わなくてもいいんだよ、それを言ってから歌詞を教えるとか何かをしても、なかなか覚えるような下地はできてこないと思いますから、そういう前提を設けないで、まずは、日本の国には国旗があり、国歌があるということを客観的に教え、そして、歌うか歌わないかは、最終的に、それは確かに、生徒がその場に応じた状況で判断をする場合もあるかもしれません。しかし、それをまず教師という指導的立場にある人が、内心の自由があるから歌を歌わなくてもいいんだよなどという言い方は、やはりこれは逆の指導をしているというふうにとらえられてもやむを得ない。(小坂文科大臣、6月8日 衆院特別委)

⑦道徳の教科化については、…現在、中央教育審議会におきましても学習指導要領の見直しについて検討を行っているところでございます。(小坂文部科学大臣、衆院教基法特別委、5月31日)

  

(3)義務教育の目標を、国民としての基本的資質を養うことと明記する。

[旧法]第四条(義務教育)1  国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。2  国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。

第五条(義務教育) 2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。

 【論点】

旧法では何ら具体的に明記されていなかった義務教育の目的が、「国家及び社会の形成者としての基本的資質の養成」と明記され、基礎学力の習得と共に、豊かな情操と道徳、伝統と文化を尊重し国と郷土を愛する心を養う国民教育の理念が確立された。

※平成15年3月の中教審「答申」では、「国家社会の形成者としての教養」であった。

 

(4)組合支配を容認していた教員個人による教育から、校長を中心にした学校挙げての教育へと、学校運営の在り方を改善する。

[旧法]第六条(学校教育) 1  法律に定める学校は、公の性質をもつものであつて、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

第6条(学校教育) 2 学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。

 【論点】

従来の「教師の教育権」説に基づく教員個人の密室授業から、教委・校長・教員による「組織的」学校運営へと変更される。したがって今後の学校運営は校長がリーダーシップを発揮できる体制が強化される。(主幹制度導入など)

 

(5)子供の「問題行動」容認から、真面目に学ぶ児童・生徒を尊重する学校運営へと移行する。

[新法]第六条(学校教育) 2 …教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。

 【論点】

これまで、問題ある児童生徒が教室で騒いでも「授業を受ける権利」の侵害になるとして退室を命じることができなかった。これが「学級崩壊」を助長してきたが、今後は児童・生徒に規律尊重の義務を課し、真面目に学ぶ児童・生徒の「学ぶ権利」が擁護される体制へ移行する。これにより、問題児童・生徒の懲戒厳格化が図られる。

 

(6)大学も「目標」達成と「社会発展への寄与」を義務づける。 

[新法]第7条(大学) 大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。

 【論点】

イ、これからは、大学は「学問の自由」を尊重しつつも「道徳」や「伝統尊重」などの「教育の目標」を達成し、「成果を社会に提供」し「社会の発展に寄与」する大学へと変貌する。そのために、大学の「出口」チェック(卒業認定など)の導入や大学の国際競争力強化へ対策が講じられる。

ロ、「大学設置基準」が改正され、教員相互の授業参観、研究会開催、新任教員のための研修会開催などの大学教員研修が義務化される。
 

(7)左派大学教員による「教員養成」と日教組による「研修」体制から、国が「養成」に関与し、教育委員会による「研修」を義務化する方向へ移行する。

[旧法]第六条(学校教育) 2  法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。

[新法]第九条(教員) 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。

 2 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

【論点】

イ、これまで「学習指導要領」に反抗する根拠となった旧法の「全体の奉仕者」が削られ、例えば「道徳」や「国旗国歌」の研修についても受講義務を課す「研究と修養に励み」が規定された。これにより、日教組などの問題教師の排除へ対策が講じられる。

ロ、教員「養成」についての規定が新設され、占領軍によって禁じられた「教員養成への国の関与」ができるようになった。今後は、教員養成課程の質のチェックや教員の国家認定試験の導入などが図られる。
 

(8)基礎的な生活習慣の習得など「親の教育力」を尊重する子育て支援へ移行した。

[旧法]第七条(社会教育) 1  家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。

[新法]第十条(家庭教育) 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。 2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。第13条(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力) 学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。

 【論点】

イ、「すべて学校任せ、万引きも教師が対応」という現状から、「生活習慣の習得や躾は親の責任、非行も親がまず責任をとる」方向へと改善される。今後は、「家族の日」制定、自治会・町内会など地域の子育て支援ネットワークづくり、家族と一緒に過ごす時間を確保する勤務体系の導入などが図られる。

ロ、家庭教育支援のため、父親と母親の役割を自覚させる「親学」を普及させる。

ハ、学校、地域、家庭は相互の連携と協力に努力し、児童生徒の学力や道徳心の向上を図る。そのために、全国統一テストなどの結果公開を教育委員会に要求できる。

※平成15年3月の中教審「答申」に盛り込まれた「男女共同参画社会への寄与」は削除された。
 

(9)宗教への「敬遠」から、宗教に関する「教養」を身につけるよう積極的な規定に変更。

[旧法]第九条(宗教教育) 1  宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。 2  国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。

[新法]第十五条(宗教教育) 宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。2 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。

 【論点】

 旧法では、「反宗教者(無神論者)に対する寛容」(文部省「概要」より)という解釈により、宗教を敬遠する解釈がまかり通ってきたが、今後は、改めて各教科・道徳・特別活動を通じて神社・仏閣見学も可能とされ、神道や仏教について理解し身につける「教養」教育もできる方向へときていされた。これにより、学習指導要領において「宗教教養教育」の充実を図ったり、地元の神社仏閣のお祭り行事に学校として参加することも可能となる。

 【答弁】

①自然に対する畏敬の念、我々は決して宇宙には及ばない、大きな山には及ばない、そういう気持ちを常に持ち続けているということがあらゆる宗教のやはり原点にあると思います。そういう意味での宗教的態度の涵養というのはぜひ必要なことだと私は思います(伊吹文科大臣、衆院教基法特別委 11月15日)

②宗教的儀式に参加する目的ではなく、かつ児童生徒に強要せずに、歴史、文化を学ぶことを目的として神社などを訪問することは、禁止されている宗教的活動には該当しない(銭谷初等中等教育局長、衆院教基法特別委、6月2日)

 ※平成15年3月の中教審「答申」では、「宗教に関する知識」であった。

 

(10)教育に対する責任が曖昧なため、結果として組合の偏向教育を容認していた旧法体制から、国と地方が「教育目標の達成(水準の維持)」に責任をとる体制へ移行した。

[旧法]第十条(教育行政) 1  教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。 2  教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

[新法]第五条(義務教育) 3 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
第十六条(教育行政) 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。第十七条(教育振興基本計画) 政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。2 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。

【論点】

イ、法令遵守が明確になり、組合支配を正当化してきた従来の「確認書」は失効する。

ロ、教育の内容は教員(組合)に任せられるべきだという無責任行政から、目標達成のため国と地方が責任をもつ教育行政へと移行する。そのために、「学習指導要領」を明記する学校教育法の改正や国の「調査・評価」と「改善命令」を担保する地方教育行政法改正が今後行われる。

ハ、国も地方公共団体も「教育の目標」を達成するため、いつまでにどれだけ学力を向上させるのかなど具体的な基本計画を立案し、定期的に公表しなければならなくなった。

【答弁】

①法律に基づいて行われる教育行政というものは、これはもう不当な支配には属さないけれども、堂々と正当なものである(伊吹文科大臣、衆院教基法特委、11月15日)

②学習指導要領によって全国一律の教育の内容を担保しているわけですから、それと違う、それと違う内容をイズムによって教えたり、あるいは特定の団体が、結局その団体の考え方でもって教育を支配するということを排除する条項だということです。(伊吹文科大臣、参院・教基法特委、11月22日)

③地方公共団体と各種団体との間で結ばれたいわゆる「確認書」等については、違法なもの又は不適切なものは直ちに是正する等適切に対応するよう指導してまいりたい。(衆議院議員平沼赳夫君提出教育基本法案に関する質問に対する政府答弁書、12月19日)

④(いじめについて)文科省が調査したのに対して、教育委員会がこういう数字を挙げてきたわけでありますが、結果として実態を反映していないということは、問題に対処する上においてもこれは問題でございますから、どうしてそういう回答になったかということについての調査を行うのは当然のことでございます。(安倍内閣総理大臣、衆議院・教基法特別委、10月30日)

(資料作成=日本会議事務総局)

トピックス : 教育基本法

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