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教育─子供たちの未来を拓く教育改革を
今こそ教育基本法の改正を!
緊急集会

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時:平成16年6月25日
所:東京・憲政記念館ホール


民間教育臨調(「日本の教育改革」有識者懇談会、西澤潤一会長)は、六月二十五日、東京・憲政記念館において、「今こそ教育基本法の改正を!緊急集会」を開催。当日は、雨天にもかかわらず六百名が集い、また、国会議員百十五名(代含む)が出席した。

今年一月に結成された民間教育臨調では、四つの部会で改革すべき諸課題を明らかにし、提言活動を行ってきたが、とりわけて教育再生のためには教育の根本法たる教育基本法改正こそが最優先されるべき課題だとしてきた。そうした中、今年三月、新しい時代にふさわしい教育基本法について、中教審が最終答申を行い、これに基づく改正案が立法府において審議される状況となった。ところが、今国会での改正案の上程は見送られてしまった。こうした状況を踏まえて、緊急集会が企画された。
 
集会では、西澤会長の挨拶の後、各界から日野原重明氏、和田秀樹氏、岡崎久彦氏、屋山太郎氏の四氏の提言が行われ、続いて各党代表挨拶として町村信孝氏、小泉俊明氏、達増拓也氏、山谷えり子氏の各国会議員が登壇。その後、教育基本法の早期改正とその改正方向について訴えた決議文を高橋史朗運営委員長が朗読、満場一致で採択され、各党代表に手交した。最後に石井公一郎副会長が「小泉首相は米百俵の話をされたが、教育基本法を直すことは米一億俵に値する」と閉会の辞を述べ、熱気に包まれた集会は終了した。以下、発言の要旨、抄録を掲載。(文責・編集部)


●主催者代表挨拶

今を逸しては日本の将来はない
西澤潤一(民間教育臨調会長・岩手県立大学元学長)
ここにお集まりの皆様は、このままにしておいては国はつぶれてしまうという非常に切迫したお気持ちをお持ちだと思います。私も毎年入ってくる学生の様子を見ながら、このままいったらどうなるのかなと思っております。

問題だと思われるのは、画一化の教育です。現在の平等主義は現実には悪平等でして、例えば、かけっこで一斉に手をつないでゴールさせるという。これではとても世界に伍することはできない。今日、スポーツの世界では国際交流がさかんで、優秀な選手はどんどん世界に出て行っている。人間教育の方も全く同じ事です。日本の中から優れた人材をどんどん育てて海外へ出す。勿論向こうからも来て貰う。そういう人材を自分たちのDNAに基づいて育て上げていくという力こそ、教育としての実力ではないかと思います。それができなくなった国は、衰退致します。それから世界の人が若干の敬意と感謝の気持ちを込めて、「日本というのはいい国ですね」と言ってくれる国にしようというのが、私は愛国心だと思っております。

そういう愛国心とか優れた人材をどんどん育てて天分を発揮させるとかいう教育の基本が、現行の教育基本法に謳われているとは思えません。これから教育基本法改正を求める署名運動など始めますが、この時期を逸しては、日本という国も日本民族の将来もなくなってしまうのではないかという懸念を申し上げて、私の開会のご挨拶とさせていただきます。



●各界からの提言


宗教的情操教育を公教育で

日野原重明(聖路加看護学園理事長・民間教育臨調顧問)
ノーベル医学生理学賞は設立以来百二年の間に三百人以上の受賞者を出していますが、いまだに日本の医学校を出た受賞者は一人もいない。これは種が悪いんではなしに畑が悪いのです。優秀な遺伝子はあるけれども、それを伸ばす教育という畑が良くない。外国の畑に入った利根川進さんは理学部出身なのにノーベル医学生理学賞を受賞した。

つまり、我が国は創造性に富む人材を作る畑を持っていない。一つは均等主義の弊害です。私は小学六年生のとき、玉川学園の教育指針を採用したクラスを一年間体験しました。全くの自己学習で、そのときの楽しい記憶を忘れることができません。子どもが勉強の楽しさを知って自分で進んで勉強することのできる教育が必要ではないか。

宗教的情操については、戦後は戦争反対、核兵器反対ばかりでやったから成功しなかったんです。平和の裏付けには許しがないといけない。人間は間違いをする。自分が間違いを許してほしいように相手の間違いも許すということがなかったら、平和はこない。平和
というよりも命を大切にする教育が大切ですが、そのためには動物愛護の経験は有用です。動物が死ぬことによって、子供たちが死というものを実感する。子どもに死の教育をするということが命を大切にする教育だと思います。それは一種の宗教心を育てることです。
人間が生きるために宗教というものが大きな支えになっていることを知らなければなりません。私は医師やナースが宗教というものを本当に理解する、その機会を与えるということを、国公立の教育でもやるべきだと思います。


教育基本法では外国に勝てない

和田秀樹(精神科医・民間教育臨調代表委員)
今日は今の教育基本法のままでは日本が外国には勝てないという話をさせて頂きたいと思います。外国では、教育をちゃんとやらないと国が保たないという考え方にどんどん変わってきています。これからは知識社会の時代、即ち、ちゃんと勉強していない人は食べていけない時代が二十一世紀だということで、多くの国で教育改革に対する真剣な取り組みがなされています。

今のブッシュ米大統領は、教育改革で非常に高い評価を得て、テキサスの州知事から大統領になったわけです。テキサス州はヒスパニックの割合が高く、全米で最も教育レベルの低い州でした。ブッシュが何をやったかというと、チャータースクールという形で、公的教育じゃない教育機関をどんどん認めるということをやった。それから州が決める達成基準に達していない学校には補助金を打ち切ることにした。そうすると公立学校の先生たちが目の色を変えて一所懸命教育をし出した。それでテキサスは全米で八位までに上がったのです。

教育が大事だということは、二つ意味があって、一つは優秀な人材は好きなだけ伸ばさせる。もう一つは、教育がないがために世の中の不良債権みたいになるような人間を作らないということ。ところが、今日の我が国では不況ということもあって、教育への期待が薄れてきている。一九九九年の国際教育到達度評価学会の調査によると、日本の中学二年生の四十一%が塾も含めて学校以外で一秒も勉強をしていない。これは世界平均が二十%ですから、非常に低い。しかも九五年の調査では二八%でしたから、たった四年間で一三
%も増えている。

子供たちをきちんと勉強させるために、現行の教育基本法では、やはり非常に心もとないといわざるをえない。教育基本法の義務教育に対する発想は基本的に学校に行かせさえすればいいという考え方です。つまり、何をどう身に付けたかということが問われない。教育の主体についてももっと民間に任せてもいいと思うのですが、第六条の規定でそれが阻まれている。さらに第六条第二項では「教員の身分は尊重され、その待遇の適正が期されなければならない」とあって、努力をしない教員がそのままのうのうと生き残ってしま
う。このように現行の教育基本法のままでは、国民の教育レベルを維持するためにいろんな施策をとれないと思います。今のままの教育基本法ではとても日本が生き残れないと大変心配しております。


愛国心― 国家的に物事を考えること

岡崎久彦(博報堂岡崎研究所所長・民間教育臨調代表委員)
結論から申し上げると、今の教育基本法の問題点は結局は一つしかない。それは愛国心の問題だろうと思います。今の日本人に欠如しているのは、国家的に物事を考えるということです。本日の各先生方のお話も「日本が国際競争に負ける、日本が滅んでしまう」という見方は、これは全部国家的にものを考えておられるんですね。国家的にものを考えれば、結局優れた人間を作り出さざるを得ないんです。これはどうしてもエリート教育になる。

日本というのは極めて民度の高い国です。背景には徳川二百年間の文治教育がある。これは世界最高の教育だったと言われています。安岡正篤先生から直に私が聞いたお話では、世界で一番教育が進んでいた時代というのは後漢の二百年と、それから江戸時代の二百年
と、その二回だというのです。

だから後漢のあとの三國時代の『三国志』は面白い。出てくる人間が全部最高の教養人だから面白いんだと。それから明治維新の話というのは面白い。西郷と勝が会うとそれぞれ大変な教養人ですから、お互いに分かり合うんだと。そういうことを言っておられました。この伝統は脈々と生きているんだろうと思うんです。今でも日本人の多くは几帳面ですし、治安もまだまだいい。夜中に女性が一人で歩ける大都会は東京しかないと言われます。それから日本人の衛生観念は高い。おそらくSARSが日本に来なかった要因の一つでしょう。こういう高い民度は、敗戦があって占領があって日教組教育があっても全然崩れていない。それでは一体何が崩れているのかと考えますと、結局愛国心ですね。国家的にものを考える、それが欠落している。

国家的にものを考えるというのは、本来これは言う必要がないことなんですね。これは全部我々のDNAに入っているんです。『利己的な遺伝子』という本があるように、遺伝子というのは極めて利己的で、自分だけ生き残るために全部できている。ところが、自分の属するある団体を守ることが自分の生存に意味があるとなってくると、自己を犠牲にしてもその団体を守るという遺伝子が埋め込まれているらしい。それでは、その団体が何であるかという、その単位が問題なんですけれども、結局は人類数千年の歴史では国家しかないんです。

それは一人一人に聞いて見れば分かることで、「おまえ、何のために死ねるか」と。「東京都のために死ねるか」と言っても、おそらく死ねる人はいないですよね。地球人類のために死ねるかというと、口先だけそういうことを言っている人はいるけれども、命を賭けてないですね。やっぱり単位は国であって、これは放っておけば自ずから出てくるものです。ただそれを今までの偏向教育で抑えこんでいた。ですから、教育基本法に「国家的にものを考えること」「国を愛すること」ということを書けば、日本人という
のは遵法精神がありますから、自ずから解決するんじゃないかと思います。


競争心は人間を高める

屋山太郎(政治評論家・民間教育臨調代表委員)
私は中学一年生のときに敗戦になりまして、戦前の教育を少しだけかじって、後は戦後教育。だから今の教育がどこがいいか悪いかというのは、かなり体験上分かるんですけれども、何がいけないのかというと、一言でいえば競争ということを排除してしまったことです。私は中学一年のときに漢文を詰め込まれました。「長恨歌」とかひたすら暗記した。それが中学二年になったら消えてなくなった。高校三年になったら漢文が出てきて、六年前にやった中学一年生のときの漢文よりも優しいことをやっているわけですよね。

そういう意味で私は詰め込みをやると人間がいじけるから、ゆとり教育だという理屈は全く分からない。詰め込まれているときの充実感というのがあるんです。とうとう俺は覚えたというね。競争心は人間を必ず高めるんですね。もちろん負けるときもある。敗北したときに、如何に負け方を上手にするか。つまり俺はかけっこじゃ負けると思ったら数学で頑張ってみる。数学でだめなら習字をやってみるというように、どこか自分の勝てそうなところを一生懸命に探して努力すればいいのです。ところが今の子どもは、算数でだめというと、キレたとかいってですね、もうそれでおしまいになる。

個人的な話なんですが、私の親父は、博打で稼いで授業料をためて一高に入ったという変わり者です。博打に強くなるというのは非常に大切な事なんだといって、高校生の私に花札から麻雀から徹底的に教えてくれた。それで、負けたときの払いっぷりをよくしなけ
ればいけない、というダンディズムみたいなものを私に伝授するんですね。だから競争やって人間がだめになるというようなことを私は信じない。

私はスイスで子どもを二人、小学校に入れましたが、そこでは徹底して「読み、書き、そろばん」なんですね。躾というのは家庭の仕事なんです。二週間に一度、通信簿というか家庭の連絡帳というのがあって、「学業」のほかに「操行」という欄がある。六点満点
で大体四点ぐらいが平均。素行の悪い子がいると、「操行」に二点を付けるぞと先生が言うと、子どもは震え上がって、もう悪いいたずらとか、行儀が悪いのはぴしっと直る。なぜかといえば、それをお父さんに見せれば、「勉強ができないというのは、お前は頭が悪
いからしょうがない。しかし操行が二とはなんだ」と言われてぶんなぐられるからですね。このように家庭が躾の基本。教育勅語にある徳目は、これは立派なもので、あそこから省いていいという徳目はないんですね。そういう徳目を身につけて、競争の中でその徳目を生かしながら自分で向上していくという、この教育の基本が今、大切だと言いたいと思います。



●各党代表の挨拶

自由民主党
町村信孝(衆議院議員・元文部科学大臣・自民党教育基本法検討特命委員会顧問)
私は小渕総理、森総理のとき、教育改革国民会議をつくりました。
その最大のテーマはこの教育基本法でした。そこではむしろ新しい法律を作るという考え方で望むべきではないかという提言がなされました。私も橋本内閣での文部大臣のときから、この教育基本法を変えなければいけないと思ってきました。

それは、自由権利主義、平等主義、平和主義という戦後の基本的なコンセプトを変えるというところからやらなければ、今日の国家、社会、教育現場の混乱は直せないと考えるからです。本来であれば、教育基本法特別委員会なるものが国会の中にできていなければいけない。忸怩たる思いですが、民間教育臨調の提言の多くは、我が党内では議論の余地がないものだと思っております。今後とも皆さん方の貴重なご意見を頂き、本格的な議論を国会の中で、できるだけ早く起こしていきたいと思っております。

民主党
小泉俊明(衆議院議員・民主党広報宣伝副委員長)
一昨年、月刊「文芸春秋」の七月号に私は教育、特に歴史教科書の国際比較の論文を書かせていただきました。子供たちが使っている七種類の教科書と、扶桑社の新しい歴史教科書、そして韓国、中国の子供たちが使っている歴史の教科書と、アメリカ、アジア、ヨーロッパ諸国の教科書を比較検討して、日本の教科書の中ではやはり扶桑社の教科書が一番優れていることを主張した論文です。教科書問題が話題となったときに、大臣や政治家が発言を致しましたが、実は、ほとんど誰も現物を読んでいなかった。歴史の問題は大事な問題ですから、まず正確な事実を知っていただきたい。そんな思いで私はこれを書き上げました。

もう一つ、今の我が国は明治以来の国難を迎えていると思います。日本が復活するためには、日本人が国と自分自身に自信と誇りを取り戻すこと、そのために私たちの背骨である数千年にわたる我が国の歴史と文化と伝統をもう一度しっかりと見つめ直さなければな
らないと確信して、この論文を書きました。教育基本法を改正しなければ、日本民族のこれからの百年を切り拓くエネルギーは絶対に
生まれない。私はここから日本の教育を立て直す道は始まると思っております。

自由党
達増拓也(衆議院議員・自由党政調副会長)
自由党では、すでに教育基本法の改正案を今国会に提出しております。名付けて「人づくり基本法案」。内容は、例えば、第二条の[基本理念]では、「我が国の歴史と伝統文化を踏まえつつ、自由で公正な開かれた社会の担い手として、人間の尊厳を尊び、勤労と責任を重んじ、日本と地域社会に誇りを持ち、及び自主自立の精神に充ちた健やかな国民の育成を」と述べております。また、第三条の[基本方針]では、「学校教育、家庭教育、社会教育の適切な連携及び相互の補完」「基礎的な素養の修得」「宗教の社会生活における役割を尊重」などを謳っています。ぜひ審議をしていただきたいと思っております。

保守新党
山谷えり子(衆議院議員・保守新党政調副会長)
私はいま拉致議連の副会長をしております。本当に横田めぐみさんのご両親をはじめとして、家族会の皆様は立派でいらっしゃいます。いつも教えられるのは、家族、共同体の繋がりの尊さ。国との繋がりの尊さということです。

今回の中教審答申で、男女共同参画社会への寄与ということが書かれています。この中に、例えば性の自己決定権というものが入っているのは問題です。セックスの自己決定権。警察の調べでは、中学生、高校生の六八%が見知らぬ人とセックスをするのは本人の自由。売春は四五%が本人の自由と言っている。こんな国は世界にありません。

それから、男らしさ、女らしさを押し付けてはいけないと言うことで、雛祭りも鯉のぼりもだめ。桃太郎も桃子ちゃん≠ノ変えられた絵本がまじめに推奨されています。宗教や伝統文化というものが全てこの一つのコンセプトでズタズタにされていっているという現状です。繋がりの中でより大きなものを見つめながら、ご先祖様、これから生まれてくる新しい命と一体となって国づくりをしていかなくてはならない。そのための教育基本法改正を、早急に政治日程に乗せて具体化していきたいと思っております。